<お知らせ>

●「戦争法を廃止へ!」

行動予定は下記の総がかり行動実行委員会のHPをご覧ください。

 http://sogakari.com

2017年

2月

19日

日本ペンクラブ声明 「共謀罪に反対する」

2017年2月15日 http://www.japanpen.or.jp/news/cat90/post_585.html 共謀罪によってあなたの生活は監視され、共謀罪によってあなたがテロリストに仕立てられる。 私たちは共謀罪の新設に反対します。私たち日本ペンクラブは、いま国会で審議が進む「共謀罪(「テロ等組織犯罪準備罪」)」の新設に強く反対する。過去の法案に対しても、全く不要であるばかりか、社会の基盤を壊すものとして私たちは反対してきたが、法案の本質が全く変わらない以上、その姿勢に微塵の違いもない。

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2017年

1月

26日

2・1「共謀罪の何が問題か」共謀罪を考える超党派議員と市民の勉強会

■第1回「共謀罪の何が問題か」
2月1日(水)16:00~17:30 参議院議員会館B104会議室
平岡秀夫さん (元法務大臣・弁護士)
海渡雄一さん(弁護士護士)など
■第2回「私は共謀罪の国会提出に反対です」
2月16日(木)12:00~13:30衆議院第一議員会館国際会議室
鎌田 慧さん(ルポライター)
青木 理さん(ジャーナリスト)
佐高 信さん(評論家)
山田健太さん(日本ペンクラブ・専修大学教授)
中野晃一さん(上智大学教授)
太田啓子さん(明日の自由を守る若手弁護士の会)
孫崎 享さん(評論家)
海渡雄一さん(弁護士)など
【いずれも参加無料】
共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会 呼びかけ人(1/24現在・順不同)
糸数慶子(参)、伊波洋一(参)、逢坂誠二(衆)、小宮山泰子(衆)、
階猛(衆)、杉尾秀哉(参)、照屋寛徳(衆)、仁比聡平(参)、初鹿明博(衆)、
真山勇一(参)、森ゆうこ(参)、山添拓(参)、山本太郎(参)、福島みずほ
(参)など
連絡・問い合わせ:福島みずほ事務所(電話03-6550-1111 担当:中島)
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2016年

12月

21日

監視社会を考える連続学習会第三回

監視社会を考える連続学習会第三回 「加速する監視カメラ社会化-顔認証と自動追跡-」  ◆日時:2017年 1 月24 日(火)18時30分~  ◆会場:文京シビックセンター四階ホール ◆講師:武藤糾明さん(弁護士 日弁連情報問題対策委員会副委員長) ◆資料代:500円 ■共 催 盗聴法廃止ネットワーク 共通番号いらないネット 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会 ■連絡先 090-2669-4219(久保・盗聴法廃止ネットワーク) 080-5052-0270(宮崎・共通番号いらないネット)

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2016年

11月

18日

12・8「GPS 捜査と名古屋高裁判決」  監視社会を考える第二回学習会

◆日時:12月8日(木)18時30分~ 文京区民センター2A ◆資料代:500 円 ◆講師:佐竹靖紀さん(弁護士) ◆報告 :白石 孝さん(プライバシー・アクション代表) 「市民運動・労働運動監視にGPS使用~韓国版盗聴法の実態~」

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2016年

11月

02日

11月14日、法律家5団体が共謀罪反対の集会

法律家5団体共催 “共謀罪”創設法案の国会提出を許さない院内集会 ■日時:2016年11月14日(月)13時30分~15時30分(開場 13時10分) ■場所:衆議院第二議員会館 1階 多目的会議室※当日は係の者が入館証をお渡ししますので、衆議院第二議員会館入 口までお越しください。

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2016年

9月

27日

9.26 共謀罪新設に反対する院内集会に290人が参加!

 臨時国会開会日の9月26日午後、衆議院第一議員会館多目的ホールで、「秘密保護法、戦争法と一体 話し合うことが罪になる共謀罪の新設に反対する院内 集会」が、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、盗聴法廃止ネットワークの共催で行われた。

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2016年

9月

15日

超党派国会議員と市民の「シチズンフォー」上映会

【監視社会を考える】 超党派国会議員と市民の「シチズンフォー」上映会

日時:2016年10月3日(月)17時30分~20時

場所:参議院議員会館講堂

資料代:500円

昨年、長編ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を受賞した「シ チズンフォー スノーデンの暴露」の上映会を開きます。 元CIA(米中央情報局)、NSA(米国家安全保障局)職員だったエ ドワード・スノーデン氏は、アメリカが世界の電話やメールなどを 盗聴していたことを暴露し、衝撃を与えました。 盗聴は、北朝鮮、イランなどアメリカの「敵対国」だけではなく、 ドイツ、日本などの同盟国、さらに国連、自国の市民も対象とされ ていました。この事実は、世界的な盗聴・監視システムが、私たち の予想をはるかにこえる規模で進行していることを明らかにしまし た。「シチズンフォー スノーデンの暴露」は、スノーデン氏の告 発の経緯、その内容を追った作品です。この上映会を通して世界で 進む監視社会化の問題を考えていければと思います。

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2016年

8月

27日

テロ対策を名目とする共謀罪法案に反対する!

日本の表現の自由の危機を憂える皆様へ。海渡です。今日(8/26)の朝日新聞で、共謀罪法案の臨時国会への提出が計画されていることが明らかになりました。いそぎ、準備されている法案の評価と、さらにはこれまでの経緯について、詳しくまとめ、秘密保護法対策弁護団のホームページに掲載しました。http://nohimituho.exblog.jp/26141286/ 長い経緯のある問題なので、長くなりましたが、お急ぎの方は最初と最後の部分を抜粋しましたので、以下をご覧ください。本文には、新たに準備されている法案の詳細な内容を第8にまとめました。過去の法案の変遷を第13にまとめました。国連越境犯罪防止条約との関連なども論じています。詳しくお知りになりたい方は、ぜひこちらをお読みください。

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2016年

7月

31日

8・27集会 “スノーデンの警告”

8・27集会 スノーデンの警告 -ここまできている日本の監視社会 - 日本のジャーナリストで初めてスノーデン氏に単独インタビューした 小笠原みどりさんのお話しとシンポジウム ■日時 2016年8月27日(土) 13時30分~16時30分 ■会場 渋谷区立勤労福祉会館 2階第1洋室 東京都渋谷区神南1-19-8 JR 山手線渋谷駅7-1 番出口徒歩5 分。公園通りをNHK 方面へ、渋谷パルコPart1 の筋向い。

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2016年

6月

15日

日弁連編自由権規約6回審査の記録出版のご案内

国際人権活動に取り組むみなさんへ 秘密保護法の廃止に取り組まれているみなさんへ

日本弁護士連合会編『国際人権(自由権)規約第6回日本政府報告書審査の記録』危機に立つ日本の人権(2016年5月現代人文社刊)が出版されました。2014年の自由権規約委員会の審査記録の出版ができました。審査の全記録、リストオブイシューズ、総括所見に加え、総括所見の意義と国際人権法上の新たな論点であるヘイトスピーチと秘密保護法についての専門家の論考を加えた決定版です。ぜひお買い求め下さい。 案内注文用チラシを添付します。 海渡雄一

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2016年

5月

30日

6.9市民集会「安部政権と報道の自由集会」

みなさま。刑事司法と直接の関係はないのですが,TBSニュース23のアンカーを降板となった 毎日新聞特別編集委員・岸井成格さんに「安部政権と報道の自由」と題して講演をしてい ただく市民集会を下記のとおり開きますので,ご案内させていただきます。チラシも添付 します。(米倉洋子) ●市民集会 安部政権と報道の自由―安部政権による総合的メディア戦略と民主主義の危機・私たちは何ができるか― 講演 岸井 成格 氏(毎日新聞特別編集委員 TBS特別コメンティター) 日時 6月9日(木)17:00~18:30(開場16:30) 場所 参議院議員会館 講堂

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2016年

5月

20日

国民の思いを伝える! 戦争法廃止2000万人署名提出集会

「秘密保護法」廃止へ!実行委員会が呼びかけ団体になり、戦争法の廃止を求めて取り組んでいる2000万人統一署名の提出集会が5月19日、衆院第一議員会館で開かれ、集めた署名簿を野党各党の議員に手渡した。
 署名活動を統括した「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は、「秘密保護法」廃止へ!実行委をはじめ29団体が共同呼びかけ団体となって全国各地で署名活動を続け、これまで1200万人を超える署名が集まった。

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全国会議員アンケート結果  2014.11.10

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記者会見資料「国会議員アンケート結果」と「全体の傾向」
20141116 全国会議員緊急アンケート集計結果.pdf
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緊急 全国会議員アンケート結果 記者会見

【報告】
<施行予定まで1ヶ月>  
「秘密保護法」このまま施行していいの?
緊急 全国会議員アンケート結果 記者会見

民主党をはじめ、野党議員から「廃止」「施行延期し法の抜本見直し」
求める声が相次ぐ

10月14日に秘密保護法の運用基準と政令を閣議決定し、12月10日(世界人
権デー!)の施行に向けて突き進む安倍政権。2万3820件も寄せられたパ
ブリックコメントや自民党総務会で出された異論すら反映されていません。
行政の権限を肥大化させ、立法府の役割を制約しかねない秘密保護法の施
行を前に、与野党の立場を超えて国会の存在意義が問われています。こう
した中で「秘密保護法」廃止へ!実行委員会は、すべての国会議員の皆さ
んに施行をめぐる緊急アンケートを行いました。10月29日にアンケート用
紙を全議員の国会事務所に届けて、ファックスによる返送を求め、11月6
日には議員会館を訪れ、回収にまわりました。そして、施行予定まで1ヶ
月となる11月10日午後、衆議院第2議員会館で結果発表の記者会見を行い
ました。会見には、12社、計13人の取材がありました。

<記者会見の概要>

海渡雄一さん(弁護士)
秘密保護法に対して、秘密の恣意的指定を防ぐ制度がない、第三者機関に
独立性がない、内部通報者保護の仕組みがない、ジャーナリストや市民活
動家の処罰が可能になっている、などの懸念が国際世論にまで高められて
きている。我々と同様の批判が自民党総務会でも出されたことは決定的な
事実だ。あと1ヶ月で施行と既成事実であるかのように言われるが、いっ
たん決まった法律でも、これだけ問題点が明らかになれば、施行しないで
議論を継続するために、法律で施行を延期すればいいだけのこと。国会議
員の皆さんに、これだけ国内外の世論の反対がある中でこのまま施行する
つもりですか、と問いたいとアンケートに取り組んだ。

書面回答は計58人。与党は自民の2人のみが無回答と「このまま施行」。
野党からは次世代の「このまま施行」(2人)以外はかなり批判的な意見
が多かった。共産(19人)、社民(4人)は「廃止」。生活は「廃止」(2
人)と「延期して法の抜本見直し」(1人)。注目の民主は「廃止」(9人)
と「延期して法の抜本見直し」(11人)、維新は「延期して法の抜本見直
し」(2人)と「延期して基準の部分見直し」(1人)、無所属は「廃止
(延期して法の抜本見直し含む)」(3人)、「延期して法の抜本見直し」
(1人)という結果だった。

私たちが廃止を求める点に揺らぎはないが、施行を延期できれば、廃止の
芽も出てくるだろう。幅広い野党で施行延期法案が出せれば、現実的に政
府を揺り動かすような政治状況が生まれる可能性もある。施行延期法案が
通ったケースは、司法修習生の給費制廃止の施行を延期する法案の例など
がある。この結果を踏まえて、今後も強力に働きかけていきたい。

前田能成さん(出版労連)
率直に言って、民主党議員の中で、1番目の「廃止法案に賛成する」とい
う回答がこんなにあるとは思っていなかった。民主党がこうした方向に意
見をまとめて動いてくれると、ひょっとすると何か動きが出てくるのでは
ないか。また、与党議員の口頭回答でも「決まった通りに施行すればいい」
と断言する人は少なかった。与党も掘り起こしていけば、大きな動きにつ
ながるかもしれない。

杉原浩司さん(秘密法反対ネット)
民主党の回答者を見ると、党の幹部、役員も一定含まれている。また、維
新の党も含めて、法律制定時に反対していた議員がしっかり意思表示され
ている。少なくとも施行を延期して、透明性の高いプロセスで抜本的な見
直しを行った先に廃止という選択肢も見えてくる。現在、民主党と維新の
党の間で密に行なわれている政策協議の中に、秘密法の問題もしっかり入
れ込んでほしい。

<ぜひご覧ください>

20141110 UPLAN【記者会見】(約30分)
「秘密保護法」このまま施行していいの? 緊急 全国会議員アンケート結果
https://www.youtube.com/watch?v=vwhkUYUPoO8&feature=youtu.be

秘密保護法1カ月後施行 国会議員、アンケ回答わずか8%(11月11日、東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014111102000112.html

8.23学習会の全音声記録

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8月23日学習会(前半)渡辺治さん講演
IC_A_001.mp3
MP3 オーディオファイル [46.9 MB]
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8月23日学習会(後半) 渡辺治さん質疑応答
IC_A_002.mp3
MP3 オーディオファイル [34.6 MB]
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渡辺治・学習会資料「戦争と秘密保護法制の歴史と教訓」

        戦争と秘密保護法制の歴史と教訓

     8.23連続学習会・こんなに危ない「秘密保護法」パートⅤ

                 2014.08.23 渡辺治


はじめに

(1)戦前の秘密保護法制との比較と新しさ 

(2)戦前の秘密保護法の取り締まりの特徴と教訓

   戦前秘密保護法は2段階で「発展」

(3)戦後憲法下の市民の自由規制と秘密保護法

  単行秘密保護法の欠如と市民の自由

(4)安倍政権と秘密保護法、憲法改悪と秘密保護法

  秘密保護法は安倍首相個人の好みでなく、現代の日米軍事同盟の要請

  安倍政権でなければできなかった秘密保護法

  安倍政権の特異な目的が秘密保護法の危険を増幅


1 戦争と秘密保護法、市民の自由

(1)戦争と秘密保護法

  日清戦争後、秘密保護法制定と日露戦争期に確立

  アジア・太平洋戦争下で拡大、発展

  特定秘密保護法は?

(2)戦前の秘密保護法制との比較した現代の秘密保護法の特質

  (a)秘密の範囲の広いこと−国防保安法やアジア・太平洋戦争の拡大した「秘密」受け継ぐ

    「防衛に関する事項」「外交に関する事項」「特定有害活動に関する事項」「テロリズムの防止に関する事項」

    秘密指定の対象を「防衛」や「軍事」に限っていない

  (b)事前抑制性の貫徹−秘密は暴露されたら終わり

     共謀、教唆、煽動の処罰

     「適正評価」の導入で本人、家族の広範な思想調査が制度化−事前抑制の新たな仕組み

     軍用資源秘密保護法などの戦時秘密保護法で登場

     *人権の事前抑制の危険性

     秘密は暴露されたらおしまい、秘匿はできるだけ広く

     できる限り広く、できる限り川上で−漠然性、事前抑制

     それだけ憲法の保障する自由への侵害度高い

     出版物の検閲と事前抑制、江戸時代は草稿検閲

     市民革命期の闘いは事前抑制との闘い

     秘密保護という情報規制は取り締まりの側からは事前性の求められる最たるもの

  (c)マスメディアの取材規制をターゲットに−法24条

     85年国家秘密保護法案ですでにマスコミの報道を対象、同案「不当な方法で」を変えたもの

     「人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、

      施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為・・・その他の特定秘密を保有する者の

      管理を害する行為により、特定秘密を取得した者

     マスコミをターゲットにしていることが現代の秘密保護法の特徴


2 戦前日本の秘密保護法の特徴、教訓

(1)戦前日本の確立期秘密保護法制の特質

 (a)明治憲法下の言論規制体系の一環、一体として国民の知る権利抑圧、秘密保護法制の役割限定

   1 戦前日本は言論抑圧大国、秘密保護法の天国

    新聞紙法、出版法、治安警察法、治安維持法…

    軍機保護法、要塞地帯法、軍用資源秘密保護法、国防保安法

   2 明治憲法下、言論や報道はとくに厳しく制限され、情報を受け取る権利全体が制限された

    (1)言論規制は国民の眼と耳をふさぐことをねらった−事前規制

      政府に都合の悪いことは市民の目に触れなければいい

      新聞紙法、出版法—検閲、発禁、差し止め(資料1)

      とくに、マスメディアの規制に活躍した「差し止め」

    (2)国民が政治を変えるために立ちあがること、声をあげることは徹底して弾圧された

      治安警察法で結社禁止、デモも禁止、屋内集会でも臨監、解散

      特高警察による徹底した監視、行政執行法による活動家の弾圧(資料2

    (3)第一次世界大戦後の社会主義運動、労働、農民運動の昂揚に治安維持法の登場

      「国体変革」を目的とした結社の厳罰

      治安維持法の猛威−目的遂行罪

   3 確立期秘密保護法制の特質

    (1)言論弾圧法の中で秘密保護法以外の法令が威力発揮、秘密保護法の「活躍」限定的

      メディア規制に重点はなかった、秘密保護法は、職業スパイと国民に対する恫喝と萎縮

      尾崎・ゾルゲ事件−国防保安法違反、治安維持法違反

    (2)秘密の範囲はあいまいだが、秘密は軍事秘密に限られていた(資料3)

      旧軍機保護法に「軍事秘密」の定義なし

      地域的秘密保護−要塞地帯法、軍港要港規則

(2)戦時期秘密保護法制の拡大−戦争が言論・報道を規制し、秘密保護法も拡大

 (a)戦争で言論報道の自由の統制徹底

     ① 取り締まり対象の拡大

      治安維持法が猛威−戦争への国民の統制、「国体」に刃で、新興宗教もキリスト教も創価学会も

      時局に合わない谷崎潤一郎も、林芙美子もダメ

     ② 取り締まりが消極取り締まりから報道統制−積極に

      報道が国民を戦争に駆り立てる道具になった

      −何を報道してはならないかから、何を報道しなければならないかに変わった

     ③ 取り締まり手段の深化—用紙統制

 (b)秘匿する情報=秘密内容の拡大、変化—狭義の軍事秘密からさまざまな政治、経済、資源情報へ

     日中戦争下で「進化」

     現代の総力戦は、秘匿すべきものは狭義の軍事秘密に限られない

     秘密の拡大−軍事秘密から政治経済情報一般へ

     −軍機保護法大改正、軍用資源秘密保護法、国防保安法へ(資料3)

     秘密の公開が処罰対象に国防保安法第5条「公ニシタルトキハ」

 (c)事前規制と国民への威嚇の拡大

     戦時下に何でもありの秘密保護−花見客のカメラ、スパイと疑われた在日中国人

     スパイと密告されたキリスト教徒、「大和」進水時登山禁止、みんながスパイ相互監視


3 戦後日本国憲法下の市民的自由と秘密保護法

(1)日本国憲法と秘密保護法制−憲法の表現の自由、平和主義

   治安立法の廃止

   戦後の治安立法は、運動で、十分機能せず

   代わりにマスメディアの自主規制

   秘密保護法制も米軍の秘密守る法制はあるが単行法は欠如

   それにもかかわらず秘密保護、情報を受け取る権利の侵害

(2)憲法が想定した言論、報道の国家からの自由は簡単には実現しなかった

 (a)1950年代、政府の表現の自由抑制と抵抗

  1 冷戦対決のもと、共産主義取り締まりを口実とした言論規制

    公安条例、破防法と憲法21条(資料4)

  2 戦後民主主義運動が、国家からの規制に歯止めをかけた

   1 破防法4事件と無罪−釧路事件、津事件、岐阜事件、京都事件—共産党員のビラまき

     判決、いずれも無罪—「明白にして現在の危険」原則、適用違憲論

   2 デモ行進と表現の自由−民主主義の土台としての市民的自由

 (b)1960〜80年代、憲法の表現の自由をめぐる攻防の時代

   1 報道の自由と、国民の知る権利の保障への動きと攻防

    報道の自由と取材の自由、沖縄密約電文事件

    国家が情報を隠していては規制がないだけでは「知る権利」を充足できない

   2 その後も国家による規制の動きはくり返し起こっている

    新左翼の運動に対する破防法の発動

   3 マスメディアの時代−マスメディアの巨大な機構の成立

    国家が抑圧しなくとも言論の自由は保障されない−マスメディアの自主規制と新たな脅威

    企業社会が確立すると思想・表現の自由は絵に描いた餅となる

   4 社会的暴力と言論の自由—右翼のテロとメディアの言論

    風流夢譚事件—深沢一郎『風流夢譚』、嶋中事件、セヴンティーン事件

    桐山襲『パルチザン伝説』1983年9月、本島長崎市長事件

(3)戦後日本の秘密保護法制定の試みと挫折

  (a)単行秘密保護法はなかったが

    沖縄公電漏洩事件

  (b)中曽根内閣下の秘密保護法の試みと挫折−国家秘密法案

    戦後保守政治の「小国主義」が戦争参加と秘密保護法を阻んだ

 

4 安倍政権の「戦争する国」づくり・改憲と秘密保護法

(1)改憲、「戦争する国」づくりと並行する秘密保護法制定

 (a)秘密保護法は安倍政権が言い始めたものではない

   90年代冷戦終焉と日本の軍事大国化以来の執念

   軍事大国化の第2段階で秘密保護法は集団的自衛権と同時に登場−第1次アーミテージレポート

   集団的自衛権行使容認と並行する秘密保護法制定の策動

   第1次安倍政権の明文改憲挫折と集団的自衛権行使解釈見直し論、秘密保護法制定論の台頭

   麻生政権下の安保防衛懇、鳩山・菅政権の「新時代の安全保障」で登場(資料5)

   菅政権下でつくられた秘密保全法有識者会議で骨格「秘密保全の為の法制の在り方に関する有識者会議」

 (b)安倍政権はそれを実行、安倍でなければ、特定秘密保護法通らなかった

(2)安倍政権と秘密保護法の2つのねらいと3つの特徴

 (a)安倍政権の特異な性格

   安倍政権は日本の軍事大国化をねらう、アメリカの圧力を超えるもくろみ

   秘密保護法への2つのねらいの混入

 (b)第1のねらい−−「戦争する国」づくりの先行実施

   集団的自衛権行使の容認と秘密保護法の圧力、日本の民間の軍事技術、米軍等より取得した情報の保護

   秘密保護法も国家安全保障会議設置法も「戦争する国」づくりに不可欠

 (c)第2のねらい−新自由主義・構造改革再起動の円滑な実行、原発、TPP情報

   85年国家秘密法案より広い秘密

 (d)なぜ3つの特徴が

   1 なぜ秘密はかくも広くなったか?

     −現代の戦争と上方の広さ、安倍政権に都合の悪い情報を隠したい

   2 なぜ事前抑制は強まったか

     治安立法の欠如−治安維持法がない

   3 なぜマスコミにターゲットを

     新聞紙法、出版法がない、政権に都合の悪い情報をシャットアウトしたい


小括 集団的自衛権行使容認の解釈改憲と秘密保護法を阻む国民的共同を

 特定秘密保護法反対運動の教訓から

  平和と民主主義の合流−「戦争する国」づくりに反対する声、国民主権の侵害に反対する声

  マスコミの反対への移行

 安倍政権の誤算と譲歩、決戦は秋

  与党公明党の動揺、自民党内の動揺・批判、内閣法制局の抵抗

「秘密保護法」廃止へ!実行委員会主催講演資料  2014.08.23 渡辺治



(資料1) 戦前の言論規制立法

1 出版法

第二条 新聞紙又ハ定期ニ発行スル雑誌ヲ除クノ外文書図画ノ出版ハ総テ此ノ法律ニ依ルヘシ但シ専ラ学術、技芸、統計、広告ノ類ヲ記載スル雑誌ハ此ノ法律ニ依リ出版スルコトヲ得

第三条 文書図画ヲ出版スルトキハ発行ノ日ヨリ到達スヘキ日数ヲ除キ三日前ニ製本二部ヲ添ヘ内務省ニ届出ヘシ

第十九条 安寧秩序ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壊乱スルモノト認ムル文書図画ヲ出版シタルトキハ内務大臣ニ於テ其ノ発売頒布ヲ禁シ其ノ刻版及印本ヲ差押フルコトヲ得

第二十条 外国ニ於テ印刷シタル文書図画ニシテ安寧秩序ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壊乱スルモノト認ムルトキハ内務大臣は其ノ文書図画ノ内国ニ於ケル発売頒布ヲ禁シ其ノ印本ヲ差押フルコトヲ得

第二十六条 皇室ノ尊厳ヲ冒涜シ、政体ヲ変壊シ又ハ国憲ヲ紊乱セムトスル文書図画ヲ出版シタルトキハ著作者、発行者、印刷者ヲ二月以上二年以下ノ軽禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス

第二十七条 安寧秩序ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壊乱スル文書図画ヲ出版シタルトキハ著作者、発行者ヲ十一日以上六月以下ノ軽禁錮又ハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処ス


2 新聞紙法

第四条 新聞紙ノ発行人ハ左ノ事項ヲ内務大臣ニ届出ツヘシ

 一 題号

 二 掲載事項ノ種類

 三 時事ニ関スル事項ノ掲載ノ有無

 四 発行ノ時期、若時期ヲ定メサルトキハ其ノ旨

 五 第一回発行ノ年月日

 六 発行所及印刷所

 七 持主ノ氏名、若法人ナルトキハ其ノ名称及代表者ノ氏名

 八 発行人、編輯人及印刷人ノ氏名年齢但シ編輯人ニ二人以上アルトキハ其ノ主トシテ編輯事務ヲ担当スル者ノ氏名年齢

第十条 新聞紙ニハ発行人、編輯人、印刷人ノ氏名及ビ発行所ヲ掲載スヘシ

第十一条 新聞紙ハ発行ト同時ニ内務省ニ二部、管轄地方官庁、地方裁判所検事局及区裁判所検事局ニ各一部ヲ納ムヘシ

第二十三条 内務大臣ハ新聞紙掲載ノ事項ニシテ安寧秩序ヲ紊シ又ハ風俗ヲ害スルモノト認ムルトキハ其ノ発売及頒布ヲ禁止シ必要ノ場合ニ於テハ之ヲ差押フルコトヲ得

2 前項ノ場合ニ於テ内務大臣ハ同一主旨ノ事項ノ掲載ヲ差止ムルコトヲ得

第四十一条 安寧秩序ヲ紊シ又ハ風俗ヲ害スル事項ヲ新聞紙ニ掲載シタルトキハ発行人、編輯人ヲ六月以下ノ禁錮又ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス

第四十二条 皇室ノ尊厳ヲ冒涜シ政体ヲ変壊シ又ハ国憲ヲ紊乱セムトスルノ事項ヲ新聞紙ニ掲載シタルトキハ発行人、編輯人、印刷人ヲ二年以下ノ禁錮及三百円以下ノ罰金ニ処ス

第四十三条 第四十条乃至第四十二条ニ依リ処罰スル場合ニ於テ裁判所ハ其ノ新聞紙ノ発行ヲ禁止スルコトヲ得



(資料2)戦前日本の運動弾圧法令

1 行政執行法(明治33年法律第84)

第一条 当該行政官庁ハ泥酔者、瘋癩者自殺ヲ企ツル者其ノ他救護ヲ要スト認ムル者ニ対シ必要ナル検束ヲ加ヘ戎器、兇器其ノ他危険ノ虞アル物件ノ仮領置ヲ為スコトヲ得暴行、闘争其ノ他公安ヲ害スルノ虞アル者ニ対シ之ヲ予防スル為必要ナルトキ亦同シ

2 前項ノ検束ハ翌日ノ没後ニ至ルコトヲ得ス又仮領置ハ三十日以内ニ於テ其ノ期間ヲ定ムヘシ

第二条 当該行政官庁ハ日出前、日没後ニ於テハ生命身体又ハ財産ニ対シ危害切迫セリト認ムルトキ又ハ博奕、密売淫ノ現行アリト認ムルトキニ非サレハ現居住者ノ意ニ反シテ邸宅ニ入ルコトヲ得ス但シ旅店、割烹店其ノ他夜間ト雖衆人ノ出入スル場所ニ於テ其ノ公開時間内ハ此ノ限ニ在ラス


2 治安警察法(明治33年法律第36)

第一条 政事ニ関スル結社ノ主幹者(支社ニ在リテハ支社ノ主幹者)ハ結社組織ノ日ヨリ三日以内ニ社名、社則、事務所及其ノ主幹者ノ氏名ヲ其ノ事務所所在地ノ管轄警察官署ニ届出ツヘシ其ノ届出ノ事項ニ変更アリタルトキ亦同シ

第二条 政事ニ関シ公衆ヲ会同スル集会ヲ開カムトスル者ハ発起人ヲ定ムヘシ

2 発起人ハ到達スヘキ時間ヲ除キ開会三時間以前ニ集会ノ場所、年月日時ヲ会場所在地ノ管轄警察官署ニ届出ツヘシ


3 届出ノ時刻ヨリ三時間ヲ過キテ開会セス若ハ三時間以上中断スルトキハ届出ハ其ノ効ヲ失フ


4 法令ヲ以テ組織シタル議会ノ議員選挙準備ノ為ニ選挙権ヲ行フヘキ者及被選挙権ヲ有スル者ニ限リ会同スル所ノ集会ハ投票ノ日ヨリ前五十日間ハ本条第二項ノ届出ヲ要セス

第三条 公事ニ関スル結社又ハ集会ニシテ政事ニ関セサルモノト雖安寧秩序ヲ保持スル為届出ヲ必要トスルモノアルトキハ命令ヲ以テ第一条又ハ第二条ノ規定ニ依ラシムルコトヲ得

第四条 屋外ニ於テ公衆ヲ会同シ若ハ多衆運動セムトスルトキハ発起人ヨリ十二時間以前ニ会同スヘキ場所年月日時及其ノ通過スヘキ路線ヲ管轄警察官署ニ届出ツヘシ但シ祭葬、講社、学生生徒ノ体育運動其ノ他慣例ノ許ス所ニ係ルモノハ此ノ限ニ在ラス

第五条 左ニ掲クル者ハ政事上ノ結社ニ加入スルコトヲ得ス


 一 現役及召集中ノ予備後備ノ陸海軍軍人


 二 警察官


 三 神官神職僧侶其ノ他諸宗教師


 四 官立公立私立学校ノ教員学生生徒


 五 女子


 六 未成年者


 七 公権剥奪及停止中ノ者

2 未成年者ハ公衆ヲ会同スル政談集会ニ会同シ若ハ其ノ発起人タルコトヲ得ス

3 公権剥奪及停止中ノ者ハ公衆ヲ会同スル政談集会ノ発起人タルコトヲ得ス

第六条 日本臣民ニ非サル者ハ政事上ノ結社ニ加入シ又ハ公衆ヲ会同スル政談集会ノ発起人タルコトヲ得ス

第七条 結社ハ法令ヲ以テ組織シタル議会ノ議員ニ対シテ其ノ発言表決ニ付議会外ニ於テ責任ヲ負ハシムルノ規定ヲ設クルコトヲ得ス

第八条 安寧秩序ヲ保持スル為必要ナル場合ニ於テハ警察官ハ屋外ノ集会又ハ多衆ノ運動若ハ群集ヲ制限、禁止若ハ解散シ又ハ屋内ノ集会ヲ解散スルコトヲ得

2 結社ニシテ前項ニ該当スルトキハ内務大臣ハ之ヲ禁止スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得

第九条 集会ニ於テハ重罪軽罪ノ予審ニ関スル事項ヲ公判ニ付セサル以前ニ講談論議シ又ハ傍聴ヲ禁シタル訴訟ニ関スル事項ヲ講談論議スルコトヲ得ス

2 集会ニ於テハ犯罪ヲ煽動若ハ曲庇シ又ハ犯罪人若ハ刑事被告人ヲ賞恤若ハ救護シ又ハ刑事被告人ヲ陥害スルノ講談論議ヲ為スコトヲ得ス

第十条 集会ニ於ケル講談論議ニシテ前条ノ規定ニ違背シ其ノ他安寧秩序ヲ紊シ若ハ風俗ヲ害スルノ虞アリト認ムル場合ニ於テハ警察官ハ其ノ人ノ講談論議ヲ中止スルコトヲ得

第十一条 結社、集会又ハ多衆運動ニ関シ警察官ノ尋問アリタルトキハ主幹者、会長、発起人ニ於テ又ハ警察官ノ主タル社員若ハ主タル会同者ト認ムル者ニ於テ之ニ答フヘシ

2 警察官署ハ制服ヲ著シタル警察官ヲ派遣シ政事ニ関シ公衆ヲ会同スル集会ニ臨監セシムルコトヲ得其ノ集会ニシテ政事ニ関セサルモノト雖安寧秩序ヲ妨害スルノ虞アリト認ムルトキ亦同シ此ノ場合ニハ発起人ニ於テ又ハ警察官ノ主タル会同者ト認ムル者ニ於テ警察官ノ求ムル席ヲ供スヘシ

第十二条 集会又ハ多衆運動ノ場合ニ於テ故ラニ喧擾シ又ハ狂暴ニ渉ル者アルトキハ警察官ハ之ヲ制止シ其ノ命ニ従ハサルトキハ現場ヨリ退去セシムルコトヲ得

第十三条 集会及多衆ノ運動ニ於テハ戎器又ハ兇器ヲ携帯スルコトヲ得ス但シ制規ニ依リ戎器ヲ携帯スル者ハ此ノ限ニ在ラス

第十四条 秘密ノ結社ハ之ヲ禁ス

第十五条 法令ヲ以テ組織シタル議会ノ議員議事準備ノ為ニ相団結スルモノニ対シテハ第一条及第五条ヲ適用セス

第十六条 街頭其ノ他公衆ノ自由ニ交通スルコトヲ得ル場所ニ於テ文書、図画、詩歌ノ掲示、頒布、朗読若ハ放吟又ハ言語形容其ノ他ノ作為ヲ為シ其ノ状況安寧秩序ヲ紊シ若ハ風俗ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ警察官ニ於テ禁止ヲ命スルコトヲ得

第十七条 削除

第十八条 行政官庁ハ安寧秩序ヲ保持スル為必要ト認ムルトキハ戎器、爆発物又ハ戎器ヲ仕込ミタル物件ノ携帯ヲ禁スルコトヲ得

第十九条 第一条ニ違背シタル者ハ三十円以下ノ罰金ニ処シ第一条ノ届出ヲ為スモ実ヲ以テセサル者ハ五十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十条 第二条第一項又ハ第二項ニ違背シタル者ハ二十円以下ノ罰金ニ処シ第二項ノ届出ヲ為スモ実ヲ以テセサル者ハ三十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十一条 第四条ニ違背シタル者ハ二十円以下ノ罰金ニ処シ第四条ノ届出ヲ為スモ実ヲ以テセサル者ハ三十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十二条 第五条又ハ第六条ニ違背シタル者ハ二十円以下ノ罰金ニ処ス第五条又ハ第六条ニ違背シ入社セシメタル者亦同シ

第二十三条 第八条第一項ノ制限若ハ禁止ノ命ニ違背シ又ハ解散ヲ命セラレタル後仍退散セサル者ハ二月以下ノ軽禁錮又ハ三十円以下ノ罰金ニ処ス
2 第八条第二項ノ禁止ノ命ニ違背シタル者ハ六月以下ノ軽禁錮又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス

第二十四条 第九条ニ違背シ又ハ第十条ノ中止ノ命ニ違背シタル者ハ三月以下ノ軽禁錮又ハ十円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十五条 第十一条第一項ノ尋問ニ答ヘス若ハ答フルモ実ヲ以テセス又ハ第二項ノ場合ニ於テ警察官ノ臨監ヲ拒ミ若ハ其ノ求ムル席ヲ供セサル者ハ五十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十六条 第十二条ニ依リ退去ヲ命セラレタル後仍退去セサル者ハ一月以下ノ軽禁錮又ハ二十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十七条 第十三条ニ違背シタル者ハ三月以下ノ軽禁錮又ハ五十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十八条 秘密ノ結社ヲ組織シ又ハ秘密ノ結社ニ加入シタル者ハ六月以上一年以下ノ軽禁錮ニ処ス

第二十九条 第十六条ノ禁止ノ命ニ違背シタル者ハ一月以下ノ軽禁錮又ハ三十円以下ノ罰金ニ処ス

第三十条 削除

第三十一条 第十八条ノ禁ヲ犯シタル者ハ六月以下ノ重禁錮ニ処ス

第三十二条 本法ニ関スル公訴ノ時効ハ六箇月トス

第三十三条 集会及政社法ハ之ヲ廃止ス


3 治安維持法(大正14年法律第46号、昭和3年勅令第129号による改正後)

第一条 国体ヲ変革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ五年以上ノ禁錮ニ処シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ二年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス

2 私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者、結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
3 前二項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

第二条 前条第一項又ハ第二項ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ実行ニ関シ協議ヲ為シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス

第三条 第一条第一項又ハ第二項ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ実行ヲ煽動シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス

第四条 第一条第一項又ハ第二項ノ目的ヲ以テ騒擾、暴行其ノ他生命、身体又ハ財産ニ害ヲ加フヘキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス

第五条 第一条第一項第二項又ハ前三条ノ罪ヲ犯サシムルコトヲ目的トシテ金品其ノ他ノ財産上ノ利益ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス情ヲ知リテ供与ヲ受ケ又ハ其ノ要求若ハ約束ヲ為シタル者亦同シ

第六条 前五条ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽又ハ免除ス

第七条 本法ハ何人ヲ問ハス本法施行区域外ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ亦之ヲ適用ス


(資料3)戦前の秘密保護法

1 軍機保護法(明治32年法律第104号)旧

第一条 軍事上秘密ノ事項又ハ図書物件タルコトヲ知テ之ヲ探知収集シタル者ハ重懲役ニ処シ其ノ情軽キ者ハ一等ヲ減ズ

第二条 職務ニ因リ軍事上秘密ノ事項又ハ図書物件ヲ知得領有シタル者其ノ秘密タルコトヲ知テ之ヲ他人ニ漏洩交付シ若ハ之ヲ公示シタルトキハ有期徒刑ニ処ス

第三条 偶然ノ原由ニ因リ軍事上秘密ノ事項又ハ図書物件ヲ知得領有シタル者其ノ秘密タルコトヲ知テ之ヲ他人ニ伝説交付シ若ハ之ヲ公示シタルトキハ軽懲役ニ処ス


2 改正軍機保護法(昭和12年法律第72)

第一条 本法ニ於テ軍事上ノ秘密ト称スルハ作戦、用兵、動員、出師其ノ他軍事上秘密ヲ要スル事項又ハ図書物件ヲ謂フ

2 前項ノ事項又ハ図書物件ノ種類範囲ハ陸軍大臣又ハ海軍大臣命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二条 軍事上ノ秘密ヲ探知シ又ハ収集シタル者ハ六月以上十年以下ノ懲役ニ処ス


2 軍事上ノ秘密ヲ公ニスル目的ヲ以テ又ハ之ヲ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ漏泄スル目的ヲ以テ前項ニ規定スル行為ヲ為シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ処ス

第三条 業務ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処ス

2 業務ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ公ニシ又ハ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ四年以上ノ懲役ニ処ス

第四条 軍事上ノ秘密ヲ探知シ又ハ収集シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ処ス

2 軍事上ノ秘密ヲ探知シ又ハ収集シタル者之ヲ公ニシ又ハ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ三年以上ノ懲役ニ処ス

第五条 偶然ノ原由ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ六月以上十年以下ノ懲役ニ処ス

2 偶然ノ原由ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ公ニシ又ハ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ処ス

第六条 軍事上ノ秘密ヲ探知シ、収集シ又ハ漏泄スルコトヲ目的トシテ団体ヲ組織シタル者又ハ其ノ団体ノ指導者タル任務ニ従事シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処ス

2 情ヲ知リテ前項ノ団体ニ加入シタル者ハ六月以上七年以下ノ懲役ニ処ス

第七条 業務ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有シタル者過失ニ因リ之ヲ他人ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ三年以下ノ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

第八条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ軍事上ノ秘密保護ノ為必要アルトキハ命令ヲ以テ左ニ掲グルモノニ付測量、撮影、模写、模造若ハ録取又ハ其ノ複写若ハ複製ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得


 一 軍港、要港又ハ防禦港


 二 堡塁、砲台、防備衛所其ノ他ノ国防ノ為建設シタル防禦営造物


 三 軍用艦船、軍用航空機若ハ兵器又ハ陸軍大臣若ハ海軍大臣所管ノ飛行場、電気通信所、軍需品工場、軍需品貯蔵所其ノ他ノ軍事施設

2 前項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

第九条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ軍事上ノ秘密保護ノ為必要アルトキハ命令ヲ以テ前条第一項ノ防禦営造物又ハ軍事施設ノ周囲ノ地域ニシテ陸軍大臣又ハ海軍大臣所管ノモノニ付区域ヲ定メ其ノ区域ニ付測量、撮影、模写、模造若ハ録取又ハ其ノ複写若ハ複製ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得

2 前項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者亦前条第二項ニ同ジ

第十条 許可ヲ得ズ若ハ許可ニ附シタル条件ニ違反シ又ハ詐偽ノ方法ヲ以テ許可ヲ得テ第八条第一項第二号若ハ第三号ニ掲グルモノニテ同条ノ禁止若ハ制限ニ係ルモノ又ハ前条第一項ノ区域ニ侵入シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス

第十一条 第八条第一項又ハ第九条第一項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反スル行為ヨリ生ジタル図書物件ヲ他人ニ交付シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

2 前項ノ図書物件ヲ公ニシ又ハ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ交付シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

第十二条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ防空其ノ他国土防衛ノ為軍事上ノ秘密保護ノ必要アルトキハ命令ヲ以テ空域、土地又ハ水面ニ付区域ヲ定メ左ニ掲グル行為ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得


 一 其ノ区域ニ於ケル航空


 二 其ノ区域内ノ気象ノ観測又ハ其ノ区域内ノ水陸ノ形状若ハ施設物ノ状況ノ測量若ハ空中、高所ヨリノ撮影若ハ模写又ハ其ノ複写若ハ複製

2 前項第一号ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ処シ同項第二号ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス

3 第一項第二号ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反スル行為ヨリ生ジタル図書ヲ他人ニ交付シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス

4 前項ノ図書ヲ公ニシ又ハ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ交付シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

第十三条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ演習又ハ兵器実験等ニ際シ軍事上ノ秘密保護ノ必要アルトキハ命令ヲ以テ演習又ハ実験等ヲ行フ空域、土地又ハ水面及其ノ周囲ノ地域ニ付区域及期間ヲ定メ之ニ出入スルコトヲ一時禁止シ又ハ制限スルコトヲ得

2 前項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス

第十四条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ軍事上ノ秘密保護ノ為必要アルトキハ命令ヲ以テ開港場以外ノ水面ニ付区域ヲ定メ外国船舶ノ之ニ出入スルコトヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得


2 前項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル船舶ノ長又ハ其ノ職務ヲ執ル者ハ五年以下ノ懲役又ハ三百円以上二千円以下ノ罰金ニ処ス


3 前項ノ場合ニ於テ情状重キトキハ其ノ船舶ヲ没収ス

第十五条 第二条乃至第六条、第八条第二項、第九条第二項、第十条、第十一条、第十二条第二項乃至第四項及第十三条第二項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

第十六条 第二条乃至第五条ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備又ハ陰謀ヲ為シタル者ハ三月以上七年以下ノ懲役ニ処ス


2 第二条乃至第五条ノ罪ヲ犯サシムル為他人ヲ誘惑シ又ハ煽動シタル者亦前項ニ同ジ

第十七条 第六条、第八条第二項、第九条第二項、第十条、第十一条、第十二条第二項乃至第四項又ハ第十三条第二項ノ罪ヲ犯サシムル為他人ヲ誘惑シ又ハ煽動シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス

第十八条 本法ノ罪ヲ犯シ因テ得タル財物ハ犯人以外ノ者ニ属セザルトキニ限リ之ヲ没収ス其ノ財物ガ犯人以外ノ者ニ属シ又ハ消費其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス

第十九条 第二条乃至第五条、第七条、第八条第二項、第九条第二項、第十一条又ハ第十二条第二項乃至第四項ニ規定スル犯罪行為(未遂罪ノ場合ヲ含ム)ヲ組成シタル物又ハ其ノ犯罪行為ヨリ生ジタル物ハ裁判ニ依リ没収スル場合ヲ除クノ外何人ノ所有ヲ問ハズ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収スルコトヲ得

2 前項ノ没収ニ関スル手続ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二十条 第二条、第六条、第八条第二項、第九条第二項、第十二条第二項、第十五条又ハ第十六条第一項ノ罪ヲ犯シタル者未ダ官ニ発覚セザル前自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽シ又ハ免除ス

第二十一条  第二条乃至第七条、第八条第二項、第九条第二項、第十一条、第十二条第二項乃至第四項及第十五条乃至前条ノ規定ハ何人ヲ問ハズ本法施行地外ニ於テ其ノ罪ヲ犯シタル者ニ亦之ヲ適用ス


3 軍用資源秘密保護法(昭和14年法律第25)

第一条 本法ハ国防目的達成ノ為軍用ニ供スル(軍用ニ供スベキ場合ヲ含ム以下之ニ同ジ)人的及物的資源ニ関シ外国ニ秘匿スルコトヲ要スル事項ノ漏泄ヲ防止スルヲ以テ目的トス

第二条 陸軍大臣又ハ海軍大臣(官庁ノ管理ニ属スルモノニ係ルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣)ハ左ニ掲グルモノニ就キ命令ヲ以テ軍用資源秘密ヲ指定ス但シ公示ヲ不適当トスルモノニ係ル指定ハ当該事項又ハ図書物件ノ管理者又ハ之ニ準ズベキ者ニ対スル通知ヲ以テ之ヲ為ス


 一 全国(関東州及南洋群島ヲ含ム以下之ニ同ジ)又ハ一地方ニ於ケル軍用ニ供スル重要ナル物資ノ生産額、生産能力、生産能力判定資料タル設備ノ種類別数(之ヲ判定シ得ベキ比率ヲ含ム以下之ニ同ジ)及政府ノ決定シタル生産計画並ニ此等ヲ表示スル図書物件


 二 兵器ヲ生産スル工場事業場又ハ之ニ転用スルコトヲ得ル工場事業場ノ当該兵器ノ生産額、生産能力並ニ生産能力判定資料タル重要ナル設備ノ種類別数及其ノ設備ニ属スル従業者ノ総数(之ヲ判定シ得ベキ比率ヲ含ム以下之ニ同ジ)又ハ種類別数並ニ此等ヲ表示スル図書物件


 三 兵器以外ノ軍用ニ供スル重要ナル物資ヲ生産スル工場事業場又ハ之ニ転用スルコトヲ得ル工場事業場ノ当該物資ノ生産額、生産能力、生産能力判定資料タル重要ナル設備ノ種類別数及其ノ設備ニ属スル従業者ノ総数又ハ種類別数並ニ政府ノ決定シタル生産計画並ニ此等ヲ表示スル図書物件


 四 全国又ハ一地方ニ於ケル軍用ニ供スル重要ナル物資ノ貯蔵額及貯蔵設備ノ貯蔵能力、此等ノ判定資料タル重要ナル貯蔵設備ノ当該物資ノ貯蔵額及貯蔵能力、政府ノ決定シタル当該物資ノ貯蔵計画並ニ此等ヲ表示スル図書物件


 五 政府ガ貯蔵セシメタル軍用ニ供スル重要ナル物資ノ貯蔵額、政府ガ当該物資ヲ貯蔵セシメタル貯蔵設備ノ貯蔵能力、政府ノ決定シタル当該物資ノ貯蔵命令等ニ係ル貯蔵計画並ニ此等ヲ表示スル図書物件


 六 全国若ハ一地方又ハ重要ナル港湾ニ於ケル軍用ニ供スル重要ナル物資ノ輸入額及政府ノ決定シタル輸入計画並ニ此等ヲ表示スル図書物件


 七 全国又ハ一地方ニ於ケル軍用ニ供スル特殊技能者其ノ他ノ重要ナル人的資源ノ総数又ハ種類別数及此等ヲ表示スル図書物件


 八 全国又ハ一地方ニ於ケル軍用ニ供スル航空機、自動車又ハ馬ノ総数又ハ種類別数及此等ヲ表示スル図書物件


 九 軍用ニ供スル重要ナル鉄道ノ輸送能力及輸送能力判定資料タル輸送統計、此等ヲ表示スル図書物件並ニ軍用ニ供スル重要ナル鉄道ノ施設又ハ車輌ニ関スル重要ナル記録図表及其ノ内容


 十 軍用ニ供スル重要ナル飛行場又ハ其ノ附属設備ニ関スル重要ナル記録図表及其ノ内容


 十一 軍用ニ供スル船舶ニ於ケル特殊設備ニ関スル重要ナル記録図表及其ノ内容


 十二 軍用ニ供スル重要ナル通信連絡系統及其ノ通信能力、此等ヲ表示スル図書物件並ニ軍用ニ供スル重要ナル通信設備又ハ其ノ設備ノ通信能力若ハ連絡系統ニ関スル重要ナル記録図表及其ノ内容


 十三 陸軍大臣若ハ海軍大臣ノ命令若ハ委嘱ニ依ル重要ナル試験研究又ハ軍事上秘匿ヲ要スル発明考案ニ関スル事項及図書物件


 十四 軍事上秘匿ヲ要スル気象ニ関スル重要ナル事項及図書物件


 十五 特ニ秘匿ノ措置ヲ要スル第二号乃至第五号及第九号乃至第十二号ニ規定スル設備、第十三号ノ試験研究ニ関スル設備並ニ此等ノ機構及性能並ニ此等ヲ表示スル図書物件

第三条 軍用資源秘密トシテ秘匿スルノ要ナキニ至リタルモノニ付テハ其ノ指定ヲ解除ス

2 前条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル解除ノ場合ニ之ヲ準用ス

3 軍用資源秘密ニ関シ政府ノ公表シタルモノアルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ内容ト為リタル部分ニ限リ其ノ指定ノ解除アリタルモノト看做ス

第四条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ軍用資源秘密ニ属スル図書物件ニ一定ノ標記ヲ附セシムルコトヲ得

第五条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ第二条第十五号ニ該当スル軍用資源秘密ニ属スル設備ヲ秘匿スル為必要アルトキハ其ノ管理者又ハ之ニ準ズベキ者ニ対シ当該設備ノ遮蔽其ノ他之ヲ秘匿スルニ必要ナル措置ヲ命ズルコトヲ得

第六条 陸軍大臣又ハ海軍大臣(官庁ノ管理ニ属スルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣)ハ第二条第十五号ニ該当スル軍用資源秘密ニ属スル設備ヲ秘匿スル為必要アルトキハ命令ヲ之ニ付立入又ハ測量、撮影、模写、模造若ハ録取又ハ其ノ複写若ハ複製ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得

第九条 陸軍大臣又ハ海軍大臣ハ第五条ノ規定ニ依ル命令ニ係ル事項ニ関シ当該設備ノ管理者又ハ之ニ準ズベキ者ニ対シ報告ヲ命ジ又ハ当該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ立入リ、検査ヲ為シ若ハ関係者ニ対シ質問ヲ為サシムルコトヲ得


4 国防保安法(昭和16年法律第49)

第一条 本法ニ於テ国家機密トハ国防上外国ニ対シ秘匿スルコトヲ要スル外交、財政、経済其ノ他ニ関スル重要ナル国務ニ係ル事項ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノ及之ヲ表示スル図書物件ヲ謂フ

 一 御前会議、枢密院会議、閣議又ハ之ニ準ズベキ会議ニ付セラレタル事項及其ノ会議ノ議事

 二 帝国議会ノ秘密会議ニ付セラレタル事項及其ノ会議ノ議事

 三 前二号ノ会議ニ付スル為準備シタル事項其ノ他行政各部ノ重要ナル機密事項

第二条 本章ノ罰則ハ何人ヲ問ハズ本法施行地外ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ付亦之ヲ適用ス

第三条 業務ニ因リ国家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ外国(外国ノ為ニ行動スル者及外国人ヲ含ム以下同ジ)ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ死刑又ハ無期若ハ三年以上ノ懲役ニ処ス

第四条 外国ニ漏泄シ又ハ公ニスル目的ヲ以テ国家機密ヲ探知シ又ハ収集シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ処ス


2 前項ノ目的ヲ以テ国家機密ヲ探知シ又ハ収集シタル者之ヲ外国ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ死刑又ハ無期若ハ三年以上ノ懲役ニ処ス

第五条 前二条ニ規定スル原由以外ノ原由ニ因リ国家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ外国ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス

第六条 業務ニ因リ国家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス

第七条 業務ニ因リ国家機密ヲ知得シ又ハ領有シタル者過失ニ因リ之ヲ外国ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ三年以下ノ禁錮又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

第八条 国防上ノ利益ヲ害スベキ用途ニ供スル目的ヲ以テ又ハ其ノ用途ニ供セラルル虞アルコトヲ知リテ外国ニ通報スル目的ヲ以テ外交、財政、経済其ノ他ニ関スル情報ヲ探知シ又ハ収集シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス

第九条 外国ト通謀シ又ハ外国ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ治安ヲ害スベキ事項ヲ流布シタル者ハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス

第十条 外国ト通謀シ又ハ外国ニ利益ヲ与フル目的ヲ以テ金融界ノ撹乱、重要物資ノ生産又ハ配給ノ阻害其ノ他ノ方法ニ依リ国民経済ノ運行ヲ著シク阻害スル虞アル行為ヲ為シタル者ハ無期又ハ一年以上ノ懲役ニ処ス

2 前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ十万円以下ノ罰金ヲ併科スルコトヲ得

第十一条 第三条乃至第五条、第八条、第九条及前条第一項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

第十二条 第三条乃至第五条、第九条又ハ第十条第一項ノ罪ヲ犯スコトヲ教唆シタル者ハ被教唆者其ノ実行ヲ為スニ至ラザルトキハ十年以下ノ懲役ニ処ス

2 第三条乃至第五条、第九条又ハ第十条第一項ノ罪ヲ犯サシムル為他人ヲ誘惑シ又ハ煽動シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ

3 第八条ノ罪ヲ犯スコトヲ教唆シタル者ハ被教唆者其ノ実行ヲ為スニ至ラザルトキハ三年以下ノ懲役ニ処ス

4 第八条ノ罪ヲ犯サシムル為他人ヲ誘惑シ又ハ煽動シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ

第十三条 第三条乃至第五条、第九条又ハ第十条第一項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備又ハ陰謀ヲ為シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ処ス


2 第八条ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備又ハ陰謀ヲ為シタル者ハ二年以下ノ懲役ニ処ス


(資料4)戦後の治安立法

1 破防法

第1条 この法律は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行つた団体に対する必要な規制措置を定めるとともに、暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を補整し、もつて、公共の安全の確保に寄与することを目的とする。

第4条 この法律で「暴力主義的破壊活動」とは、左に掲げる行為をいう。

1.イ 刑法(明治40年法律第45号)77(内乱)、78(予備及び陰謀)、79(内乱等幇助)、81(外患誘致)、82(外患援助)、87(未遂罪)又は88(予備及び陰謀)に規定する行為をなすこと。

ロ この号イに規定する行為の教唆をなすこと。

ハ 刑法7781又は82に規定する行為を実行させる目的をもって、その行為のせん動をなすこと。

ニ 刑法7781又は82に規定する行為を実行させる目的をもって、その実行の正当性又は必要性を主張した文書又は図画を印刷し、頒布し、又は公然掲示すること。

ホ 刑法7781又は82に規定する行為を実行させる目的をもつて、無線通信又は有線放送により、その実行の正当性又は必要性を主張する通信をなすこと。

2.政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、左に掲げる行為の一をなすこと。

イ 刑法106(騒乱)に規定する行為

ロ 刑法108(現住建造物等放火)又は109第1項(非現住建造物等放火)に規定する行為

ハ 刑法117第1項前段(激発物破裂)に規定する行為

ニ 刑法125(往来危険)に規定する行為

ホ 刑法126第1項又は第2項(汽車転覆等)

ヘ 刑法199(殺人)に規定する行為

ト 刑法236第1項(強盗)に規定する行為

チ 爆発物取締罰則(明治17年太政官布告第32号)第1条(爆発物使用)に規定する行為

リ 検察若しくは警察の職務を行い、若しくはこれを補助する者、法令により拘禁された者を看守し、若しくは護送する者又はこの法律の規定により調査に従事する者に対し、凶器又は毒劇物を携え、多衆共同してなす刑法95(公務執行妨害及び職務強要)に規定する行為

ヌ この号イからリまでに規定する行為の一の予備、陰謀若しくは教唆をなし、又はこの号イからリまでに規定する行為の一を実行させる目的をもつてその行為のせん動をなすこと。

2 この法律で「せん動」とは、特定の行為を実行させる目的をもつて、文書若しくは図画又は言動により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与えることをいう。

3 この法律で「団体」とは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいう。但し、ある団体の支部、分会その他の下部組織も、この要件に該当する場合には、これに対して、この法律による規制を行うことができるものとする。

第5条 公安審査委員会は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行つた団体に対して、当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、左に掲げる処分を行うことができる。但し、その処分は、そのおそれを除去するために必要且つ相当な限度をこえてはならない。

1.当該暴力主義的破壊活動が集団示威運動、集団行進又は公開の集会において行われたものである場合においては、6月をこえない期間及び地域を定めて、それぞれ、集団示威運動、集団行進又は公開の集会を行うことを禁止すること。

2.当該暴力主義的破壊活動が機関誌紙(団体がその目的、主義、方針等を主張し、通報し、又は宣伝するために継続的に刊行する出版物をいう。)によつて行なわれたものである場合においては、6月をこえない期間を定めて、当該機関誌紙を続けて印刷し、又は頒布することを禁止すること。

3.6月をこえない期間を定めて、当該暴力主義的破壊活動に関与した特定の役職員(代表者、主幹者その他名称のいかんを問わず当該団体の事務に従事する者をいう。以下同じ。)又は構成員に当該団体のためにする行為をさせることを禁止すること。

第7条 公安審査委員会は、左に掲げる団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があり、且つ、第5条第1項の処分によつては、そのおそれを有効に除去することができないと認められるときは、当該団体に対して、解散の指定を行うことができる。

1.団体の活動として第4条第1項第1号に掲げる暴力主義的破壊活動を行つた団体

2.団体の活動として第4条第1項第2号イからリまでに掲げる暴力主義的破壊活動を行い、若しくはその実行に着手してこれを遂げず、又は人を教唆し、若しくはこれを実行させる目的をもつて人をせん動して、これを行わせた団体

3第5条第1項の処分を受け、さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行つた団体

第8条 前条の処分が効力を生じた後は、当該処分の原因となつた暴力主義的破壊活動が行われた日以後当該団体の役職員又は構成員であつた者は、当該団体のためにするいかなる行為もしてはならない。但し、その処分の効力に関する訴訟又は当該団体の財産若しくは事務の整理に通常必要とされる行為は、この限でない。

2 東京都公安条例

第一条[集会等の許可制]

 道路その他公共の場所で集会若しくは集団行進を行おうとするとき、又は場所のいかんを問わず集団示威運動を行おうとするときは、東京都公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。但し、次の各号に該当する場合はこの限りでない。

一 学生、生徒その他の遠足、修学旅行、体育、競技

二 通常の冠婚葬祭等慣例による行事

第三条[許可の条件]

1 公安委員会は、前条の規定による申請があつたときは、集会、集団行進又は集団示威運動の実施が公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合の外は、これを許可しなければならない。 但し、次の各号に関し必要な条件をつけることができる。

一 官公庁の事務の妨害防止に関する事項

二 じゆう器、きよう器その他の危険物携帯の制限等危害防止に関する事項

三 交通秩序維持に関する事項

四 集会、集団行進又は集団示威運動の秩序保持に関する事項

五 夜間の静ひつ保持に関する事項

六 公共の秩序又は公衆の安全を保持するためやむを得ない場合の進路、場所又は日時の変更に関する事項

3 公安委員会は、前二項の規定にかかわらず、公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至つたときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。

4 公安委員会は、第一項の規定により不許可の処分をしたとき、又は前項の規定により許可を取り消したときは、その旨を詳細な理由をつけて、すみやかに東京都議会に報告しなければならない。


(資料5)新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想」2010.8

第3章 防衛力を支える基盤の整備

 武器輸出3原則の見直し

 日本はこれまで日米の共同開発・共同生産等を武器輸出三原則等の例外として認めてきた。しかし、日本の安全保障における防衛生産・技術基盤の重要性に鑑みれば、武器輸出三原則等の下での武器禁輸政策については、見直すことが必要である。共同開発・共同生産の活用を進めれば、先端技術へのアクセス、装備品の開発コスト低減等のメリットがある。また、共同開発・共同生産は、日米同盟の深化、米国以外の国々との安全保障協力関係の深化にもつながる。

 

第4章 安全保障戦略を支える基盤の整備

 日本版NSC創設、国家安全保障戦略の策定

 こうした基盤に立って、今後取り組むべき課題の一つは、自然災害等の危機への対応とともに武力攻撃事態のような国家的な緊急事態が発生した際にも、内閣の安全保障機構が十全に機能を発揮するための準備と検証であろう。そのためには、武力攻撃事態や周辺事態、あるいは大規模サイバー攻撃といった事態を想定し、平素から、政府全体としての総合的な演習を定期的に実施することにより、現行態勢の問題点を洗い出すとともに、平時から有事への国としてのシームレスな対応が確保できるよう、所要の改善措置を講じていくべきである。また、こうした演習には、内閣総理大臣と関係閣僚の参加も必要である。どのような制度にしても、それを指導者が使いこなす意思と能力を持つことが最も重要だからである。

 もう一つの課題は内閣の安全保障機構における国家安全保障戦略の策定である。日本の内閣の安全保障機構と米国等の国家安全保障会議(NSC)とを単純に比較することは適切ではないが、両者の大きな違いは、日本の内閣の安全保障機構が、高次元での国家安全保障戦略そのものを策定する態勢になっていないことである。その態勢整備のためには、法改正による機構改革が必要となるケースもあるが、新たな機構にNSCという名称を冠するかどうかは本質的な問題ではなく、実効性のある制度を整備することが重要である。ただし、米国をはじめとして多くの国がNSCを有していることに鑑み、日本における彼らのカウンターパートがどの部署の誰であるか、いわば「誰に電話をかければよいか」が時に不明になってしまうという通弊は早急に改善されるべきである。

 秘密保護法制定

 これら日本が独自に収集した情報を適切に保護するためにも省庁間における秘区分および取扱手続の共通化など、政府横断的な取り組みとして情報保全の強化を一層進めるべきである。なお、情報保全の強化とともに適切な文書管理にも配慮する必要がある。

 また、今日の世界で、日本だけで安全保障上の課題に取り組むことは不可能である。インテリジェンスの分野で日本のパートナーを増やし、他国との情報協力を進めるためにも、情報保全機能を強化して日本に対する信頼を増進しなければならない。

こうした情報保全の強化の取り組みに法的基盤を与えるため、秘密保護法制が必要である

 自衛権行使の政府解釈変更

 現状および近い将来において、日米安保体制をより一層円滑に機能させていくためには、改善すべき点が存在するが、その中には自衛権行使に関する従来の政府の憲法解釈との関わりがある問題も含まれている

 これまで様々な場で、弾道ミサイル防衛や米艦艇の防護など具体的な類型を提示しつつ提言が行われてきたように、弾道ミサイル防衛技術の進展など、近年の科学技術の進歩により安全保障環境も大きく変化している。加えて宇宙、サイバー空間の安定した秩序が保たれることも重要な課題となっている。こうした環境の変化に、日米の共同運用に関する法制が十分追いついていない。

 たとえば、日本防衛事態に至る以前の段階で、ミサイル発射に備えて日米共同オペレーションに従事する米艦にゲリラ的攻撃が仕掛けられた場合に、これを自衛隊が防護することは従来の憲法解釈では認められていない。また、弾道ミサイル防衛について、日本のイージス艦がハワイ等米国領土に向かう弾道ミサイルを撃ち落とすことが、将来能力的に可能となったとしても、従来の憲法解釈では日本防衛以外のシナリオでの弾道ミサイルの迎撃は認められていない。つまり、日本は、現在、米艦艇の防護や米国向けの弾道ミサイルの撃墜を、国益に照らして実施するかどうかを考えるという選択肢さえないのである。

 本懇談会が強調したいことは、憲法論・法律論からスタートするのではなく、そもそも日本として何をなすべきかを考える、そういう政府の政治的意思が決定的に重要であるということである。これまでの自衛権に関する解釈の再検討はその上でなされるべきものである


 集団安全保障、国際平和協力活動における軍事行動

 ところが、日本の国際平和協力の実施体制は、冷戦終結直後に作り出されたPKO参加五原則(参加五原則)に基づいており、時代の流れに適応できていない部分がある。

脆弱国家や破綻国家においては、住民や避難民の防護が必要であり、また、多機能型PKOでは文民や民生活動に従事する軍人も多数参加することから、文民等の警護が活動実施の鍵となっている。そもそもPKOは国際紛争を解決するための武力の行使ではない。したがってこうした武器使用は、海外における武力の行使とは無関係であり、自衛隊の任務として他国の要員の警護を追加すべきである。同様に、PKO活動に参加している他国の活動に対する後方支援もまた、「武力の行使との一体化」とは無関係であり、自衛隊の任務として当然認められるべきである。こうした点は、国際的な常識や基準に照らし合わせて、必要であれば従来の憲法解釈を変更する必要がある。


 国際平和協力法の一般法

 さらに、国連PKO以外の国際平和協力活動に関して、国連決議や地域的合意などにより国際的な正統性が確保されている場合には、これまでも特別措置法を制定するなどして対応してきた。ただし、新たな事態に合わせて毎回特別措置法制定を繰り返すことは、法秩序の安定といった点からみても好ましいことではない。また、国として国益および国際社会の利益を見据え、主体的・能動的に国際平和協力に取り組むため、その基本的な考え方を明確にする必要がある。その実現のための立法上の方策としては、国際平和協力法の全部改正なども考えられるが、いずれにせよ、日本が、国際平和協力活動に関する基本法的な性格を持つ、包括的かつ恒久的な法律を持つということが極めて重要である。


(資料6)特定秘密保護法

第一章 総則


(目的)

第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障【(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)】に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。


(定義)

第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

二 内閣府宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)

三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの

五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

六 会計検査院


第二章 特定秘密の指定等


特定秘密の指定)

第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。【ただし、内閣総理大臣が第十八条第二項に規定する者の意見を聴いて政令で定める行政機関の長については、この限りでない。】

2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第五条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。

一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。

二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。

3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。


(指定の有効期間及び解除)

第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。

3 指定の有効期間は、通じて三十年を超えることができない。

4 前項の規定にかかわらず、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得た場合(行政機関が会計検査院であるときを除く。)は、行政機関の長は、当該指定の有効期間を、通じて三十年を超えて延長することができる。【ただし、次の各号に掲げる事項に関する情報を除き、指定の有効期間は、通じて六十年を超えることができない。

一 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。別表第一号において同じ。)

二 現に行われている外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報

三 情報収集活動の手法又は能力

四 人的情報源に関する情報

五 暗号

六 外国の政府又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に提供された情報

七 前各号に掲げる事項に関する情報に準ずるもので政令で定める重要な情報】

【5 行政機関の長は、前項の内閣の承認を得ようとする場合においては、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提示することができる。】

【6 行政機関の長は、第四項の内閣の承認が得られなかったときは、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第八条第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る情報が記録された行政文書ファイル等(同法第五条第五項に規定する行政文書ファイル等をいう。)の保存期間の満了とともに、これを国立公文書館等(同法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。)に移管しなければならない。】

7 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。


特定秘密の保護措置)

第五条 行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。

2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。

3 前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

4 行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。

5 前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。

6 第四項の規定により特定秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。


第三章 特定秘密の提供


(我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)

第六条 特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

2 前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。

3 第一項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

第七条 警察庁長官は、警察庁が保有する特定秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特定秘密を提供することができる。

2 前項の規定により都道府県警察に特定秘密を提供する場合については、第五条第三項の規定を準用する。

3 警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特定秘密で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。

第八条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

2 前項の契約については第五条第五項の規定を、前項の規定により特定秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第八条第一項」と、「を保有する」とあるのは「の提供を受ける」と読み替えるものとする。

3 第五条第四項の規定により適合事業者に特定秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特定秘密の提供を求めることができる。

第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。


(その他公益上の必要による特定秘密の提供)

第十条 第四条第五項、第六条から前条まで及び第十八条第四項後段に規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供するものとする。

一 特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすることその他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして、イに掲げる業務にあっては附則第十条の規定に基づいて国会において定める措置、イに掲げる業務以外の業務にあっては政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。

イ 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの

ロ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの

二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合

三 情報公開個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開個人情報保護審査会に提示する場合

四 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開個人情報保護審査会に提示する場合

2 警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特定秘密が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特定秘密を提供することができる。

3 適合事業者は、第八条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特定秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号若しくは第三号に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。


第四章 特定秘密の取扱者の制限


第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。

一 行政機関の長

二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)

三 内閣官房副長官

四 内閣総理大臣補佐官

五 副大臣

六 大臣政務官

七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者


第五章 適性評価


(行政機関の長による適性評価の実施)

第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。

一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

三 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。

一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)

二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

四 薬物の濫用及び影響に関する事項

五 精神疾患に関する事項

六 飲酒についての節度に関する事項

七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

3 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。

一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨

二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨

三 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨

4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。


(適性評価の結果等の通知)

第十三条 行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。

2 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。

3 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。

4 行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。


(行政機関の長に対する苦情の申出等)

第十四条 評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。

2 行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。

3 評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。


警察本部長による適性評価の実施等)

第十五条 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。

一 当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十三条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

二 当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

三 当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

2 前三条(第十二条第一項並びに第十三条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十五条第一項第三号」と読み替えるものとする。


(適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)

第十六条 行政機関の長及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。

2 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。


(権限又は事務の委任)

第十七条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。


第六章 雑則


特定秘密の指定等の運用基準等)

第十八条 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。

2 【内閣総理大臣は、】前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を【聴いた上で、その案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。】

【3 内閣総理大臣は、毎年、第一項の基準に基づく特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況を前項に規定する者に報告し、その意見を聴かなければならない。】

【4 内閣総理大臣は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関し、その適正を確保するため、第一項の基準に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督するものとする。この場合において、内閣総理大臣は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施が当該基準に従って行われていることを確保するため、必要があると認めるときは、行政機関の長(会計検査院を除く。)に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出及び説明を求め、並びに特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施について改善すべき旨の指示をすることができる。】


(国会への報告等)

【第十九条 政府は、毎年、前条第三項の意見を付して、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況について国会に報告するとともに、公表するものとする。】


(関係行政機関の協力)

第二十条 関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。


(政令への委任)

第二十一条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。


(この法律の解釈適用)

第二十二条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。

2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。


第七章 罰則


第二十三条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。

2 第四条第五項、第九条、第十条又は第十八条第四項後段の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。第十条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。

3 前二項の罪の未遂は、罰する。

4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。


第二十四条 【外国の利益若しくは自己の不正の利益を図り、又は我が国の安全若しくは国民の生命若しくは身体を害すべき用途に供する目的で、】人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪の未遂は、罰する。

3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。


第二十五条 第二十三条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。

2 第二十三条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。


第二十六条 第二十三条第三項若しくは第二十四条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十三条第一項若しくは第二項若しくは第二十四条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を軽減し、又は免除する。


第二十七条 第二十三条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。

2 第二十四条及び第二十五条の罪は、刑法第二条の例に従う。


附則(略)


(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十八条第一項及び第二項(変更に係る部分を除く。)並びに附則第九条及び第十条の規定は、公布の日から施行する。


別表(第三条、第五条―第九条関係)


一 防衛に関する事項

イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究

ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報

ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究

ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量

ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法

ト 防衛の用に供する暗号

チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法

リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法

ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)


二 外交に関する事項

イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの

ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)

ハ 安全保障に関し収集した【国民の生命及び身体の保護、領域の保全若しくは国際社会の平和と安全に関する重要な情報】又は条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)

ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力

ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号


三 特定有害活動の防止に関する事項

イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

ロ 特定有害活動の防止に関し収集した【国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報】又は外国の政府若しくは国際機関からの情報

ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号


四 テロリズムの防止に関する事項

イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

ロ テロリズムの防止に関し収集した【国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報】又は外国の政府若しくは国際機関からの情報

ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

ニ テロリズムの防止の用に供する暗号

秘密保護法施行するな!12.6集会宣言

集 会 宣 言

 我々は萎縮しない!秘密保護法廃止まで闘い続ける! 
 安倍政権が市民の大きな反対の声を無視して秘密保護法を強行採決した
屈辱の12月6日の一周年がめぐってきた。そして政府は、よりによって
「世界人権デー」の12月10日に「21世紀最悪」とも評されるこの悪法を
施行しようとしている。
 秘密保護法の下では、なにが秘密にされるか分からない。ちゃんと秘
密が指定されていることを確認する手続きがない。まともな第3者機関も
ない。そして何よりも「政府に不都合なことを秘密にしてはいけない」
という当然のことがこの法律の中には書かれていないのだ。そして秘密
を漏えいした公務員だけでなく、これを取得し、あるいはしようとした
ジャーナリスト・市民にも最高懲役10年の重刑が予定されている。
 内外の現代史をひもとけば、隣国への敵意を煽る誤った情報によって
戦争が始められた事例には事欠かない。秘密保護法は集団的自衛権の行
使容認、憲法改悪と一体となった、戦争をはじめるための政策の一環で
ある。
 安倍首相は、秘密保護法は普通の市民生活には無関係だと述べた。
本当に無関係だろうか。政府が自らに都合の悪い重要な情報が秘密にで
きるなら、原発事故が起きても、正確な情報は市民に提供されないまま、
無用な被曝を強いられ、誤った戦争に市民は賛成してしまうだろう。
安倍首相の述べる「普通の市民生活」とは、主権者として知る権利を
放棄し、真実を暴いていくようなジャーナリズムと市民の活動を断念
するところに成立するものだ。
 施行の時期が近づくにつれ、市民の間には基地や原発の監視活動を
今までどおり継続していて大丈夫かという危機感が高まっている。適
性評価制度の対象とされる公務員や情報提供を求められる医師の間に
も懸念が深まっている。この法律が成立したことにより、政府の指定
する特定秘密に触れる可能性のある活動には一定の危険性が生じてい
る。政府情報に迫るジャーナリスト、原発や基地の監視を続けている
市民活動家、武力紛争地域で人道支援活動に取り組む国際協力NGO
などには、これまで政府から得られた情報が得られなくなるなどのさ
まざまな影響が生じてくる可能性がある。秘密保護法は共謀や独立教
唆、煽動まで取り締まっているので、特定秘密に触れるところまで行
かなくても、嫌疑をかけられる危険がある。しかし、我々が萎縮して、
これまで遂行できていた市民活動を断念してしまうようなことは政府
側の思うつぼだ。
 法律が制定されたあとも、我々はこの一年間粘り強く廃止運動を全
国で続けてきた。署名活動に取り組み、国際シンポジウムを開催し、
運用基準などに関する政府のパブコメにも多くの意見を提出した。
 2014年7月、国連自由権規約委員会は、規約19条にもとづいて、秘
密指定には厳格な定義が必要であること、制約が必要最小限度のもの
でなければならないこと、ジャーナリストや人権活動家の公益のため
の活動が処罰から除外されるべきことを求めた。忘れっぽいとされる
日本の社会の中で、このような運動は画期的なものである。我々の施
行反対の声に応えて、衆議院解散前の国会に、共産党、社民党などに
よる秘密保護法廃止法案、民主党などによる施行延期法案が提出され
た。自民党の中からも秘密保護法に対する懸念の声がようやく高まっ
ている。
 衆議院の解散により、時ならぬ総選挙が闘われている。我々は、安
倍政権の一年前の暴挙をしっかりと心に刻み、この選挙で、秘密保護
法の制定に手を貸した政党と国会議員に厳しい審判を下さなければな
らない。我々は、解散総選挙により国会の「監視機関」すら機能しな
い中で強行される12月10日の施行を許さない。そして、我々は、この
法律の威嚇に萎縮することなく、秘密保護法の廃止を求めて闘い続け
ることをここにアピールする。
                   2014年12月6日
強行採決から1年 「秘密保護法」施行するな!12・6参加者一同  

秘密保護法あくまで廃止へ!〜6・20院内集会 海渡雄一さんの基調提案

                         2014年6月20日

2014年通常国会における秘密保護法廃止の闘いの到達点と今後の課題

 

                        海渡 雄一

               (「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)

 

1 秘密保護法を廃止するという目標の設定

 

法案成立の直後から、廃止の旗を掲げた。

昨年12月6日、国会を取り囲む「秘密保護法絶対廃案」の声を無視し、安倍政権は「秘密保護法」の制定を強行しました。私たちは、その直後から、憲法と国際人権規約に反する「特定秘密保護法」(20131213日法律第108号)の廃止を内容とする法案を幅広い政党、国会議員の合意に基づいて早期に国会に提案されることを求めて、署名運動を取り組んできた。

私たちは「秘密保護法」に反対したすべての政党、国会議員が一致して「秘密保護法」廃止の法案を国会に提案するよう求めてきた。

同様の署名を合わせると、秘密保護法の廃止を求める署名は、すでに40万筆に達している。

そのための国会初日の包囲行動、6の日行動などに取り組んできた。

全国に広がる秘密保護法廃止運動の全国ネットを愛知の会のよびかけで結成した。

地方自治体レベルでの決議にも取り組んできた。

 

2 秘密保護法廃止法案の提出の成功

 

共産党、社民党、山本議員、糸数議員によって、6月15日に参議院に秘密保護法廃止法案を提案した。

秘密保護法廃止の法案が国会に提出できたことを歓迎する。廃止法案の提案のために、努力された関係国会議員の皆さんに心から感謝する。

民主党と生活の党が提案に加わらなかったことは、将来の課題を残した。

国会法の改正案が提案される中での複雑な国会状況で、参議院で国会法改正案が審議が開始される瞬間を狙って提案したことは成功だった。

次の国会では、廃止法案の提案会派、賛同議員を増やす努力を取り組もう。

 

3 国会における情報監視審査会

 

 5月30日、自民党と公明党は衆参両院にそれぞれ常設の「情報監視審査会」を置く国会法改正案を衆院に提出した。610日には民主党、日本維新の会、結いの党の野党3党が対案となる国会法改正法案を提出した。しかし12日には衆院において与党案が可決され、参議院に送られた。これは昨年、成立した特定秘密保護法の運用を監視する組織を設置するための法改正だとされる。

特定秘密保護法附則10条には次のような規定がある。

<特定秘密の提供を受ける国会におけるその保護に関する方策については、国会において、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。>

 今回の国会法改正案はそのためのものとされる。与野党で大きな議論になっているのは新設される「情報監視審査会」の位置づけである。自公案ではあくまで「行政の特定秘密保護に関する制度の運用を監視するための組織」として改正案を出している。一方、野党3党の改正案は国会法104条の改正を求めるものである。

 現行の国会法は104条の第1項は次のように定めている。

<第百四条  各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。>

 しかし次の項では、政府側が提出に応じない理由を説明し、議院や委員会が了解すれば提出をする必要がないとされている。さらに3項では、その情報が「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明」があった場合は、提出をする必要がないと定める。つまり、最終的に情報を提供するかどうかの判断は政府側にある。

 野党3党案は、104条の2項を新設し、特定秘密でなくても、すべての情報を国会が必要であると判断したら、その求めに応じて国会に提出しなければならないとしている。

野党案の提出者である大島敦民主党議員は国会で次のように、発言している。「104条の仕組みを維持したままでは情報監視審査会が提供を要求しても、内閣が声明を出せば国会への提供を拒むことができます。どんなに優れた監視機関があっても104条がある限り、十分に機能する機関にはならない可能性がある」

 

この点についての私の考えは次のとおりだ。

 

欧米では国会では情報機関の活動を監督している。秘密指定の適否の監督をしているわけではない。秘密指定の適否を国会が監督することにはスタッフも不足しており、大きな困難がある。

アメリカでは議会内の秘密裁判所は、NSAの盗聴システムの共犯者となっていた。

よほど、制度的な安全装置を作らなければ、国会が情報機関に巻き込まれてしまう。立法府の根本にかかわる重大事である。こんなに性急に議論するのでなく、もっと時間をかけてきちんとした討議をして欲しい。

 

テレビ秘密保護法報道を検証する

 

テレビ秘密保護法報道を検証する

 

  ―2013年10月~12月―  

                        2014年3月6日

    放送を語る会

 

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はじめに ~モニター期間と対象番組モニターにあたっての放送を語る会の姿勢~

 

第1章  秘密保護法成立とテレビメディアの責任

第2章  秘密保護法報道全体の問題点

第3章  一部民放番組に見られた批判精神

第4章 “政府広報化” 際立ったNHKニュース 

おわりに  これからの秘密保護法報道に望むこと

【資料】(モニター対象番組に関する各種データ)

 

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 はじめに

~モニター期間と対象番組、モニターにあたっての放送を語る会の姿勢~

 

 2013126日、特定秘密保護法は、参院での強行採決をもってついに成立した。

 この期間、テレビは、法案の内容や成立に至る政治過程をどのように伝えたのか、本報告は、数多くのテレビ報道番組をモニターした記録から、秘密保護法報道の特徴や問題点をまとめたものである。

 モニター期間は、10月6日から、1210日までのほぼ2カ月と設定した。記録したのは、デイリーのニュース番組、週1回の報道番組である。

 

続きは以下の添付ファイルをダウンロードしてください。

 

140306放送を語る会報告「秘密保護法報道を検証する」(公開版).doc
Microsoftワード文書 414.0 KB

2.22 こんなにあぶない「秘密保護法」学習会資料

●海渡雄一弁護士 2月22日の学習会用のレジュメです。
以下からダウンロードして下さい。
2.22学習会レジュメ(海渡雄一).doc
Microsoftワード文書 85.5 KB

●秘密保護法と情報公開  右崎 正博(獨協大学法科大学院教授)

 

1、特定秘密保護法の論理と構造

 

昨年126日に自公の強行採決によって可決された特定秘密保護法は、13日に公布され、1年以内に施行される予定となった。年を越して117日には「情報保全諮問会議」の初会合が開かれているが、問題は積み残されたままである。

特定秘密保護法は、行政機関の長に対し、防衛・外交・特定有害活動(スパイ活動)の防止・テロリズムの防止の四領域において別表に掲げられた事項に関する情報で、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを「特定秘密」として指定する権限を与えている(3条)。秘密指定の有効期間も一応は5年以内とされながら、その期間は30年までは延長が認められ、内閣の承認があればさらに30年の延長ができ、44項に列挙された武器・弾薬・航空機その他の防衛の用に供するもの、現に行われている外国の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報、暗号など7項目に該当すればさらに例外が認められることとされており、事実上、無期限の秘密指定を認め、半永久的な秘密の存在を容認している。(4条)。

 そのうえで、特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金が科され、業務により特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときも5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科される(23条)。

この法律の最大の問題点は、「特定秘密の範囲が防衛・外交・スパイ防止・テロ防止の四領域にまたがり、また、法律の別表に掲げられた事項についても、「その他」という文言が多用されているなど、特定秘密の指定の対象となる事項の範囲が、非常に不明確、かつ、過度に広汎な点にある。そのため、行政機関の長による秘密指定の権限の濫用の危険が払拭できない。

いかなる情報が特定秘密に指定されたのか、国民には知らされないし、知らされないまま厳罰のリスクを負わされることになる。逆に、行政機関の長の指定権限の濫用をチェックする仕組みはなく、政府や行政機関にとって不都合な事実が特定秘密として闇から闇に葬られかねない。このような無限定な特定秘密の存在は、憲法が保障する報道の自由や国民の知る権利を大きく制約するものであるし、国政に関わる事項を「秘密」として国民の目の届かないところに置くことは、国民主権原理そのものの基盤を掘り崩してしまう危険がある

 

2、国民主権(民主主義)原理と秘密保護のジレンマ

 

憲法が採用する国民主権の原理は、主権者である国民の意思に従って国政を運営することを建前と。国民主権の原理の下にあっては、主権者たる国民が国政のあり方について最終的な決定権を保持するのであるから、国民が主権者としての役割を十分に担うために、何よりも国政に関する事項について国民が十分な情報をもっていることが前提となる。

しかし、国家秘密の存在は、国民の国政情報へのアクセスを制約し、主権者としての行為能力を制限することになる。なぜなら、防衛、外交等国の安全保障に関わる重要な情報を特定秘密に指定し、その情報へのアクセスを制限し、漏えい等の行為を禁止するという秘密保護法の下では、国家の命運や国民の生活にとって重大な影響をもたらす可能性のある情報であればあるほど、逆に国民の目から遠ざけられる可能性が高くなり、国民は「重要でない」限られた情報しか与えられず、また、もち得ず、その限られた情報を基にして主権者として判断せざるを得なくなるからである。

防衛であれ外交であれ、あるいはスパイ活動やテロ活動の防止であれ、主権者である国民が国政に関して必要な情報を知らされず、必要な情報を得る手段を制限されることは、民主主義を機能不全に陥らせ、国民主権原理を空洞化することになる。

 したがって、政府における秘密は、基本的に反民主主義的なものである。

 

3、情報公開の原理と人権保障・民主主義

 

 情報公開制度は、何人からの請求にも応じて、政府が保有するすべての情報を原則として開示する制度であり、その原理的な基礎は、人権としての知る権利と民主主義に含まれる政府の説明責任にある。つまり、国民の知る権利を保障すると同時に、政府に対してその諸活動について国民に説明する義務を課すものである。

憲法21条によって、国民には表現の自由が保障されているが、その表現の自由の保障には知る権利の保障が含まれている。国家はいまや他に並ぶ者のない最大の情報保有者であるが、その保有する情報は国民の共有財産ともいうべきもので、その本来の権利者は主権者である国民である。情報公開制度は、政府の保有する情報に対して国民がもつその権利を具体化するという意味を有する。

日本においてもすでに情報公開法と公文書管理法の制定・施行により、国民の知る権利を保障するための仕組みは一応実現されている。情報公開法は、何人にも「開示請求権」を認め、行政機関の長に対して「開示義務」を課しているし、公文書管理法も「利用請求権」を認め国立公文書館等の長に対して「利用させなければならない義務」を課している。ただし、現行の情報公開法・公文書管理法は、原則公開の例外をなす「不開示情報」「利用制限」の範囲を広く認め、また、行政機関の長、国立公文書館等の長の判断を優先するなどの扱いをしていて、問題を残している。

人権保障の確保と民主主義の徹底ために必要なのは、秘密保護法によって秘密の範囲を拡大することではなく、より実効的な情報公開を実現することである。民主党政権の下で情報公開をより拡充することを目的として情報公開法改正案が提案されたが、東日本大震災後の混乱のなかで審議が進まず、201211月の衆議院解散によって審議未了、廃案となった。

 したがって、課題は積み残されたままである。

 

4、国政情報は公開が原則、秘密はあくまで例外

 

 人権としての知る権利の保障と民主主義の観点から政府の説明責任を確保するという観点からすれば、政府が保有する情報については、公開が「原則」、秘密は「例外」と位置づけられる。そのような基本的な観点からの検証が求められる。

 しかし、情報公開については不十分な現状を改善する取り組みはなされず、逆に、秘密保護には過度に熱心なこの国の現状は、「原則」と「例外」を完全に転倒させており、人権保障と民主主義とを否定するものではないか。

 秘密をあくまで「例外」にとどまらせるためには、秘密の範囲を必要最小限に限定し、秘密保護の期間も最小限に短縮し、かつ、行政機関の長による秘密指定権限の行使を外部からチェックできる第三者機関の設置が必要不可欠である。

 アメリカの情報自由法は、行政機関による記録の不当な秘匿をチェックするために、裁判所に対して争いとなっている記録のインカメラ審査権限を認め、また、国立公文書記録管理局法は、連邦政府から独立した機関である国立公文書記録管理局(NARA)の情報保全監察局(ISOO)に対して、大統領命令による秘密指定が25年目を迎えたときに、独立した立場からチェックする権限を認めているが、このようなチェックのシステムは必要不可欠であろう。

アメリカ合衆国第4代大統領を務めたジェームズ・マディソンが、その職を退いた後、ケンタッキー州副知事のウイリアム・T・バリーに宛てた182284付けの手紙のなかの一節を、情報と知る権利・民主主義との原理的な関係を端的に示す述べた言葉として、想起しておきたい。

「人民が情報を持たずまたはそれを獲得する手段を持たないような人民の政府というのは、喜劇への序幕か悲劇への序幕にすぎない、もしくは多分その両方であろう。知識は無知を永遠に支配する。自らの支配者たらんとする人民は、知識が与える力で自らを武装しなければならない。」

浪江町秘密保護法廃止意見書

浪江町町議会から秘密保護法廃止意見書が提出されています。 福島原発事故によって甚大な被害を被った浪江町が秘密保護法の廃止を求めてい ることはとても大切な事実だと思います。(海渡)

浪江町秘密保護法廃止意見書.pdf
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1.24 院内集会の資料・全国取り組み状況など

秘密法に反対する全国ネットワーク一覧、1.24取り組み状況など。
1.24院内集会資料.pdf
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1.24 院内集会の資料・「週刊現代」「高知新聞」

1月24日の院内集会は超満員になり、資料が足りなくなりました。そこで、本欄で「秘密保護法」成立の舞台裏を知る貴重な資料2点を、pdfとリンクの形で紹介します。

★「官邸のアイヒマン」と呼ばれる男・北村滋内閣情報官「週刊現代」2013.12.21

「週刊現代」1ページ目
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「週刊現代」2ページ目
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「週刊現代」3ページ目
現代3.pdf
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★問う特定秘密保護法・中谷元インタビュー 「高知新聞」2013.12.21

私たちは秘密保護法の廃止を強く求めます!

                      2013年12月12日
プレスリリース

  私たちは秘密保護法の廃止を強く求めます!                                   
                「秘密保護法」廃止へ!実行委員会

 「秘密保護法案」廃案へ!実行委員会は、12月12日実行委員会を開催し、
次の事項を決めた。

1 私たちはこの秘密保護法の内容も手続も絶対に認めることはできない。私た
ちは、この法律が廃止されるまで、決してあきらめない。「秘密保護法」廃止へ!
実行委員会は、秘密保護法の廃止を強く求めるための活動を始めることを決めた。

2 実行委員会の名称を「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」と変更する。

3 実行委員会は、秘密保護法の廃止を求める全国署名に取り組むことを決めた
。署名の具体的内容については、次回実行委員会(12月23日)で決定する。

4 実行委員会は、1月下旬と推測される次期通常国会の開会の日の昼間と夜に
、秘密保護法の廃止を求める国会包囲行動を行うことを決めた。行動の詳細は追
って、実行委員会のHPで公表する。

5 実行委員会では、廃止運動のさまざまなアイデアが出され、また、参加各団
体がそれぞれ取り組む秘密保護法に関する諸活動の情報共有を進め、相互に活動
に協力していくことを決めた。
                                                                      以上

バーナムの森は動いた これからのたたかい

                                バーナムの森は動いた
                  秘密保護法強行採決は安倍政権の終わりの始まりだ!

                       秘密保護法を廃案へ!実行委員会
                                 海渡 雄一

1 参議院で法案採決される
 参議院本会議で、法案が可決されました。
 採決結果は、投票総数212、賛成130、反対82でした。
 賛成したのは自民党と公明党。反対したのは、民主、共産、社民、生活、糸数議員、山本議員などでした。みんなの党は欠席しましたが、一部議員は出席して反対しました(川田さんと寺田さんと真山さん)。維新の会は欠席しました。
 市民の8割が慎重審議を望んでいる中で、日比谷野音に1万5千人が集まり、全国で抗議集会が続き、数万人の市民が国会を取り巻き、秘密保護法絶対廃案を叫び続ける中での、法案可決です。
 「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」という文書が12月5日午前11時45分に福島みずほ議員の強い要求によって、ようやく開示されました。
 これは、法案の策定段階おそらく公明党との修正協議の前の段階の法案について内閣官房が作成したものと考えられ、合計92頁に及ぶ大部なものです。
 法案の逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議でき、浮かび上がったはずです。作成名義は、内閣官房の作成とされています。
 さらに、内閣と各省庁の間で、この法案の策定の段階で、多くの意見交換が行われていたことが昨晩わかりました。今のところ人事院と文書のやりとりだけが、公表されています。他の省庁は、各官庁の了解が取れないという理由で、今も不開示となっています。
 このような重要な文書をこれまで秘密にしていたことは、国会軽視として決して許されることではありません。すくなくとも、このような重要文書について、きちんと国会での審議の時間を確保するべきことは民主主義政治の元での国会運営として、当然のことでした。
 委員会採決は、最後は、全く言葉も聞き取れない、議事録もないような状態での採決であり、手続的にも違法無効です。

2 根本的欠陥法案である
 この法案には根本的な欠陥があります。何が秘密に指定されるかが限定されず、政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていません。公務員だけでなく、ジャーナリスト・市民も独立教唆・共謀の段階から処罰されます。
政府の違法行為を暴いた内部告発者やジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていません。権威ある国際原則であるツワネ原則にことごとく反してい るばかりでなく、ふたりの国連特別報告者とピレー人権高等弁務官からも重大な懸念が表明されています。私たちはこの秘密保護法案の内容も手続も絶対に認め ることはできません。

3 法案廃止の活動を始めよう
 これからの闘いの方向性について、提起したいと思います。今晩の闘いの力で、政府の暴走を止めましょう。
 成立した法案は同じ手続で廃止することができます。私たちは、明日から、この法律の廃止を求める活動を直ちに始めようではありませんか。次の国会には、採決に賛成しなかった多くの政党と共同して、秘密法の廃止法案を提案するための活動を始めましょう。

4 弾圧に備えよう
 もうひとつ、大切なことを提起します。
 この法律は、憲法21条、自由権規約19条で保障された表現の自由を侵害する違憲立法です。この法律が自由権規約19条に違反することは、国連の見解な のです。我々には国際社会が味方してくれています。裁判官も私たちの反対運動を見ていることでしょう。そして、心の内では応援してくれている裁判官も少な くないはずです。
 秘密法違反の被告人は違憲な法律によって起訴されたのですから、絶対無罪としなければなりません。
 これは、弁護士の仕事ですが、政府があくまで、この法案を施行しようとするなら、第一号の秘密法違反事件の被告人を弁護するために、1000人の弁護士を組織し、あらかじめ大弁護団を結成しておきたい思います。

5 新しい闘いのはじまり
 法案の成立は、私たちの一つの敗北であることは確かです。
 しかし、今日一日の私たちの行動は、政府、国会に私たちの秘密法廃案、安倍政権NOの怒りをぶつけ、一人一人の市民に秘密法反対の意思を確認する機会となったことと思います。
 まず、私たちは、これだけの多数の市民の反対を押し切って秘密法を成立させた政府与党の暴挙を心にしっかりと刻みつけなければなりません。マクベスの バーナムの森は動いたのです。これから、政権崩壊の日が近いことにおびえなければならないのは、勝ち誇ったような顔をしている安倍首相とその取り巻きたち です。
 私たちは、この法律が廃止されるまで、決してあきらめません。明日から、秘密法のある社会を拒否し、その実質化を食い止めるため、新たな闘いを始めましょう。

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「秘密保護法」廃案へ!12.6大集会宣言

 

 日本は自由と民主主義の国ではなくなったのでしょうか。
 
 2013年12月5日、稀代の悪法「特定秘密保護法」が、前例のない暴力的な手法で、衆院の特別委員会、本会議に続いて、参院の特別委員会でも強行可決 されたと報じられています。会期延長の動きもあり、本会議の動向は不透明です。まだ廃案は可能です。私たちは決してあきらめません。
 
 安倍政権はこの臨時国会で何をしてきたでしょうか。衆院ではたった1カ所、福島で公聴会を開き、公述人全員が反対したのに、翌日、特別委員会、本会議と一気に強行可決してしまいました。原発震災に苦悩する福島をアリバイ作りに利用したのです。
 
 参院では、より露骨かつ醜悪な手法が繰り返されました。唐突に強行採決で決定した、たった1カ所の埼玉での公聴会は怒りの人垣に包まれました。5日未明 の参院本会議では野党から任命された委員長を解任。繰り返された強行採決は、数の暴力によるテロ行為というしかありません。
 
 そして、特定秘密保護法は、国会より上に行政が君臨する官僚独裁に導き、市民・国民を監視して戦争へと動員する、憲法と民主主義の転覆を図るクーデター法、恐怖と威嚇で自由を圧殺するテロリズム法と言うべきではないでしょうか。
 
 このような法案と政権の横暴に危機感を持ち、反対の声が燎原の火のごとく広がりました。芸術家が、宗教者が、科学者が、著名人たちが次々と名乗りを上げ ました。海外からも批判、懸念の声が続々と届いています。しかし、安倍政権はこれらを無視し、ねじ伏せようとしています。このような安倍政権の一連の横暴 は、民主主義に対する「テロ行為」です。
 
 安倍政権は自らの政党名を真逆にした反自由、反民主主義の、戦後最悪の最も危険な政権です。さらに、市民の自由を奪い戦争へと突き進む法律を次々と作り、憲法も変えようとしています。次の選挙を待つのでは遅すぎます。安倍政権打倒を掲げて立ち上がる時なのです。
 
 今日、ここに集った私たちは、安倍政権から自由と民主主義を取り戻す運動に立ち上がります。共同、連帯の輪をさらに広げ、特定秘密保護法案の廃案と安倍政権の打倒に向かって、今日、ここから出発することを宣言します。
 
2013年12月6日
 
「秘密保護法」廃案へ!12・6大集会
 
参加者一同

12月6日<記者発表>秘密保護法の廃止を求める活動を

                        2013年12月6日

今後の活動についての提案

 

                   秘密保護法を廃案へ!実行委員会

                                                     海渡 雄一

 

1 本会議採決は許されない

 市民の8割が慎重審議を望んでいる中での委員会強行採決です。

 「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」という文書が12月5日午前11時45分に福島みずほ議員の強い要求によって、ようやく開示されました。

 これは、法案の策定段階おそらく公明党との修正協議の前の段階の法案について内閣官房が作成したものと考えられ、合計92頁に及ぶ大部なものです。

 法案の逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議でき、浮かび上がったはずです。作成名義は、内閣官房の作成とされています。

 さらに、内閣と各省庁の間で、この法案の策定の段階で、多くの意見交換が行われていたことが昨晩わかりました。今のところ人事院と文書のやりとりだけが、公表されています。他の省庁は、各官庁の了解が取れないという理由で、今も不開示となっています。

 このような重要な文書をこれまで秘密にしていたことは、国会軽視として決して許されることではありません。すくなくとも、このような重要文書について、きちんと国会での審議の時間を確保するべきことは民主主義政治の元での国会運営として、当然のことです。

 最後は、全く言葉も聞き取れない、議事録もないような状態での法案の採決は手続的にも違法無効です。

 まもなく本会議が開会されるようですが、私たちは、採決を見合わせ、すくなくとも継続審議扱いとするべきことを最後まで訴えたいと思います。

 

2 根本的な欠陥法案である

 この法案には根本的な欠陥がある。

 何が秘密に指定されるかが限定されず、政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていません。

 公務員だけでなく、ジャーナリスト・市民も独立教唆・共謀の段階から処罰されます。

 政府の違法行為を暴いた内部告発者やジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていません。

 権威ある国際原則であるツワネ原則にことごとく反しているばかりでなく、ふたりの国連特別報告者とピレー人権高等弁務官からも重大な懸念が表明されています。

 私たちはこの秘密保護法案の内容も手続も絶対に認めることはできません。

 

3 法案が成立しても、私たちは闘い続ける

 これからの闘いの方向性について、提起したいと思います。

 私たちが強い反対の声を上げ続けることが決定的に重要です。

 成立した法案は同じ手続で廃止することができます。私たちは、秘密保護法の廃止を求める活動を今日から始めることを提案したいと思います。

 実行委員会をさらに多くの反対意見を新たに表明された皆さんとも協働して再編し、秘密法廃止を求める一大運動の結成を呼びかけたいと思います。

 具体的には、次の国会には、多くの政党と共同して、秘密法の廃止法案を提案するための活動を始めることを呼びかけたいと思います。

 

 未来の被告人のための弁護団を今から準備しよう

 もうひとつ、大切なことを提起します。秘密法違反の被告人の救援体制を確立することです。政府があくまで、この法案を施行しようとするなら、第一号の秘密法違反事件の被告人を弁護するために、1000人の弁護士を組織し、あらかじめ大弁護団を結成しておきたい思います。

 そして、この法案の問題点をあらゆる角度から検討し、裁判官を説得できる違憲の主張を研ぎ澄ましていくことをお誓いします。

 

5 我々には国際社会が味方してくれている

 この法律は、憲法21条、自由権規約19条で保障された表現の自由を侵害する違憲立法です。この法律が自由権規約19条に違反することは、国連の見解なのです。我々には国際社会が味方してくれています。

 裁判官も私たちの反対運動を見ていることでしょう。そして、心の内では応援してくれている裁判官も少なくないはずです。

 秘密法違反の被告人は違憲な法律によって起訴されたのですから、絶対無罪としなければなりません。

 

6 まとめ

 政府と国会に私たちの秘密法廃止、安倍政権ノーの怒りをぶつけ、新たな闘いの始まりとして、今日の夜には日比谷野音での集会を成功させたいと思います。

 

 

国際基準(ツワネ原則)から逸脱する「秘密保護法案」(海渡雄一報告レジュメ)

*下段に「ツワネ原則」(日弁連訳)を掲載しています。

国際基準(ツワネ原則)から逸脱する「秘密保護法案」
11月5日の海渡雄一弁護士の報告レジュメを紹介します。「東京新聞」11月9日付けでも報道されましたが、今回の「秘密保護法」は国際基準(ツワネ原則)から大きく逸脱するものです。徹底した国会審議を要求しましょう。
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 2013年11月5日

「何が秘密?それは秘密」法(秘密保護法)に反対する緊急集会資料
 
秘密保護法案の危険な内容と「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)」と比較した問題点
 
                  海渡雄一
 
(弁護士 日弁連秘密保全法制対策本部副本部長)
 
内容
 
第1 何が秘密とされるのか 1
第2 どのようにして秘密の指定がなされるのか 3
第3 どのような行為が取り締まりの対象となるのか 3
第4 ツワネ原則からみた法案の問題点 4
1 ツワネ原則の制定の経緯 4
2 ツワネ原則と特定秘密保護法案との比較 5
(1)何を秘密としてはならないかが明確となっていない。 5
(2)公衆に対する監視システムと監視のための手続を秘密にしてはならない。 5
(3)秘密指定は無期限であってはならない。 5
(4)公開の裁判手続において、秘密の内容を議論することの保障規定がない 6
(6)バランスのとれた内部告発者の告発は法的に保護され、報復されてはならない 6
(7)情報漏えい者に対する訴追は、情報を明らかにしたことの公益と比べ、重大な損害を引きおこす場合に限って許される 7
(8)ジャーナリストと市民活動家を処罰してはならず、情報源の開示を求めてはならない 7
3 ヨーロッパ人権裁判所判例理論とツワネ原則 7
5 ツワネ原則の法規範性と秘密保護法案の今後の取扱について 8
 
第1 何が秘密とされるのか
 
1 安全保障に関する秘密
 
 有識者会議報告から特定秘密保護法案へと法案化される過程で、何を特定秘密とするかという点は、若干の変遷が見られる。この変遷にどのような意味がある のかは国会審議で解明しなければならない点であるが、まず、「国の安全」は「防衛に関する事項」と言い換えられている。
 
 防衛秘密の漏えいを特別に規制する自衛隊法の改正案は、9.11後の国会で大きな議論のないままに、成立してしまった。その法定刑は懲役5年であり、対象は防衛秘密である。今回の法案では、防衛に関する事項は別表において、次のように定義されている。
 
「一 防衛に関する事項/イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究/   ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の 重要な情報/ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力/ニ 防衛力の整備に関する見積もり若しくは計画又は研究/ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の 用に供する物(船舶を含む)の種類又は数量/ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法/ト 防衛の用に供する暗号/チ 武器、弾薬、航空機その他 の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法/リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の 研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法/ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途」
 
日本国内で活動する自衛隊と米軍に関する情報で、ここに含まれないものがあるのだろうか。基本的に自衛隊の活動について、政府が秘密にしたいと考えれば、何でも秘密にできるのではないだろうか。
 
 
 
2 軍事情報包括保護協定の締結が法案策定の動機である
 
 武器輸出に関する最近の動きを整理しておく。海外への武器輸出を共産圏、国連で禁輸地域とされた地域、紛争当事国については禁止し、他の地域についても事実上自粛するとした武器輸出三原則について、2011年11月政府による見直しの方針が表明された。
 
 政府は2012年2月14日、「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)の設置法(JAXA法)から「平和目的に限る」との規定を削除し、防衛利用を可能と することを閣議決定した。この法案は先に述べた「安全保障に資する」ことを法の目的に付け加えた原子力基本法の改正と同日に成立した。
 
これらの動きの出発点はGSOMIAであると考える。2007年8月日本政府とアメリカ政府はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を締結した。この協定 が、目指していることは、日米の軍事協力の一体化への進展、日米防衛企業によるミサイル防衛システムなどの共同開発である。
 
GSOMIA6条は、軍事情報を提供した国の了解なしに第三国に情報を提供してはならないことを定め、2条は軍事情報を提供した国と同程度の保護措置を要 求している。日本政府とその中枢に近い経済界は、兵器の開発をアメリカと協同し、これを世界に売れる体制を目指している。まさに、「死の商人」になろうと しているのである(これらの多くの会社が原発メーカーと重なっている)。
 
秘密保全法制は、なによりも、日米の軍事共同作戦、そしてその前提となる武器共同開発を進めるための法的な措置である。「秘密法で戦争準備」という本書のタイトルは、まさにこの法律の目指すところを一言で言い表したものである。
 
有識者会議の報告においては秘密保全法制の必要性について、報告書冒頭の「秘密保全法制の必要性・目的」において、「政府の政策判断が適切に行われるため には、政府部内や外国との間での相互信頼に基づく情報共有の促進が不可欠であり、そのためには、秘密保全に関する制度を法的な基盤に基づく確固たるものと することが重要である。」と書いている**1。オブラートに包まれてはいるが、これはGSOMIAによる以上のような要請を指している。
 
 
 
3 この法案は軍事法である
 
 自民党が一九八〇年代に制定を目指した国家秘密法はスパイ防止法とも呼ばれた。戦前の刑法にあった間諜罪・軍機保護法の復活が目指された。秘密保全法案 は、「戦争に備える軍事立法としての性格を色濃く有しており、このことを直視することが、重要である」(刑事法研究者の声明より)。
 
 軍事情報が秘密とされることは当然と思われるかもしれないが、歯止めがなくなる可能性がある。戦前は軍事工場や基地がどこにあるかも秘密とされた。なに げない、市民の会話までが密告され、軍機保護法などによって処罰された。法案の内容は、戦前のこのような法規とほとんど同じであり、濫用されれば、同様の 事態が起こりうる。
 
 
 
4 外交-外交交渉の秘密は自明か-
 
 外交は国と国との交渉であるから、その情報が外部に漏れてしまうと交渉が成り立たないという説明は一見わかりやすい。しかし、本当にそうだろうか。
 
 この問題を考える上で、どうしても触れておかなければならないのは、沖縄返還をめぐる日米間の密約である。二つの密約があったとされる。一つの密約は西 山記者事件で問われたもの。沖縄返還協定に際し、公式発表では米国が支払うことになっていた地権者に対する土地原状回復費400万ドルを、実際には日本政 府が肩代わりして米国に支払うという密約があったというものである。
 
 この密約について報道し、密約文書を国会議員に手渡した西山太吉毎日新聞記者は外務省事務官とともに国家公務員法違反で起訴された。一審判決(1974 年1月24日)は、西山記者の行為は、手段の相当性にはかけるものの、目的の正当性を認め、秘密が守られることによる外交交渉の能率的・効率的運営という 利益と、取材活動による外交交渉の民主的コントロールという利益等を比較衡量し、後者の重大性に比べて、秘密が守られることによる利益はそれほど大きくな いとして、無罪の判決をした。しかし、東京高裁は逆転有罪とし、最高裁判決もこれを維持した。最高裁判決は一般論としては、「報道機関が、公務員に対し、 秘密を漏示するようにそそのかしたからといって、直ちに当該行為の違法性が推定されるものではなく、それが真に報道の目的からでたものであり、その手段・ 方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き、正当な業務行為である。」とした。しか し、本件の取材行為の性格だけに着目して取材対象者の人格を著しく蹂躪した本件取材行為は正当な取材活動の範囲を逸脱するとしたのである。この最高裁判決 は日本の報道機関が国家秘密、外交秘密にチャレンジしてこれを明らかにしようとする精神を著しく萎縮させてきたといえる。
 
 もう一つは核密約と呼ばれるもので、佐藤首相の密使を務めた若泉敬が「1969年(昭和44年)11月に佐藤・ニクソン会談後の共同声明の背後に、有事 の場合は沖縄への核持ち込みを日本が事実上認めるという秘密協定に署名した」と1994年に発表した著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』で証言した*2。 2007年には、信夫隆司(日本大学教授)による米国立公文書館での機密指定解除公文書調査によって、交渉当事者であったキッシンジャー大統領補佐官が 1969年11月19日から21日にかけての日米首脳会談に向けニクソン大統領にあてた核密約締結手順を記載したメモが発見された。核密約は当時の日本政 府の公式に表明されていた非核三原則にも反する内容のものであった。
 
 外交秘密を特別秘密とする制度はこのような沖縄密約や核密約などの政府が公にできないような密約を長期にわたって国民の目から隠すことを可能とする。民主主義政治のあり方が真正面から問われているのである。
 
 2009年3月西山氏らは沖縄返還密約情報開示訴訟を提訴した。2010年4月東京地裁は「国民の知る権利を蔑ろにする外務省の対応は不誠実と言わざる を得ない」として外務省の非開示処分を取り消し、文書開示と損害賠償を命じた。2011年9月東京高裁は「政府が文書はあったが廃棄済みで存在しないと 言っているからそれを信じるしかない」として逆転敗訴判決がなされた。しかし、密約の存在は認めている。
 
 有識者会議の議事要旨には「特に「外交」は、様々な事柄を含みうる言葉であるところ、外国や国際機関との交渉ごとに関する情報がすべて保護の対象に含ま れ得るとするのではなく、別表形式等で列挙する事項の内容についてはもう少し絞り込む努力がいるのではないか。」(第2回議事要旨)との意見もある。外交 上の秘密については、交渉中には秘密性が求められるとしても、交渉成立後には原則としてすべての交渉経過を明らかにすることとし、今後の交渉に悪影響を及 ぼすような特殊な秘密についても、10年ないし20年以内には全情報が公開されるような法的仕組みが必要である。
 
 
 
5 「諜報の防止とテロ対策」(警察庁)
 
 法案の策定のために設けられていた「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」では、「公共の安全と秩序の維持」に関する分野を秘密の対象とす るとされた。これが、法案では、この点は「テロリズムの防止」と言い換えられた。法案の別表では、「四 テロリズムの防止に関する事項/イ テロリズムに よる被害の発生若しくは拡大の防止(テロリズムの防止)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究/ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又 は国際機関からの情報その他の重要な情報/ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力/ニ テロリズムの防止の用に供する暗号」とされている。この中で も、「テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(テロリズムの防止)のための措置」という概念はどこまでも広がりうる。
 
警察の公安警察活動に関する情報など極めて大きな範囲の情報が含まれうる。有識者会議報告にはこのカテゴリーにどのような情報が含まれるのか、ほとんど説 明らしい説明はない。公表されている議事要旨の中で、このカテゴリーの中味について議論されている箇所は「公共の安全及び秩序の維持に関する情報は、どこ までを保護の対象とするかについて検討の必要がある。」(第2回議事要旨)という部分以外に発見できなかった。
 
 
 
 秘密保全法制の提案は、1985年のスパイ防止法案の制定の動きから引き続くものであり、緊急の必要性はGSOMIAの要請を満たすためのものであるこ とは明らかである。しかし、スパイ防止法と比較しても、外交さらには公安情報へと適用対象が拡大している。政府が治安関連の警察情報まで対象としようとし ているのかがうまく説明できない。日本国内における警察組織の発言権が増していることの表れなのか、テロ対策、組織犯罪対策におけるアメリカなどとの二国 間協力の障害を除こうという意図があるのかもしれない。
 
 警察が処理している情報の中には捜査の秘密が含まれていると言われれば、ほとんどの人が疑わないかもしれない。逃亡中の被疑者の追尾がどこまで成功して いるかなどは秘密にしておかなければ逮捕は難しいであろう。しかし、そのような情報が事前に漏洩したようなケースは報告がない。事後には週刊誌に公然と リークされているが。厳罰をもって守らなければならない「公共の安全・秩序の維持」に関する情報とはどんなものだろうか。
 
 警察は日常的に捜査情報を報道機関にリークしている。捜査中の事件の情報は本来は「捜査の秘密」のはずであるが、毎日の新聞やワイドショーはリーク情報 に溢れている。他方で、自ら都合の悪い「裏金」問題などの情報とその報道には過敏に反応してきた。捜査機関が立件した事件について、えん罪ではないかと考 え、捜査機関の主流とは異なる情報や被疑者に有利な証拠を外部に漏洩した場合、「特別秘密」を漏洩したと認定されかねない。結局のところ捜査機関にとって 都合の悪い情報が「特別秘密」とされるのではないだろうか。
 
秘密保護法のもとでも、パニックの防止とは「テロ防止のための対策」と読み替えることが可能であろう。
 
 
 
第2 どのようにして秘密の指定がなされるのか
 
-闇の中の秘密指定手続-
 
 何を「秘密」とするかは行政機関の長の判断に委ねられている。その判断が恣意的になされても、正しくなされているかどうかをチェックする第三者機関はな い。外交、防衛、テロ活動の防止などは市民の生活に広範にかかわることがらであり、どのような情報が「特定秘密」とされてしまうか、主権者である市民には 皆目見当がつかない。法案一八条に設けられた有識者会議は、指定の基準を議論するだけだ。
 
 秘密保護法案を担当する森雅子消費者相は八日午前の記者会見で「(漏出を防ぐ対象となる特定秘密が)恣意(しい)的に指定されるおそれが指摘されており、何らかのチェック機能を持たせなければならない。第三者機関の制度化も含めて検討する」と述べた。
 
 「知る権利や報道の自由を守る制度を整え、早期に法案を成立させたい」とも話した。
 
 この機関が真に指定の客観性を担保するものとなるか、厳しく監視する必要があるし、厳罰化と処罰の早期化という本質は変わらない
 
 
 
第3 どのような行為が取り締まりの対象となるのか
 
1 処罰行為のリスト
 
 漏洩行為(故意)→一〇年 五年
 
 過失による漏洩→二年 一年
 
 特定取得行為→一〇年
 
 未遂(既遂と同じ)
 
 共謀→五年 三年
 
 独立教唆→五年 三年
 
 煽動→五年 三年
 
 自首して密告した場合必要的免除減刑
 
 国外犯も処罰
 
 
 
2 公務員だけでなく、ジャーナリストや市民活動家も特定取得行為の対象に
 
 財物の窃取、不正アクセス又は特別秘密の管理場所への侵入など、「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」を手段として特別秘密を直接取得する場合に 特定取得行為は成立する。欺罔により適法な伝達と誤信させ、あるいは暴行・脅迫によりその反抗を抑圧して、取扱業務者等から特別秘密を取得する場合などと される。
 
 窃取、不正アクセス、侵入、脅迫といえば、悪質な行為にみえるが、「管理を害する行為」には何でも入る、政府が隠している違法な秘密を明らかにするよう、執拗に取材したり、公務員を説得する行為は、全部対象と考えるべきだ。
 
3 早期処罰と厳罰が法案の鍵
 
 共謀や煽動で重罰にできるようになった。 法案の定める罰則の上限は懲役一〇年である。国家公務員法違反は懲役一年だった。飛躍的な重罰化が図られている。
 
 西山太吉記者は逮捕されただけで、記者生命を絶たれ、結局新聞記者の仕事には戻れなかった。しかし、西山氏の受けた刑は懲役四月執行猶予一年であった。 懲役一〇年はもちろん懲役五年でも執行猶予はあり得ない。三年以上の懲役刑に執行猶予はないのである。提案されている法制は、特別秘密を漏洩した公務員 や、これを明らかにさせるために取材するジャーナリストを未遂はおろか共謀や煽動のレベルで摘発し、実刑を科すことを目的としている。
 
 違法な国家秘密を暴こうとする公務員やジャーナリストは、これまでは自らの首を賭ける覚悟があれば、情報の開示は可能であった。この法制が成立すれば、 長期の刑務所行きを覚悟しなければ、そのような行動はできなくなるだろう。実刑必至の厳罰で秘密漏洩を抑止するねらいがある。
 
 そして、隠された政府の秘密を暴こうと記者同士で相談すれば、何も情報が得られなくても共謀罪は成立する。
 
 「重要情報が隠されている。公務員は政府の違法な秘密を明らかにしてほしい」と集会で発言すれば、煽動罪が成立する。集会の場で現行犯逮捕されるかもしれないのだ。戦前の弁士中止が現実になるかもしれない。
 
 
 
第4 ツワネ原則からみた法案の問題点
 
1 ツワネ原則の制定の経緯
 
 
 
安全保障と国民の知る権利との対抗関係を規律する国際原則としては、1995年に策定されたヨハネスブルグ原則が著名である。ヨハネスブルグ原則はその全文が翻訳されており3、田島泰彦教授による簡単な解説がある4。
 
 ヨハネスブルグ原則を、その後の国際機関の活動成果を織り込み、問題の本質に則し、さらに精緻に実際に法制度を策定する担当者に対する指針・ガイドライ ンとして起草されたのが、ツワネ原則である。両原則を比較すると、基本的な考え方には共通する部分が多いが、ツワネ原則の方が明らかに詳細であり、実務的 である。
 
ツワネ原則の正式名称は、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(Global Principles on National Security and the Right to Information: Tshwane Principles)である。ひとことでいえば、この原則は自由権規約19条、ヨーロッパ人権条約10条をふまえて、国家安全保障分野において立法を行 い、制度を構築する際に国家安全保障への脅威から人々を保護するための合理的な措置を危険にさらすことなく、政府の情報への公的アクセスをどう保障するか という問題について、関連法令の起草に関わる人々への指針を提供するために作成されたものである。この原則は、Open Society Justice Initiativeの呼びかけに応じ、国際連合、人及び人民の権利に関するアフリカ委員会、米州機構、欧州安全保障協力機構の特別報告者を含む、世界 70 か国以上の500 人以上の専門家により、計14 回の会議を経て作成された。2013 年6 月12日に南アフリカ共和国の首都・ツワネで公表されたため、ツワネ原則と呼ばれる。
 
この中で、定められている事項は、秘密保全の適正な限界、秘密指定と解除の適正な手続、内部告発者の役割、漏えいに関する処罰の範囲、その他の諸問題につ いて実務的なガイドラインとして示されている。国家の安全保障と市民の知る権利との相克状況の下で、法制度を構築する立法・行政担当者が参照すべき国際水 準を示すガイドラインとしてきわめて有用である。
 
この原則を紹介した邦語文献としては、国立国会図書館「諸外国における国家秘密の指定と解除―特定秘密保護法案をめぐって―」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』 NUMBER 806(2013.10.31. 調査及び立法考査局行政法務課(今岡直子))がある。本稿における原則の要約翻訳は、原則としてこの文献からの孫引きで ある。ここに記して謝意を表する。なお、Web上に公開されている情報としては、Open Society Justice Instituteによる「『国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)』の15のポイント」(ピース・フィロソフィー・センター訳)が ある。
 
 
 
2 ツワネ原則と特定秘密保護法案との比較
 
  -秘密保護法案は情報保全法制に求められる国際水準を満たしていない-
 
 
 
(1)何を秘密としてはならないかが明確となっていない。
 
ツワネ原則は国家秘密の存在を前提にしている。原則は、政府は、防衛計画、兵器開発、諜報機関により使用される作戦・情報源等の限られた範囲で合法的に情 報を制限することができる(原則95)としている。しかし、誰もが公的機関の情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するの は政府の責務である(原則1, 4)とされ、適切に秘密の指定がなされていることは、政府の側に立証責任が科されている。このような規定は、秘密保護法案にはない。
 
続いてツワネ原則では、何を秘密としてはならないかが明確にされている。すなわち、政府は、国際人権法及び国際人道法の違反についての情報は決して制限し てはならない。この情報には、前政権の過去の違反についての情報及び現政府の関係者又は他者により犯された違反についての情報も含まれる。また、この情報 には、違反が明らかな場合のみならず違反が疑われるような場合に、真実を明らかにするための情報も含まれる(原則10A6)とされている。
 
 政府の提案している秘密保護法案は、3条と別表において、秘密指定の対象となる事項を定めているが、極めて広範な事項が秘密指定の対象とされ、他方でど のような種類の情報を秘密指定してはならないかという観点から定められた規定は皆無である。「何を秘密にしてはならないか」という観点からの規制が欠如し ているのである。
 
 
 
(2)公衆に対する監視システムと監視のための手続を秘密にしてはならない。
 
公衆に対する監視システムと監視の実施のための許可手続について、公衆は知る権利を有する。違法な監視の事実は、監視対象となった者のプライバシー権を侵 害しない限り開示されるべきである(原則10E)。スノーデン氏が明らかにしたような、市民の通話やメールに対する大規模な傍受については、市民は知る権 利があり、違法な監視の事実は原則として開示されるべきなのである。
 
原則は、安全保障部門や諜報機関を含めたいかなる政府機関も情報公開の必要性から免除されない。公衆は、全ての安全保障部門・機関の存在、それらを統制する法律及び規則、それらの予算についても知る権利を有する(原則5, 10C)とも規定している。
 
公安警察や安全保障機関が行う情報収集活動を規制する、このような規定も秘密保護法案には全くみられず、このような配慮が欠如している。
 
 
 
(3)秘密指定は無期限であってはならない。
 
ツワネ原則は、情報は、必要な期間にのみ限定して秘密指定されるべきであり、決して無期限であってはならない。政府が秘密指定を許される最長期間を法律で定めるべきである(原則16)としている。
 
これに対して、秘密保護法案には、最長期間についての定めはない。4条3項において、更新を繰り返し、30年経過の時点において秘密指定がやむを得ないも のであることについて、内閣に理由を示して承認を得なければならないという手続が定められただけである。全く不十分なものであるというほかない。
 
また、ツワネ原則は、秘密解除を請求するための手続が明確に定められるべきである。その際、公益に関する情報を優先的に秘密解除する手続も定められるべきである(原則17)とされている。
 
法案4条4号は、「要件を欠くにいたった時」「すみやかにその指定を解除する」と定めているが、秘密指定を行った行政機関の長の全面的な裁量に委ねており、市民やその付託を受けた第三者がイニシアティブを持つような効果的な指定解除の手続は存在しない。
 
 
 
(4)公開の裁判手続において、秘密の内容を議論することの保障規定がない
 
ツワネ原則は秘密保全法制違反の裁判の手続についても、重要なことを決めている。
 
すなわち、まず、裁判手続の公開は不可欠である。裁判手続の公開という基本的権利の侵害のために、国家安全保障が発動されてはならない。公衆には裁判手続の公開の制限に対して異議を唱える機会が認められるべきである(原則28)としている。
 
刑事裁判において、公平な裁判を実現するために、公的機関は、被告人及びその弁護人に対して、秘密情報であっても公益に資すると思慮する場合は、その情報 を開示すべきである。公的機関が公平な裁判に欠かせない情報の開示拒否をした場合、裁判所は、訴追を延期又は却下すべきである(原則29)。
 
民事裁判において、人権を侵害された者がその侵害行為への救済策を請求し又は入手することを阻害するような国家秘密等を、政府が秘密のままにすることは許されない(原則
 
30)。
 
日本国憲法は表現の自由に関する裁判の公開を絶対的な要請としており、秘密保全法違反の事件の多くは表現の自由に関わるものであるから、裁判の公開は絶対 的な要請のはずである。しかし、この点について秘密保護法案は、刑事裁判と民事裁判に関して裁判所へ特定秘密の情報を提供することについては10条1項 ロ、ニにおいて規定しているが、その場合にツワネ原則の定めるような、公開の法廷において特定秘密を公開して審理できることを保障するような根拠規定が欠 けている。実際には、法廷が非公開とされたり、裁判官だけに提示され、弁護人には提供されないような扱いがなされても、これを食い止める手続が保障されて いないのである。
 
 
 
(5)安全保障部門にはすべての情報にアクセスできる監視機関が設置されるべきである
 
ツワネ原則は監視機関についても、重要な原則を提供している。安全保障部門には独立した監視機関が設けられるべきである。監視機関は、実効的な監視を行うために必要な全ての情報に対してアクセスできるようにすべきである(原則6,31-33)としている。
 
秘密保護法案は、18条1項において、秘密指定、解除、適性評価の統一的な基準を定めることとし、同条2項において、この基準の策定と変更について、優れ た識見を有するものの意見を聞くことが定められた。しかし、この有識者会議は、秘密情報へのアクセス権や秘密の指定解除権をもっておらず、ここに言う監視 機関とは呼ぶことができない。安全保障に関わる機関について、情報へのアクセスが保障された監視機関を設置しなければならない。
 
 
 
(6)バランスのとれた内部告発者の告発は法的に保護され、報復されてはならない
 
 ツワネ原則は内部告発者の法的保護と秘密保護との交錯する部分について、重要なガイドラインを提供している。
 
すなわち、ツワネ原則は、内部告発者は、明らかにされた情報による公益が、秘密保持による公益を上回る場合には、報復を受けるべきではない。しかし、効果 的な公的な不服申立て制度があるときは、内部告発者は、最初に、公的な不服申立て制度によりその問題を伝える努力をすべきである(原則40, 41, 43)としている。
 
ここに示されている考え方は、わが国の公益通報者保護法の考え方とほぼ同一である。しかし、秘密保護法案は、公益通報者保護法による内部告発者の保護と法 律による規制とがどのような関係にあるのかについて沈黙し、何の指針も明らかにしていない。このような法案がそのまま実施され、内部告発を行った公務員 が、秘密の漏えい罪に問われることとなれば、公益通報制度は崩壊してしまうだろう。
 
 
 
(7)情報漏えい者に対する訴追は、情報を明らかにしたことの公益と比べ、重大な損害を引きおこす場合に限って許される
 
 次に、情報を漏えいした公務員の処罰についても、原則は厳しく情報の公開によって得られる利益と公開による損害とのバランスを要求している。
 
情報漏えい者に対する刑事訴追は、明らかになった情報により生じる公益より、現実的で確認可能な重大な損害(“real and identifiable risk of causing significant harm”)を引き起こす危険性が大きい場合に限って検討されるべきである(原則43, 46)。
 
このような考え方は、ヨーロッパ人権裁判所が長年にわたって発達させてきた判例法理を規範化したものである。この判例理論については次項で検討する。秘密保護法案には、このような考え方は全く見あたらない。
 
 
 
(8)ジャーナリストと市民活動家を処罰してはならず、情報源の開示を求めてはならない
 
ツワネ原則はジャーナリストと市民活動家を処罰してはならないことを定めている。すなわち、公務員でない者は、秘密情報の受取、保持若しくは公衆への公開 により、又は秘密情報の探索、アクセスに関する共謀その他の罪により訴追されるべきではない(原則477)とする。また、公務員でない者は、情報流出の調 査において、秘密の情報源やその他の非公開情報を明らかすることを強制されるべきではない(原則48)ともしている。
 
秘密保護法案では、23条において、ジャーナリストと市民活動家らによる特定秘密取得行為を「秘密の管理者による管理を害する行為」によって取得すること を全面的に処罰の対象としているし、取材源などの情報源の開示を求められないことの保障も見あたらない。法案は、この点で、明らかにこの原則に違反してい る。
 
 
 
3 ヨーロッパ人権裁判所判例理論とツワネ原則
 
ヨーロッパ人権条約10条
 
ツワネ原則が採用している秘密を公にした場合に、それによる公益と秘密を漏らしたことによる不利益のバランスを考慮して、バランスがとれていれば処罰しないという考え方は、ヨーロッパ人権裁判所で近時急速に発展してきた考え方である。
 
取材・報道のための活動が形式的には法に違反しても、刑事処罰を求めることが表現自由を保障したヨーロッパ人権条約第10条に反するとされたケースがヨーロッパ人権裁判所の判決には多数含まれている。
 
 ヨーロッパ人権条約第10条は、国際人権規約19条と同様に、表現の自由を保障している。表現の自由に対する制限が条約に反するかどうかを検討する場合 には、第1に、この制限が法によって規定され、第2に、その制限が(a)他の者の権利又は信用の尊重、(b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道 徳の保護という合法的な目的にかなっていなければならず、第3に、その制限が、「民主社会において必要」でなければならないとされている。「国の安全」、 「公の秩序」などの用語は日本で準備されている秘密保全法制と共通するようにも見える。しかし、その中味はかなり違う。
 
 
 
(2)「フレッソおよびロワール対フランス」事件
 
 この中で「必要性」の要件が最も重要である。ヨーロッパ人権裁判所の興味深い判決を二つ紹介する。一つ目は「フレッソ(Fressoz)およびロワール(Roir)対フランス」事件である。
 
 同事件では、二名のジャーナリストが、匿名の税務関係者による違法な情報漏えいを受けて、プジョー社の取締役の納税申告書を公表したことから、盗難資料を入手したとしてフランスの裁判所から(不法入手物)犯罪で有罪判決を受けた。
 
 この取締役が二年間で45・9%の昇給を自らに与えていたことを示すこの二名のジャーナリストによる記事は、プジョーの労働者が昇給を要求して拒否され ていた労使紛争のさなかに発表された。裁判所は以下のように判断し、両名に対して刑事罰を科すことはヨーロッパ人権条約10条に反するとした8。
 
 「民主主義社会において報道機関が果たす不可欠な役割を認識しながらも、裁判所は、第10条がその保護を認めているという前提で、原則としてジャーナリ ストを通常の刑法に従うという義務から解放することはできないことを強調する」、「つまり、取材に携わる個人は、法を犯すことを全般的に許可されているの ではなく、個々の事例において、世間に情報が知らされることの重要性が刑法によってもたらされる利益にまさるかどうかを評価しなければならない」、「欧州 人権裁判所は、フレッソとロワールが、透明性の高い方法で誠実に行動しており、納税申告書のコピーを入手するという犯罪行為が彼らの記事の信頼性を証明す るのに必要であったと判断した」、「課税査定の真正さを検証したRoire氏は、ジャーナリストとしての自身の職業を遂行する(倫理)基準に従って行動し た。個々の資料からの抜粋は問題となっている記事の内容を裏付ける目的があった」。
 
 
 
(3)「グジャ対モルドバ」事件
 
 外形的には違法行為でも、違法行為として責任を問うことがふさわしくないとヨーロッパ人権裁判所が判断した最近の判例として2008年2月の「グジャ(Guja)対モルドバ」事件がある。
 
 このケースは、モルドバ検察庁の報道室長であったグジャ氏が政治家による不当な検察への圧力を証明するメモを事前の検察庁からの承諾なしに新聞社に渡し たという内規違反で解雇されたことについてその解雇が「表現の自由」に違反しているかが争われた。グジャ氏はこの解雇は不当としてモルドバ国内で解雇取り 消しの民事訴訟を起こしていたが認められず、その後ヨーロッパ人権裁判所に訴えていた。ヨーロッパ人権裁判所は以下のように述べグジャ氏の解雇は第10条 違反にあたるとした9。
 
 「民主社会において政府の行為や怠慢については立法機関や司法機関だけでなく、報道機関や世論などの緊密な監視の下に置かれなければならない。ある情報 に関して市民の関心が特に高い場合には、時に法的に科されている秘密保持の義務でさえくつがえすことができる」。
 
 
 
(4)政府に不都合な情報の秘匿を防ぐために
 
 ジャーナリズムのことを社会の木鐸と呼ぶことがある。社会を教え導くことが報道機関には求められている。その大きな役割が、政府が秘密にしている「不都合な真実」を明らかにしていくことである。
 
 エルズバーグ氏の内部告発と「ワシントン・ポスト」「ニューヨークタイムス」の記者たちの努力が実らず、ペンタゴンペーパー事件とこれに続くウォーター ゲート事件でニクソン大統領が辞任に追い込まれていなければ、ニクソン大統領は再選され、ベトナム戦争は泥沼化し、核戦争にまで発展していたかもしれな い。
 
 政府にとって都合の悪い情報を徹底して秘密にしようとする政治体制は、チェルノブイリ事故後のソビエトの例を見ても、民主政治の根本を危うくする危険性がある。
 
 ヨーロッパ人権裁判所はこのことを深く自覚し、ジャーナリストやNGO(非政府組織)活動家が政府の隠された情報にチャレンジして情報を入手して公開す る過程に形式的な法違反があっても、その情報が公共の討論に貢献し、違反による害が大きくなければ、倫理的な基準に沿ってなされた行為に対して刑事罰を科 すべきではないという法理を確立したのである。
 
 また仮に均衡を欠き、刑罰を科さざるを得ない場合も、表現行為に対する刑罰は罰金に止めるべきであるという判例理論も確立している10。ジャーナリスト や市民活動家を刑務所に送り込もうとしてやまない日本政府とは根本的に違う価値観がヨーロッパでは共有されている。ツワネ原則は、このようにしてヨーロッ パにおいて発展してきた民主主義と国の安全保障を両立させる考え方をガイドラインとして定式化したものだと言える。
 
 
 
5 ツワネ原則の法規範性と秘密保護法案の今後の取扱について
 
 ツワネ原則は、国連そのものが策定したものではない。しかし、この原則の策定には、国際連合、人及び人民の権利に関するアフリカ委員会、米州機構、欧州 安全保障協力機構の特別報告者が関わっている。これらの権威ある国際機関の間接的な関与の元で策定されたものであり、自由権規約19条とヨーロッパ人権裁 判所10条のもとで国際的に承認されている考え方をとりまとめたものである。
 
また、アムネスティインターナショナルやアーティクル19のような著名な国際人権団体だけでなく、国際法律家連盟のような法曹団体、安全保障に関する国際 団体などが名前を連ねている。70カ国以上にわたる国の500人以上の専門家の助言を得て、世界中で開催された14回の会議によって、22の団体や学術機 関によって起草されたという経緯そのものによって、強い権威を与えられている。
 
原則の前文には、起草過程でどのようなことを考慮したかが明記されているが、過去の国家安全保障と情報へのアクセス権の相克する領域についての、国際的/ 国内的な努力・貢献を網羅しているように思われる。この原則は、ヨーロッパ人権裁判所やアメリカ合衆国など、最も真剣な論争が行われている地域における努 力が反映されている。秘密保全法制と市民の知る権利とをどのようにして調整するかについての、最新の立法ガイドラインであるといえる。
 
すでに、起草後、欧州評議会の議員会議(Parliamentary Assembly of the Council of Europe)において、国家安全保障と情報アクセスに関するレポートにおいて、引用されていることも、このことを示している11。日本は、欧州評議会の オブザーバーでもある。
 
 したがって、すくなくとも、日本政府が秘密保全法制を策定するに当たって、その適合性を十分検討し、この原則の考え方を尊重しなければならない。確か に、この原則が公表されたのは、今年の6月であり、政府がこの原則を反映できなかったのは、時期的にやむを得ないと言える。しかし、法案は審議中であり、 この法案にはツワネ原則から見ると、重大な欠落点、違反点が多数認められる。法案は、いったん白紙に戻し、現存する自衛隊法などの中に含まれる秘密保全法 制を含めて原則の考え方を織り込んで改正するなど、根本から練り直す作業に着手するべきである。
 
1**前記報告書 2頁
 
 
2*西山太吉 『沖縄密約 - 「情報犯罪」と日米同盟』(岩波新書2007年)、澤地久枝 『密約 外務省機密漏洩事件』(岩波書店、2006年)
 
 
3 法律時報68巻12号(1996年)73頁以下
 
 
4 田島泰彦「はじめに-ヨハネスブルグ原則を中心に」(田島泰彦・清水勉編『秘密保全法批判―脅かされる知る権利』所収 2012年 日本評論社)
 
 
5 政府は防衛計画、兵器開発、諜報機関によって使われる情報源など狭義の分野で合法的に情報を制限することができる。また、国家安全保障に関連する事柄について外国政府から提供された機密情報も制限することができる。(原則9)
 
 
6  しかし、政府は人権、人道に関する国際法の違反についての情報は決して制限してはならない。これは、現政権より前の政権下における違反行為についての情 報、また、自らの関係者あるいは他者により行われた違反行為について政府が所持する情報についても含まれる。(原則10条A)
 
 
7 ジャーナリストその他、政府に勤めていない人々は、機密情報を受け取ること、保有すること、公衆に公開することについて、また機密情報を求めたり機密情報にアクセスすることについて、共謀その他の犯罪で訴追されてはならない(原則47)。
 
 
8 「FressozおよびRoir対フランス」、1999年1月21日、申請No.29183/95 欧州人権裁判所
 
 
9 「Guja対モルドバ」、2008年2月12日、申請No. 14277/04 欧州人権裁判所
 
 
10  ルハース及びヘーセルス対ベルギー事件(1997年2月24日)や、スチューア対オランダ事件(2003年10月28日)、スリスト対フィンランド事件(2004年11月16日)など
 
 
11 Hans Franken, “National security and access to information,” Parliamentary Assembly of the Cou
ncil of Europe, Doc. 13315, 01 October 2013. http://assembly.coe.int/nw/xml/XRef/X2H-Xref-ViewPDF.asp?FileID=20131&lang=en
; Arcadio Diaz Tejera, “National security and access to information,” Parliamentary Assembly of the Council of Europe, Doc. 13293, 03 September 2013.
<http://assembly.coe.int/nw/xml/XRef/X2H-Xref-ViewPDF.asp?FileID=20056&lang=en>
 

国家安全保障と情報への権利に関する国際原則


本原則は、70カ国以上の500人を超える専門家との2年以上におよぶ協議を経て、22の団体によって起草され、2013612日に発表された。本原則は、起草の過程で重要な会議が行われた南アフリカ共和国の都市ツワネの名を冠している。

 

                       2013612

 

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日本語版翻訳 日本弁護士連合会

翻訳協力 森本真由美 内田翔 新津久美子 和田智子 津田秀一 片岡平和 松山晶 鈴木園己

201311

 

 

Table of Contents

 

目 次

 

 

 

Introduction

 

                                                                                                                 7

 

Preamble          

 

前文                                                                                                            11

 

Definitions

 

語句の定義                                                                                                   17

 

Part I: General Principles                                                                                  21

 

第1章 一般的諸原則

 

Part II: Information that May Be Withheld on National Security Grounds, and Information that Should Be Disclosed

 

第2章 国家安全保障を理由に秘匿され得る情報と開示されるべき情報                         29

 

Part III.A: Rules Regarding Classification and Declassification of Information

 

第3章 A 情報の機密指定及び機密解除に関する規則                                            43

 

Part III.B: Rules Regarding Handling of Requests for Information

 

第3章 B 情報請求の扱いについての規則                                                            50

 

Part IV: Judicial Aspects of National Security and Right to Information

 

第4章 国家安全保障と情報への権利の司法的側面                                                56

 

Part V: Bodies that Oversee the Security Sector

 

第5章 安全保障部門を監視する機関                                                                  61

 

Part VI: Public Interest Disclosures by Public Personnel

 

第6章 公務関係者による公益的開示                                                                   67

 

Part VII: Limits on Measures to Sanction or Restrain the Disclosure of Information to the Public

 

第7章 公衆への情報暴露に対する制裁又は制約行為の制限                                    79

 

Part VIII: Concluding Principle

 

第8章 結びの原則                                                                                         84

 

Annex A: Partner Organizations

 

付録 A パートナー機関                                                                                   85

 

 

 

Introduction

 

 

 

 

 

 

These Principles were developed in order to provide guidance to those engaged in drafting, revising, or implementing laws or provisions relating to the states authority to withhold information on national security grounds or to punish the disclosure of such information.

 

本原則は、国家安全保障上の理由により情報の公開を控えたり、そのような情報の暴露を処罰したりする国家の権限に関わる法津又は規定の起草、修正又は施行に携わる人々に指針を提供するために作成された。

 

They are based on international (including regional) and national law, standards, good practices, and the writings of experts.

 

本原則は、国際法(世界の一部地域のみを対象とする国際法を含む)及び国内法、各種の基準、優れた実践並びに専門家の論文等に基づいている。

 

They address national security—rather than all grounds for withholding information. All other public grounds for restricting access should at least meet these standards.

 

本原則は、国家安全保障上の理由による情報非公開について記述しており、他のあらゆる非公開理由を対象としたものではない。しかし他の理由で情報へのアクセスを制限する場合でも、当局は少なくともこの原則に示された基準を満たさねばならない。

 

These Principles were drafted by 22 organizations and academic centres (listed in the Annex) in consultation with more than 500 experts from more than 70 countries at 14 meetings held around the world, facilitated by the Open Society Justice Initiative, and in consultation with the four special rapporteurs on freedom of expression and/or media freedom and the special rapporteur on counter-terrorism and human rights:

 

• Frank LaRue, the United Nations (UN) Special Rapporteur on Freedom of Opinion and Expression,

 

• Ben Emmerson, the UN Special Rapporteur on Counter-Terrorism and Human Rights,

 

• Pansy Tlakula, the African Commission on Human and PeoplesRights (ACHPR) Special Rapporteur on Freedom of Expression and Access to Information,

 

• Catalina Botero, the Organization of American States (OAS) Special Rapporteur on Freedom of Expression, and

 

• Dunja Mijatovic, the Organization for Security and Co-operation in Europe (OSCE) Representative on Freedom of the Media.

 

本原則は、70カ国以上の500人を超える専門家との協議を経て、22の組織及び学術センター(付録にそのリストが記載されている)によって起草された。会議はオープン・ソサエティー・ジャスティス・イニシアティブが進行役を務めて世界各地で14回にわたって行われ、表現/メディアの自由に関する特別報告者4人及びテロ対策と人権に関する特別報告者1人からも意見を得た。この5人の特別報告者は以下の通り。

 

l  フランク・ラ・リュ:言論と表現の自由に関する国連特別報告者

 

l  ベン・エマソン:テロ対策と人権に関する国連特別報告者

 

l  パンジー・トゥラクラ:表現の自由と情報へのアクセスに関する人及び人民の権利に関するアフリカ委員会特別報告者

 

l  カタリナ・ボテロ:表現の自由に関する米州機構特別報告者

 

l  ドゥニャ・ミヤトビッチ:メディアの自由に関する欧州安全保障協力機構(OSCE)代表

 

 

 

Background and Rationale

 

本原則が起草された背景と理論的根拠

 

 

 

 

 

National security and the publics right to know are often viewed as pulling in opposite directions. While there is at times a tension between a governments desire to keep information secret on national security grounds and the publics right to information held by public authorities, a clear-eyed review of recent history suggests that legitimate national security interests are, in practice, best protected when the public is well informed about the states activities, including those undertaken to protect national security.

 

国家安全保障と国民の知る権利は、しばしば、対立するものとみなされる。政府は国家安全保障上の理由から情報を秘密にしておきたいと望み、一方で国民には公権力が保有する情報に対する権利がある。この2つ の事柄の間には、時として緊張関係が存在する。しかしくもりのない目で近年の歴史を振り返ると、正当な国家安全保障上の利益が最大に保護されるのは、実際 には、国の安全を守るためになされたものを含めた国家の行為について、国民が十分に知らされている場合だということがわかる。

 

Access to information, by enabling public scrutiny of state action, not only safeguards against abuse by public officials but also permits the public to play a role in determining the policies of the state and thereby forms a crucial component of genuine national security, democratic participation, and sound policy formulation. In order to protect the full exercise of human rights, in certain circumstances it may be necessary to keep information secret to protect legitimate national security interests.

 

国家の行為を 国民が監視することができ、情報にアクセスすることができるようになれば、公務員の職権乱用を防ぐだけでなく、人々が国の方針決定に関与できるようにな る。つまり情報へのアクセスは、真の国家安全保障、民主的参加、健全な政策決定の極めて重要な構成要素である。そして、人権の行使が完全に保障されるため には、ある一定の状況下では、正当な国家安全保障上の利益を守るために情報を秘密にすることが必要な場合があり得る。

 

Striking the right balance is made all the more challenging by the fact that courts in many countries demonstrate the least independence and greatest deference to the claims of government when national security is invoked. This deference is reinforced by provisions in the security laws of many countries that trigger exceptions to the right to information as well as to ordinary rules of evidence and rights of the accused upon a minimal showing, or even the mere assertion by the government, of a national security risk. A governments over-invocation of national security concerns can seriously undermine the main institutional safeguards against government abuse: independence of the courts, the rule of law, legislative oversight, media freedom, and open government.

 

多くの国にお いて、ひとたび国家安全保障が持ち出されると、司法が政府の主張に対して極めて従順になり、独立性をほとんど失ってしまうという事実があり、このことが、 国家安全保障と国民の知る権利のバランスを正しく保つことをますます困難にしている。国の安全に対するほんのわずかな脅威の提示や、脅威があるという政府 の単なる主張があれば、情報への権利や、通常の証拠規則や被告人の権利に例外を設ける治安法を持つ国が多く、そのような法律も政府への追従に拍車をかけて いる。国の安全が脅かされていると政府が過剰に主張すれば、政府の暴走を防ぐために作られた主なしくみ(裁判所の独立、法の支配、立法府による監視、メディアの自由、開かれた政府)の機能を大幅に損ねてしまうおそれがある。

 

These Principles respond to the above-described longstanding challenges as well as to the fact that, in recent years, a significant number of states around the world have embarked on adopting or revising classification regimes and related laws. This trend in turn has been sparked by several developments. Perhaps most significant has been the rapid adoption of access to information laws since the fall of the Berlin Wall, with the result that, as of the date that these Principles were issued, more than 5.2 billion people in 95 countries around the world enjoy the right of access to information—at least in law, if not in practice. People in these countries are—often for the first time—grappling with the question of whether and under what circumstances information may be kept secret. Other developments contributing to an increase in proposed secrecy legislation have been government responses to terrorism or the threat of terrorism, and an interest in having secrecy regulated by law in the context of democratic transitions.

 

本原則は、上 述したような積年の難題に応えるものであり、また、近年かなり多くの国が、情報の非公開制度とその関連法を作成・修正し始めているという現実に対応するも のである。一方このような政府の動きには、いくつかの理由がある。もっとも大きな理由は、ベルリンの壁の崩壊以降、情報へのアクセスに関する法律の制定が 急速に進んできていることだろう。その結果、この原則が発表された時点で、95カ国の52億を超える人々が(実際にはそうでなくても、少なくとも法律上では)情報にアクセスする権利を持っている。こうした国の人々は、情報が秘密にされてよいか、あるいは、どのような状況下なら情報が秘密にされてもよいかという問題に(大抵の場合、初めて)取り組んでいる。他にも、ますます多くの国で秘密保護法が起草されている理由としては、政府によるテロやテロの脅威への対策、そして民主主義への移行過程で、秘密主義を法律で規制することへの関心が高まったことなどがある。

 

Preamble

 

前文

 

 

 

 

 

The organizations and individuals involved in drafting the present Principles:

 

この原則の起草に関わった組織及び個人は、

 

 

 

Recalling that access to information held by the state is a right of every person, and therefore that this right should be protected by laws drafted with precision, and with narrowly drawn exceptions, and for oversight of the right by independent courts, parliamentary oversight bodies, and other independent institutions;

 

国家が保有する情報へのアクセスは全ての人の権利であり、従ってこの権利は例外規定の少ない厳密に定められた法律によって、また独立した裁判所、国会の監視機関及びその他の独立機関による権利の監視のための法律によって保護されねばならないことを想起し

 

Recognizing that states can have a legitimate interest in withholding certain information, including on grounds of national security, and emphasizing that striking the appropriate balance between the disclosure and withholding of information is vital to a democratic society and essential for its security, progress, development, and welfare, and the full enjoyment of human rights and fundamental freedoms;

 

国家安全保障 の見地を含め、国家が特定の情報を秘匿することによる正当な利益があり得ることを認識し、情報の公開と非公開の間に適切な基準を設けることが民主主義社会 にとって極めて重要であり、またその安全、進歩、発展及び福祉並びに人権と基本的自由の完全な享受のために必要不可欠であることを強調し

 

Affirming that it is imperative, if people are to be able to monitor the conduct of their government and to participate fully in a democratic society, that they have access to information held by public authorities, including information that relates to national security;

 

人々が政府の行動を監視し、民主主義社会に十全に参加することを可能にしようとするならば、国家安全保障に関連する情報を含め、公権力が保有する情報へのアクセスが絶対必要であると確信し

 

Noting that these Principles are based on international law and standards relating to the publics right of access to information held by public authorities and other human rights, evolving state practice (as reflected, inter alia, in judgments of international and national courts and tribunals), the general principles of law recognized by the community of nations, and the writings of experts;

 

この原則が、当局が保有する情報に人々がアクセスする権利及びその他の人権に関する国際法・基準、(とりわけ国際及び国内法廷の判決に現れているように)徐々に進化しつつある国家の慣行、国際社会によって認められている法律の一般原則、及び専門家の記述に基づいていることを明記し

 

Bearing in mind relevant provisions of the Universal Declaration of Human Rights, the International Covenant on Civil and Political Rights, the African Charter on Human and PeoplesRights, the American Convention on Human Rights, the European Convention on Human Rights, and the Council of Europe Convention on Access to Official Documents;

 

世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、人及び人民の権利に関するアフリカ憲章、米州人権条約、欧州人権条約、公文書へのアクセスに関する欧州評議会条約の関連条項に留意し

 

Further bearing in mind the Declaration of Principles on Freedom of Expression of the Inter- American Commission of Human Rights; the Model Inter-American Law on Access to Information, the Declaration of Principles on Freedom of Expression in Africa, and the Model Law on Access to Information for Africa;

 

さらに、米州人権委員会の表現の自由に関する原則宣言、情報へのアクセスに関する米州モデル法、アフリカにおける表現の自由に関する原則宣言、情報へのアクセスに関するアフリカモデル法に留意し

 

Recalling the 2004 Joint Declaration of the UN Special Rapporteur on Freedom of Opinion and Expression, the OSCE Representative on Freedom of the Media, and the Inter-American Commission on Human Rights Special Rapporteur on Freedom of Expression; the 2006, 2008, 2009 and 2010 Joint Declarations of those three experts plus the African Commission on Human and PeoplesRights Special Rapporteur on Freedom of Expression and Access to Information; the December 2010 Joint Statement on WikiLeaks of the UN and Inter-American Special Rapporteurs; and the Report on Counter-Terrorism Measures and Human Rights, adopted by the Venice Commission in 2010;

 

言論・表現の自由に関する国連特別報告者、メディアの自由に関する欧州安全保障協力機構(OSCE)代表、及び表現の自由に関する米州人権委員会特別報告者の2004年共同宣言、以上3者及び表現の自由と情報へのアクセスに関する人及び人民の権利に関するアフリカ委員会特別報告者による2006年、2008年、2009年、2010年の共同宣言、国連及び米州特別報告者のウィキリークスに関する201012月の共同声明、2010年にヴェニス委員会で採択されたテロ対策及び人権に関する報告書を想起し

 

Further recalling the Johannesburg Principles on National Security, Freedom of Expression and Access to Information adopted by a group of experts convened by Article 19 in 1995, and the Principles of Oversight and Accountability for Security Services in a Constitutional Democracy elaborated in 1997 by the Centre for National Security Studies (CNSS) and the Polish Helsinki Foundation for Human Rights;

 

さらに1995年にアーティクル19が招集した専門家グループによって採択された国家安全保障、表現の自由及び情報へのアクセスに関するヨハネスブルグ原則、国家安全保障研究センター(CNSS)及びポーランド・ヘルシンキ人権財団によって1997年に作成された立憲民主主義における安全保障サービスの監視と説明責任原則を想起し

 

Noting that there are international principles—such as those included in the Model Law on Access to Information in Africa, the UN Guiding Principles on Business and Human Rights (Ruggie Principles), the Arms Trade Treaty, the OECD Guidelines for Multinational Enterprises, and the Montreux Document on pertinent international legal obligations and good practices for states related to operations of private military and security companies during armed conflict—that recognize the critical importance of access to information from, or in relation to, business enterprises in certain circumstances; and that some expressly address the need for private military and security companies operating within the national security sector to make certain information public;

 

一定の状況下で、企業からの、又は企業に関連する情報へのアクセスが決定的に重要であることを認めたものとして、情報へのアクセスに関するアフリカモデル法、ビジネスと人権に関する国連指導原則(ラギー・フレームワーク)、武器貿易条約、経済協力開発機構(OECD)多 国籍企業行動指針、武力紛争における民間軍事・警備会社の行動に関する国家の適切な国際法上の義務及びグッドプラクティスに関するモントルー文書などに含 まれる国際原則があること、及びそれらの原則の一部は、国家安全保障部門内で運営されている民間軍事・警備会社が特定の情報を公開する必要があることに明 確に言及していることを明記し

 

Noting that these Principles do not address substantive standards for intelligence collection, management of personal data, or intelligence sharing, which are addressed by the good practices on legal and institutional frameworks for intelligence services and their oversightissued in 2010 by Martin Scheinin, then the UN Special Rapporteur on the promotion and protection of human rights and fundamental freedoms while countering terrorism, at the request of the UN Human Rights Council;

 

この原則が、国連人権理事会の要請で、2010年、 当時テロ撲滅における人権及び基本的自由の促進及び保護に関する国連特別報告者であったマーティン・シェイニンが発表し「情報局とその監視のための法的制 度的枠組みに関するグッドプラクティス」で言及された、情報収集、個人情報の管理又は情報共有の実際の基準には言及していないことを明記し

 

Recognizing the importance of effective intelligence sharing among states, as called for by UN Security Council Resolution 1373;

 

国連安全保障理事会決議第1373号によって要求された国家間の効果的な情報共有の重要性を認識し

 

Further recognizing that barriers to public and independent oversight created in the name of national security increase the risk that illegal, corrupt, and fraudulent conduct may occur and may not be uncovered; and that violations of privacy and other individual rights often occur under the cloak of national security secrecy;

 

さらに、国家安全保障の名において設けられた公衆への情報公開や独立監視への障害が、違法な、不正な、及び虚偽の行為が発生しそれが暴露されないリスクを高め、プライバシーその他の個人の権利の侵害が国家安全保障上の秘密という覆いの下でしばしば発生することを認識し

 

Concerned by the costs to national security of over-classification, including the hindering of information-sharing among government agencies and allies, the inability to protect legitimate secrets, the inability to find important information amidst the clutter, repetitive collection of information by multiple agencies, and the overburdening of security managers;

 

過度の機密指 定は、政府関連機関や同盟国の間での情報共有を妨げ、正当な秘密の保護を不可能にし、多くの不要な情報の中から重要な情報をみつけることを不可能にし、複 数の機関が情報を重ねて収集することになり、安全保障担当者に過重な負担をかけるなど国家安全保障にとって損失となることを懸念し

 

Emphasizing that the Principles focus on the publics right to information, and that they address the rights to information of detainees, victims of human rights violations, and others with heightened claims to information only to the extent that those rights are closely linked with the publics right to information;

 

この原則が「公衆の」知る権利に焦点を当てていること、また、公衆の知る権利に密接に結びついている範囲のみにおいて、被拘禁者、人権侵害の犠牲者及びその他の強く情報を求める人々の知る権利に言及していることを強調し

 

Acknowledging that certain information that should not be withheld on national security grounds may potentially nonetheless be withheld on various other grounds recognized in international law—including, e.g., international relations, fairness of judicial proceedings, rights of litigants, and personal privacy—subject always to the principle that information may only be withheld where the public interest in maintaining the informations secrecy clearly outweighs the public interest in access to information;

 

国家安全保障 の見地からは非公開にすべきでない特定の情報が、それにもかかわらず、例えば国際関係、司法手続の公平性、訴訟人の権利、個人のプライバシーなど、国際法 に認められた様々なその他の理由で非公開にされる可能性があるが、それは、その情報の秘密性を維持することによる公共の利益が、情報にアクセスすることに よる利益よりも明らかに大きい場合に限られるという原則によると認識し

 

Desiring to provide practical guidance to governments, legislative and regulatory bodies, public authorities, drafters of legislation, the courts, other oversight bodies, and civil society concerning some of the most challenging issues at the intersection of national security and the right to information, especially those that involve respect for human rights and democratic accountability;

 

政府機関、立法機関、監督機関、その他の公的機関、法律起草者、裁判所、その他の監視機関、及び国家安全保障と知る権利の間にある最も難解な問題に関わる市民団体、とりわけ人権と民主的説明責任の尊重に携わる機関・人々に対して実際的な指針を提供することを希望し

 

Endeavouring to elaborate Principles that are of universal value and applicability;

 

普遍的な価値と汎用性を持つ原則を作り上げるよう努め

 

Recognizing that states face widely varying challenges in balancing public interests in disclosure and the need for secrecy to protect legitimate national security interests, and that, while the Principles are universal, their application in practice may respond to local realities, including diverse legal systems;

 

公開することによる公共の利益と、正当な国家安全保障上の利益保護のために秘密にする必要性のバランスを取るに当たって広く様々な困難に各国が直面すること、また、原則が普遍的である一方で、その実際の適用は、司法制度の多様性など各地の現実に応じたものであり得ることを認識し

 

Recommend that appropriate bodies at the national, regional, and international levels undertake steps to disseminate and discuss these Principles, and endorse, adopt, and/or implement them to the extent possible, with a view to achieving progressively the full realization of the right to information as set forth in Principle 1.

 

原則1に定められた知る権利の完全な実現を漸次達成することを目指し、国家、地域、国際レベルの適切な機関がこの原則を流布・議論する措置を取り、承認・採択し、さらにその実行も同時に、または実行のみを、可能なかぎり行うよう勧告する。

 

 

 

Definitions

 

語句の定義

 

 

 

 

 

In these Principles, unless the context otherwise requires:

 

この原則においては、文中でとくに指定されない限り、以下のように定義する。

 

 Business enterprise within the national security sectormeans a juristic person that carries on or has carried on any trade or business in the national security sector, but only in such capacity; either as a contractor or supplier of services, facilities, personnel, or products including, but not limited to, armaments, equipment, and intelligence. This includes private military and security companies (PMSCs). It does not include juristic persons organized as non-profits or as non-governmental organizations.

 

国家安全保障部門内の企業」とは、何らかの取引や事業を国家安全保障部門の中で行っている、又は行ってきた法人を指す。ただし、サービス、設備、人員又は商品(例えば軍需品、器材、情報などであるが、これに限定されるものではない)を提供する請負業者又は供給会社のみを指す。これには、民間軍事会社及び民間警備会社(PMSCs)も含まれる。しかし非営利又は非政府組織として設立された法人は含まれない。

 

 Independentmeans institutionally, financially, and operationally free from the influence, guidance, or control of the executive, including all security sector authorities.

 

独立した」とは、組織上、財政上、及び運営上、全ての安全保障部門を含む行政当局からの影響、指導、管理を受けないという意味である。

 

 Informationmeans any original or copy of documentary material irrespective of its physical characteristics, and any other tangible or intangible material, regardless of the form or medium in which it is held. It includes, but is not limited to, records, correspondence, facts, opinion, advice, memoranda, data, statistics, books, drawings, plans, maps, diagrams, photographs, audio or visual records, documents, emails, logbooks, samples, models, and data held in any electronic form.

 

情報」 とは、物理的特性に関わらず全ての記録資料の原本又は複写、及び全ての有形無形の資料を指し、それが保有されている形式や媒体を問わない。この中には、記 録、通信、事実、意見、勧告、覚書、データ、統計、書籍、描画、計画、地図、図表、写真、視聴覚記録、記録文書、電子メール、日誌、標本、模型、及びあら ゆる電子形式で保有されたデータが含まれるが、これらに限定されるものではない。

 

Information of public interestrefers to information that is of concern or benefit to the public, not merely of individual interest and whose disclosure isin the interest of the public,for instance, because it is useful for public understanding of government activities.

 

公共の利益となる情報」とは、公衆に関連のある、又は公衆の役に立つ情報のことであり、単に個人的な利益のある情報のことではない。そしてその情報が公開されることが、例えば、政府の活動を公衆が理解するために有用であるなどの理由で「公衆のため」であるものを指す。

 

 Legitimate national security interestrefers to an interest the genuine purpose and primary impact of which is to protect national security, consistent with international and national law. (Categories of information whose withholding may be necessary to protect a legitimate national security interest are set forth in Principle 9.) A national security interest is not legitimate if its real purpose or primary impact is to protect an interest unrelated to national security, such as protection of government or officials from embarrassment or exposure of wrongdoing; concealment of information about human rights violations, any other violation of law, or the functioning of public institutions; strengthening or perpetuating a particular political interest, party, or ideology; or suppression of lawful protests.

 

正当な国家安全保障上の利益」とは、その利益の真の目的と主たる効果が、国際法・国内法に沿って国家の安全を守ることにある場合を指す。(その隠匿が正当な国家安全保障上の利益を保護するために必要である可能性がある情報のカテゴリーは原則9に定める) 国家安全保障上の利益は、その本来の目的と主たる効果が国家安全保障に関係のない利益を守るため、例えば政府や官僚を恥辱又は悪事の暴露から守るため、人 権侵害、その他のあらゆる法律違反若しくは公共機関の機能に関する情報の隠ぺいのため、特定の政治的利益、党派又はイデオロギーの強化又は維持のため、若 しくは合法的な抗議行動の抑圧のためなどであった場合、正当ではない。

 

 National securityis not defined in these Principles. Principle 2 includes a recommendation thatnational securityshould be defined precisely in national law, in a manner consistent with the needs of a democratic society.

 

国家安全保障」という語句は、この原則の中では定義されていない。原則2には、「国家安全保障」は、民主主義社会の必要に応じた形で、国内法で厳密に定義されねばならないという勧告がある。

 

 Public authorities include all bodies within the executive, legislative, and judicial branches at all levels of government, constitutional and statutory authorities, including security sector authorities; and non-state bodies that are owned or controlled by government or that serve as agents of the government. Public authoritiesalso include private or other entities that perform public functions or services or operate with substantial public funds or benefits, but only in regard to the performance of those functions, provision of services, or use of public funds or benefits.

 

公権力」 とは、安全保障部門当局を含む政府当局及び憲法・法律によって設置された当局の全階層における行政、立法、司法部局の内部にある全ての機関、及び政府が所 有又は管理する、又は政府の代理を務める非国家機関を指す。また「公権力」には、公共の機能やサービスを実行する、又は相当額の公共基金や公的給付金に よって運営される民間その他の主体が含まれる。ただし、こうした機能の実行、サービスの提供又は公共基金又は公的給付金の使用に関連する部分のみを指す。

 

 

 

 Public personnelorpublic servantrefers to current and former public employees, contractors, and sub-contractors of public authorities, including in the security sector.Public personnelorpublic servantalso include persons employed by non-state bodies that are owned or controlled by the government or that serve as agents of the government; and employees of private or other entities that perform public functions or services or operate with substantial public funds or benefits, but only in regard to the performance of those functions, provision of services, or use of public funds or benefits.

 

公務関係者」又は「公務員」 とは、安全保障部門を含め当局の職員、請負業者、下請け業者である者、又は過去にそうであった者を指す。さらに、「公務関係者」又は「公務員」とは、政府 が所有又は管理する、又は政府の代理を務める非国家機関に雇用されている者、公共の機能やサービスを実行する、又は相当額の公共基金や公的給付金によって 運営される民間その他の主体の従業員を指す。ただし、こうした機能の実行、サービスの提供又は公共基金又は公的給付金の使用に関連する部分のみを指す。

 

 Sanction,when used as a noun, refers to any form of penalty or detriment, including criminal, civil and administrative measures. When used as a verb,sanctionmeans to bring into effect such form of penalty or detriment.

 

制裁」とは、名詞として使用される場合、刑事上、民事上及び行政上の措置を含むあらゆる形態の処罰又は不利益を指す。動詞として使用される場合、「制裁を行う」とは、このような形態の処罰又は不利益を与えることを指す。

 

 Security sectoris defined to encompass: (i) security providers, including but not limited to the armed forces, police and other law enforcement bodies, paramilitary forces, and intelligence and security services (both military and civilian); and (ii) all executive bodies, departments, and ministries responsible for the coordination, control, and oversight of security providers.

 

安全保障部門」の定義には以下が含まれる。 (i) 正規軍、警察及びその他の法執行機関、非正規軍、情報局、治安局(軍人・非軍事両方)を含む安全保障の提供者。ただし、これらに限定されるものではない。(ii) 安全保障の提供者の調整、管理、監視の責任を持つ全ての執行機関、部局、省庁。

 

Part I: General Principles

 

第1章:一般的諸原則

 

 

 

 

 

Principle 1: Right to Information

 

原則 1:情報に対する権利

 

(a) Everyone has the right to seek, receive, use, and impart information held by or on behalf of public authorities, or to which public authorities are entitled by law to have access.

 

(a)何人も、公権力により、あるいは公権力のために保有された情報、又は公権力が法によりアクセスする権利をもつ情報を求め、受け取り、使用し、伝達する権利を有する。

 

(b) International principles also recognize that business enterprises within the national security sector, including private military and security companies, have the responsibility to disclose information in respect of situations, activities, or conduct that may reasonably be expected to have an impact on the enjoyment of human rights.

 

(b)国際原則はまた、民間軍事会社及び民間警備会社を含む国家安全保障部門内の企業は、人権の享受への影響があると合理的に期待される可能性のある状況、活動、行為に関する情報を公開する責任があることを認めている。

 

(c) Those with an obligation to disclose information, consistent with Principles 1(a) and 1(b), must make information available on request, subject only to limited exceptions prescribed by law and necessary to prevent specific, identifiable harm to legitimate interests, including national security.

 

(c)原則1(a)及び1b)に沿って、情報公開の義務を持つ者は、請求された情報を開示しなければならず、例外は、国家安全保障を含めた正当な利益への特定可能な損害を回避するために必要且つ法に定められた場合のみとする。

 

(d) Only public authorities whose specific responsibilities include protecting national security may assert national security as a ground for withholding information.

 

(d)国家の安全の保護を含む特定の責任をもつ公権力のみが、国家安全保障を理由とした情報非開示を主張し得る。

 

(e) Any assertion by a business enterprise of national security to justify withholding information must be explicitly authorized or confirmed by a public authority tasked with protecting national security.

 

(e)情報非開示を正当化するために国家安全を主張する民間企業のいかなる主張も、国家安全を保護する目的をもつ公的機関によって厳密に認可あるいは承認されなければならない。

 

Note: The government, and only the government, bears ultimate responsibility for national security, and thus only the government may assert that information must not be released if it would harm national security.

 

注記:政府のみが国家安全保障の究極的な責任をもつ。それゆえに、政府のみが国家安全保障を損なう場合がある情報の非開示を主張しうる。

 

Public authorities also have an affirmative obligation to publish proactively certain information of public interest.

 

公権力はまた、公共の利益に関する特定の情報を率先して公開する積極的な義務を有する。

 

 

 

 

 

Principle 2: Application of these Principles

 

原則 2:本原則の適用

 

(a) These Principles apply to the exercise of the right of access to information as identified in Principle 1 where the government asserts or confirms that the release of such information could cause harm to national security.

 

(a)本原則は、原則1で示したように、情報の開示が国家安全保障を損なう可能性があると政府が主張又は確認した場合に、その情報にアクセスする権利の行使に適用する。

 

(b) Given that national security is one of the weightiest public grounds for restricting information, when public authorities assert other public grounds for restricting access—including international relations, public order, public health and safety, law enforcement, future provision of free and open advice, effective policy formulation, and economic interests of the state—they must at least meet the standards for imposing restrictions on the right of access to information set forth in these Principles as relevant.

 

(b)国 家安全保障が情報制限の最も重要な公的理由の一つであることを考慮すると、公権力が、たとえば国際関係、公共秩序、公共福祉と安全、法執行、自由で公開さ れた助言の将来的提供、効果的な政策形成、及び国家の経済的利益などの、アクセス制限の他の公的理由を主張するときは、その理由は、少なくとも本原則に規 定されている情報アクセス権へ制限を課すための基準を、妥当なものとして満たさねばならない。

 

(c) It is good practice for national security, where used to limit the right to information, to be defined precisely in a country’s legal framework in a manner consistent with a democratic society.

 

(c) 民主主義社会にふさわしい形で、国の法的枠組みの中で厳密に定義付けされることは、情報に対する権利を制限してきた国家安全保障にとって望ましいことである。

 

 

 

 

 

Principle 3: Requirements for Restricting the Right to Information on National Security Grounds

 

原則 3:国家安全保障上の理由に基づいた情報に対する権利の制限のための要件

 

No restriction on the right to information on national security grounds may be imposed unless the government can demonstrate that: (1) the restriction (a) is prescribed by law and (b) is necessary in a democratic society (c) to protect a legitimate national security interest; and (2) the law provides for adequate safeguards against abuse, including prompt, full, accessible, and effective scrutiny of the validity of the restriction by an independent oversight authority and full review by the courts.

 

政府が、その情報の制限が、(1)(a)法に基づき、且つ(b)民主主義社会において必要であり(c)国家安全保障上の正当な利益を保護するためであると明示することができない場合、また(2) 情報制限の妥当性についての独立監視機関による、そして裁判所の全面的検討による、速やかで、十全で、アクセス可能で、且つ効果的な調査を含む、職権乱用 を十分に阻止するための規定を示すことができない場合は、いかなる国家安全保障上の理由に基づく情報への権利制限もできない。

 

(a) Prescribed by law. The law must be accessible, unambiguous, drawn narrowly and with precision so as to enable individuals to understand what information may be withheld, what should be disclosed, and what actions concerning the information are subject to sanction.

 

(a)「法に基づく」について。 法は、アクセス可能であり、明解であり、綿密且つ正確でなければならない。そうすることで、どの情報が非公開となり得るか、どの情報が開示されるべきか、そして情報に関するどのような行為が制裁の対象であるかを、各人が理解できる。

 

(b) Necessary in a democratic society.

 

(b)「民主主義社会において必要である」について。

 

(i) Disclosure of the information must pose a real and identifiable risk of significant harm to a legitimate national security interest.

 

(i)その情報を公開すれば正当な国家安全保障上の利益を重大に害するという現実的且つ特定可能なリスクがなければならない。

 

(ii) The risk of harm from disclosure must outweigh the overall public interest in disclosure.

 

(ii)情報を公開することによる損害のリスクが、情報を公開することによる総合的公益を上回らなければならない。

 

(iii) The restriction must comply with the principle of proportionality and must be the least restrictive means available to protect against the harm.

 

(iii)制限は比例の原則に従わなければならず、且つ損害から保護するための最も制限の少ない手段でなければならない。

 

(iv) The restriction must not impair the very essence of the right to information.

 

(iv)制限することで情報に対する権利の本質を損なってはならない。

 

(c) Protection of a legitimate national security interest. The narrow categories of information that may be withheld on national security grounds should be set forth clearly in law.

 

(c)「正当な国家安全保障上の利益の保護」について。 国家安全保障上の理由により非開示になりうる情報の厳密な分類は、法により明確に定められるべきである。

 

Notes: See definition of legitimate national security interestin the Definitions section, above. Principle 3(b) is all the more important if national security is not defined clearly in law as recommended in Principle 2.

 

注記:「語句の定義」に記載されている「正当な国家安全保障上の利益」を見よ。原則3(b)は原則2で推奨されているように、法において国家安全保障が明確に定義されていない場合に一層重要である。

 

Public interestis not defined in these Principles. A list of categories of especially high public interest that should be published proactively and should never be withheld is set forth in Principle 10. A list of categories of wrongdoing that are of high interest to the public, and that public servants should and may disclose without fear of retaliation, is set forth in Principle 37.

 

「公共の利益」は本原則では定義されていない。積極的に公開されるべきであり、且つ決して非公開であってはならない公益性が特に高い情報カテゴリーのリストは、原則10に明記されている。公衆に関連性が高く、且つ公務員が報復の恐れなしに開示すべき、及び開示可能な不正行為のカテゴリーのリストは原則37に明記されている。

 

In balancing the risk of harm against the public interest in disclosure, account should be taken of the possibility of mitigating any harm from disclosure, including through means that require the reasonable expenditure of funds. Following is an illustrative list of factors to be considered in deciding whether the public interest in disclosure outweighs the risk of harm:

 

情 報を公開することによる公共の利益と、損害のリスクとのバランスを保つために、たとえば合理的な額の資金の支出を必要とする手段などを講じることにより、 開示による損害を軽減させる可能性を考慮すべきである。以下は情報公開の公的利益が損害のリスクを上回るかどうかの決定を行う際に考慮すべき要素の例であ る。

 

 

 

factors favoring disclosure: disclosure could reasonably be expected to (a) promote open discussion of public affairs, (b) enhance the government’s accountability, (c) contribute to positive and informed debate on important issues or matters of serious interest, (d) promote effective oversight of expenditure of public funds, (e) reveal the reasons for a government decision, (f) contribute to protection of the environ- ment, (g) reveal threats to public health or safety, or (h) reveal, or help establish accountability for, violations of human rights or international humanitarian law.

 

・情報公開を促す要素:情報公開が(a)公的問題についての開かれた議論を推進し、(b)政府の説明責任を強化し、(c)重要な問題に関して情報を与えられた上での建設的な議論を行うことに貢献し、(d)公的資金の支出についての効率的な監視を推進し、(e)政府の決定の根拠を明らかにし、(f)環境保護に貢献し、(g)公衆衛生又は安全への脅威を明らかにし、あるいは(h)人権侵害又は国際人道法違反を暴露し、あるいはその説明責任の確保を補助する、と合理的に予測され得る場合。

 

factors favoring non-disclosure: disclosure would likely pose a real and identifiable risk of harm to a legitimate national security interest;

 

・情報秘匿を促す要素:情報公開することにより、正当な国家安全保障上の利益を侵害する、現実的で特定可能なリスクがあり得る場合。

 

factors that are irrelevant: disclosure could reasonably be expected to (a) cause embarrassment to, or a loss of confidence in, the government or an official, or (b) weaken a political party or ideology.

 

・無関係な要素:情報公開が(a)政府あるいは公務員に恥辱を感じさせたり信用を失墜させたりする原因となる、あるいは(b)政党やイデオロギーを弱体化させると合理的に予測され得る場合。

 

The fact that disclosure could cause harm to a country’s economy would be relevant in determining whether information should be withheld on that ground, but not on national security grounds.

 

情報公開が国家経済に損害を与えうる場合は、情報が開示されるかどうかの決定に経済的理由が関係するが、国家安全保障上の理由は関係しない。

 

 

 

 

 

Principle 4: Burden on Public Authority to Establish Legitimacy of Any Restriction

 

原則 4:あらゆる制限の正当性を確立するために公的機関が担うこと

 

(a) The burden of demonstrating the legitimacy of any restriction rests with the public authority seeking to withhold information.

 

(a)制限の正当性を示す義務は、情報の非開示を求める公的機関にある。

 

(b) The right to information should be interpreted and applied broadly, and any restrictions should be interpreted narrowly.

 

(b)情報への権利は広義に解釈され且つ適用されるべきであり、いかなる制限も狭義に解釈されるべきである。

 

(c) In discharging this burden, it is not sufficient for a public authority simply to assert that there is a risk of harm; the authority is under a duty to provide specific, substantive reasons to support its assertions.

 

(c)この義務を果たすにあたり、公的機関は単に損害のリスクがあると主張するだけでは不十分である。当該機関は、主張を裏付ける具体的且つ実質的な根拠を示す義務がある。

 

Note: Any person who seeks access to information should have a fair opportunity to challenge the asserted basis for a risk assessment before an administrative as well as a judicial authority, consistent with Principles 26 and 27.

 

注記:情報にアクセスを求めるすべての人は、原則2627に基づき、当局が主張するリスク判断の根拠について行政また司法当局に対し異議を申し立てる公平な機会を有するべきである。

 

(d) In no case may the mere assertion, such as the issuing of a certificate by a minister or other official to the effect that disclosure would cause harm to national security, be deemed to be conclusive concerning the point for which it is made.

 

(d)公開が国家安全保障に損害を生じるという旨の大臣又はその他の官僚による文書の発行などの、単なる主張は、いかなる場合も決定的なものとはみなされない。

 

 

 

 

 

Principle 5: No Exemption for Any Public Authority

 

原則 5:あらゆる公的機関への適用

 

(a)  No public authority—including the judiciary, the legislature, oversight institutions, intelligence agencies, the armed forces, police, other security agencies, the offices of the head of state and government, and any component offices of the foregoing— may be exempted from disclosure requirements.

 

(a)司法、立法、監視機関、情報機関、軍隊、警察やそのほかの安全保障機関、国家元首及び政府首班関連機関、そしてこれら機関を構成するあらゆる機関を含む公的機関は、情報公開の条件を免除され得ない。

 

(b) Information may not be withheld on national security grounds simply on the basis that it was generated by, or shared with, a foreign state or inter-governmental body, or a particular public authority or unit within an authority.

 

(b)情報は、他国又は政府間機構若しくは特定の公的機関又は公的機関内の部局によって作成されたり、共有したりしていることのみを根拠に、国家安全保障上の理由で秘匿されてはならない。

 

Note: Concerning information generated by a foreign state or inter-governmental body, see Principle 9(a)(v).

 

注記:他国又は政府間機関によって作成された情報に関しては、原則9(a(v)を参照せよ。

 

 

 

 

 

Principle 6: Access to Information by Oversight Bodies

 

原則 6:監視機関による情報へのアクセス

 

All oversight, ombuds, and appeal bodies, including courts and tribunals, should have access to all information, including national security information, regardless of classification level, relevant to their ability to discharge their responsibilities.

 

裁判所及び法廷を含む全ての監視機関、オンブズマン及び申立機関は、機密のレベルに関わらず、責任を持つ範囲に関連する、国家安全保障を含む全ての情報へのアクセス権を有するべきである。

 

Note: This Principle is expanded upon in Principle 32. It does not address disclosure to the public by oversight bodies. Oversight bodies should maintain the secrecy of all information that has been legitimately classified according to these Principles, as set forth in Principle 35.

 

注記:この原則は原則32において展開される。これは監視機関による公衆への情報公開に言及するものではない。監視機関は、原則35に定められたように、本原則により正当に機密扱いされた全ての情報の機密性を維持するべきである。

 

 

 

 

 

Principle 7: Resources

 

原則 7:資源

 

States should devote adequate resources and take other necessary steps, such as the issuance of regulations and proper management of archives, to ensure that these Principles are observed in practice.

 

本原則が実際に順守されることを保証するために、国家は十分な資源を充当し、規則の公布や公文書の適切な維持管理などのその他の必要な措置をとるべきである。

 

 

 

 

 

Principle 8: States of Emergency

 

原則 8:緊急事態

 

In a time of public emergency which threatens the life of the nation and the existence of which is officially and lawfully proclaimed in accordance with both national and international law, a state may derogate from its obligations regarding the right to seek, receive, and impart information only to the extent strictly required by the exigencies of the situation and only when and for so long as the derogation is consistent with the state’s other obligations under international law, and does not involve discrimination of any kind.

 

国 民の生命、及び国内法・国際法に基づき公式に合法的に宣言された存在を脅かす緊急事態の際には、国家は、情報を求め、受け取り、伝達する権利に関する義務 を免除され得る。ただし、状況の窮迫が厳密に要求する程度までとし、この免除が国際法に基づく他の義務との一貫性がある場合で、しかもいかなる種類の差別 も伴わない限りにおいてのみとする。

 

Note: Certain aspects of the right to seek, receive, and impart information and ideas are so fundamental to the enjoyment of non-derogable rights that they should always be fully respected even in times of public emergency. As a non-exhaustive example, some or all of the information in Principle 10 would be of this character.

 

注記:情報や考えを求め、受け取り、使用し、伝達する権利は、逸脱不可能な権利の享受にとって根本的に重要な側面を持ち、国の緊急事態においてさえも常に十分に尊重されねばならない。すべてを網羅しているわけではないが、原則10のいくつかの又はすべての情報はこの性質を有する。

 

Part II: Information that May Be Withheld on National Security Grounds, and Information that Should Be Disclosed

 

第2章:国家安全保障を理由に秘匿され得る情報と開示されるべき情報

 

 

 

 

 

Principle 9: Information that Legitimately May Be Withheld

 

原則 9: 合理的に秘匿され得る情報

 

(a)Public authorities may restrict the public’s right of access to information on national security grounds, but only if such restrictions comply with all of the other provisions of these Principles, the information is held by a public authority, and the information falls within one of the following categories:

 

(a)公権力は国家安全保障を理由に、情報にアクセスする公衆の権利を制限することができるが、そのような制限は、本原則の他のすべての条文に適合しており、その情報が公的機関によって保有されており、下記のカテゴリーのいずれかに当てはまる場合に限られる。

 

(i) Information about on-going defense plans, operations, and capabilities for the length of time that the information is of operational utility.

 

(i)その情報が戦略上有効である期間中の、進行中の防衛計画や作戦、状況に関する情報

 

Note: The phrase for the length of time that the information is of operational utilityis meant to require disclosure of information once the information no longer reveals anything that could be used by enemies to understand the state’s readiness, capacity, or plans.

 

注記:「戦略上有効である期間中」とは、開示されても国家の準備態勢、能力、又は計画を知るために敵が利用できる情報が何もない場合、その情報は開示されなければならないということを意味している。

 

(ii) Information about the production, capabilities, or use of weapons systems and other military systems, including communications systems.

 

(ii)通信システムを含む兵器システムその他の軍事システムの製造、性能、使用についての情報。

 

Note: Such information includes technological data and inventions, and information about production, capabilities, or use. Information about budget lines concerning weapons and other military systems should be made available to the public. See Principles 10C(3) & 10F. It is good practice for states to maintain and publish a control list of weapons, as encouraged by the Arms Trade Treaty as to conventional weapons. It is also good practice to publish information about weapons, equipment, and troop numbers.

 

注記:この情報は技術データや発明、及び製造、性能、使用に関する情報を含む。兵器や他の軍事システムに関する予算線に関する情報は公衆が入手可能でなければならない。原則10C(3)10F.を参照。通常兵器について武器貿易協定で推奨されるような兵器の管理リストを維持・公開することは国家にとって優れた実践である。また、兵器や装備、兵士の数に関する情報を公開することも優れた実践となる。

 

(iii) Information about specific measures to safeguard the territory of the state, critical infrastructure, or critical national institutions (institutions essentielles) against threats or use of force or sabotage, the effectiveness of which depend upon secrecy;

 

(iii)国土や重要インフラ又は重要な国家機関を、脅威または妨害工作や武力の行使から護衛するための具体的な手段に関する情報で、機密であることでその効果を発揮するもの。

 

Note: Critical infrastructurerefers to strategic resources, assets, and systems, whether physical or virtual, so vital to the state that destruction or incapacity of such resources, assets, or systems would have a debilitating impact on national security.

 

注記:「重要インフラ」とは戦略的資源、資産及び物理的又は仮想的システムを指し、それゆえこれらの資源、資産及びシステムの破壊又は無効化は国家安全保障を弱体化させる影響があるもののこと。

 

(iv) Information pertaining to, or derived from, the operations, sources, and methods of intelligence services, insofar as they concern national security matters; and

 

(iv)情報局の活動、情報源、手段に関連又は由来する情報で、国家安全保障の問題に関するもの、及び

 

(v) Information concerning national security matters that was supplied by a foreign state or inter-governmental body with an express expectation of confidentiality; and other diplomatic communications insofar as they concern national security matters.

 

(v)外国や政府間機関からとくに極秘を期待されて提供された国家安全保障の問題に関する情報、及び他の外交上のコミュニケーションで提供された国家安全保障の問題に関する情報。

 

Note: It is good practice for such expectations to be recorded in writing.

 

注記:そのような期待は文書で記録されることが望ましい。

 

Note: To the extent that particular information concerning terrorism, and counter-terrorism measures, is covered by one of the above categories, the public’s right of access to such information may be subject to restrictions on national security grounds in accordance with this and other provisions of the Principles. At the same time, some information concerning terrorism or counterterrorism measures may be of particularly high public interest: see e.g., Principles 10A, 10B, and 10H(1).

 

注 記:テロやテロ対策に関わる特定の情報が上記のいずれかのカテゴリーで取り上げられる場合、このような情報にアクセスする公衆の権利はこの原則や他の原則 に従って国家安全保障の見地から制約を受けることがあり得る。ただし同時に、テロやテロ対策に関わるいくつかの情報にはとくに高い公益性があり得る。原則10A10B10H(1)を参照。

 

(b) It is good practice for national law to set forth an exclusive list of categories of information that are at least as narrowly drawn as the above categories.

 

(b)国内法において、少なくとも上記のカテゴリーリストと同程度に範囲を狭めた情報カテゴリーのリストを定めることは優れた実践である。

 

(c) A state may add a category of information to the above list of categories, but only if the category is specifically identified and narrowly defined and preservation of the information’s secrecy is necessary to protect a legitimate national security interest that is set forth in law, as suggested in Principle 2(c). In proposing the category, the state should explain how disclosure of information in the category would harm national security.

 

(c)国家は、上記のカテゴリーリストに新たなカテゴリーを追加することができる。ただし、原則2(c)で 提案されているように、そのカテゴリーが具体的に特定され厳密に定義された上で、情報を秘匿することが、法律で定められた正当な国家安全保障を保護するた めに必要である場合に限られる。あらたなカテゴリーを提案するに際しては、国家はそのカテゴリーの情報の開示がどのように国家の安全保障を脅かすかについ て説明するべきである。

 

 

 

 

 

Principle 10: Categories of Information with a High Presumption or Overriding Interest in Favor of Disclosure

 

原則 10: 公開することが望ましいと強く推定される情報又は公開による利益が大きい情報のカテゴリー

 

Some categories of information, including those listed below, are of particularly high public interest given their special significance to the process of democratic oversight and the rule of law. Accordingly, there is a very strong presumption, and in some cases an overriding imperative, that such information should be public and proactively disclosed.

 

下 記に挙げたものを含むいくつかの情報のカテゴリーは、法の支配と民主的監視プロセスにとって特に重要であることを考えると、特に高い公益性を持っている。 したがって、その情報は公にされ、積極的に開示されるべきであると強く推定され、場合によってはその公開は最優先の義務となる。

 

Information in the following categories should enjoy at least a high presumption in favor of disclosure, and may be withheld on national security grounds only in the most exceptional  circumstances and in a manner consistent with the other principles, only for a strictly limited period of time, only pursuant to law and only if there is no reasonable means by which to limit the harm that would be associated with disclosure. For certain subcategories of information, specified below as inherently subject to an overriding public interest in disclosure, withholding on grounds of national security can never be justified.

 

下 記のカテゴリーにおける情報は、少なくとも公開が望ましいと強く推定されるべき情報であり、国家安全保障を根拠に秘匿され得るのは、以下の場合に限られ る。すなわち、本原則の他の条項と矛盾しない形で、最も例外的な状況においてのみ、厳密に限定された期間に限り、法に基づいてのみ、そして開示することに よる損害を抑える合理的な手段がない場合である。下記に記された特定のサブカテゴリーの情報は本質的に公開による利益が最優先されるものであり、国家安全 保障を根拠に非公開とすることは決して正当化され得ない。

 

 

 

A. Violations of International Human Rights and Humanitarian Law

 

A.国際人権法及び人道法上の違反

 

(1) There is an overriding public interest in disclosure of information regarding gross violations of human rights or serious violations of international humanitarian law, including crimes under international law, and systematic or widespread violations of the rights to personal liberty and security. Such information may not be withheld on national security grounds in any circumstances.

 

(1)深刻な人権侵害や、国際法に基づく犯罪を含む国際人道法の重大な違反、個人の自由と安全に対する権利の組織的又は広範な侵害に関する情報の開示には、優先的な公益性がある。このような情報は、いかなる場合においても国家安全保障を根拠に非公開とされてはならない。

 

(2) Information regarding other violations of human rights or humanitarian law is subject to a high presumption of disclosure, and in any event may not be withheld on national security grounds in a manner that would prevent accountability for the violations or deprive a victim of access to an effective remedy.

 

(2)他の人権侵害や人道法違反に関する情報は、公開されることが強く推定されるものであり、どのような場合でも、人権侵害の説明責任を阻むような形で、又は犠牲者が効果的な救済にアクセスする手段を奪うような形で、国家安全保障を根拠に秘匿することはできない。

 

(3) When a state is undergoing a process of transitional justice during which the state is especially required to ensure truth, justice, reparation, and guarantees of non-recurrence, there is an overriding public interest in disclosure to society as a whole of information regarding human rights violations committed under the past regime. A successor government should immediately protect and preserve the integrity of, and release without delay, any records that contain such information that were concealed by a prior government.

 

(3)国 家が移行期正義の過程にあり、真実、正義、補償、再発阻止の保証などを確保することがとくに求められている時、過去の体制下でなされた人権侵害に関する情 報を全体として社会に開示することは最優先の公益性を持つ。後任の政府は、前政権が隠ぺいしていたこのような情報を含むあらゆる記録をただちに保護し、保 全し、遅滞なく公開するべきである。

 

Note: See Principle 21(c) regarding the duty to search for or reconstruct information about human rights violations.

 

注記:人権侵害に関する情報の探索又は再構築の義務については、原則21(c)を参照。

 

(4) Where the existence of violations is contested or suspected rather than already established, this Principle applies to information that, taken on its own or in conjunction with other information, would shed light on the truth about the alleged violations.

 

(4)この原則は、人権侵害が立証されている場合よりはその存在について論争があるか疑われている場合において、議論されているその侵害の真実を明らかにするような情報(単独もしくは他の情報と関連して用いられる)に対して適用される。

 

(5) This Principle applies to information about violations that have occurred or are occurring, and applies regardless of whether the violations were committed by the state that holds the information or others.

 

(5)この原則はすでに発生した人権侵害及び現在進行中の人権侵害に対して適用され、人権侵害の行為者が情報を保有する国家であれ他の者であれ適用される。

 

(6) Information regarding violations covered by this Principle includes, without limitation, the following:

 

(6)この原則で取り上げる人権侵害に関する情報は以下のとおりだが、これに限定されない。

 

(a) A full description of, and any records showing, the acts or omissions that constitute the violations, as well as the dates and circumstances in which they occurred, and, where applicable, the location of any missing persons or mortal remains.

 

(a)人権侵害を構成する作為又は不作為、及び発生の日付や状況、場合によっては行方不明者や遺体の所在を示す完全な記述や記録。

 

(b) The identities of all victims, so long as consistent with the privacy and other rights of the victims, their relatives, and witnesses; and aggregate and otherwise anonymous data concerning their number and characteristics that could be relevant in safeguarding human rights.

 

(b)被害者、親族、証言者のプライバシーその他の権利を侵害しない範囲での全被害者の身元情報、人権を守る上で関連があり得る被害者の数や特徴を示す集計データ又は匿名データ。

 

Note: The names and other personal data of victims, their relatives and witnesses may be withheld from disclosure to the general public to the extent necessary to prevent further harm to them, if the persons concerned or, in the case of deceased persons, their family members, expressly and voluntarily request withholding, or withholding is otherwise manifestly consistent with the person’s own wishes or the particular needs of vulnerable groups. Concerning victims of sexual violence, their express consent to disclosure of their names and other personal data should be required. Child victims (under age 18) should not be identified to the general public. This Principle should be interpreted, however, bearing in mind the reality that various governments have, at various times, shielded human rights violations from public view by invoking the right to privacy, including of the very individuals whose rights are being or have been grossly violated, without regard to the true wishes of the affected individuals. These caveats, however, should not preclude publication of aggregate or otherwise anonymous data.

 

注 記:被害者や親族及び証言者の氏名や個人情報は、更なる人権侵害を防ぐ必要がある範囲で、また本人や、死亡している場合はその遺族が情報の非公開をはっき りと自発的に要求した場合、又は非公開が本人自身の希望であることが明白な場合や公開することによって不利益を受ける集団にとって非公開であることが特に 必要であることが明白な場合には、一般への開示は保留することができる。性暴力の被害者に関しては、氏名や他の個人情報の公開に対する承諾を得ることは必 須である。18歳未満の子どもの個人情報は一般へ公開されるべ きではない。この原則を解釈する時に念頭に置くべきなのは、様々な政府が様々な時代に、被害者個人の真の希望を顧みず、重大な人権侵害を受けた、又は受け ているまさにその個人を含むプライバシーの権利を盾に、人権侵害を国民の目から隠してきたという現実である。しかしながらこのことで、集計データ又は匿名 データの公表を除外すべきではない。

 

(c) The names of the agencies and individuals who perpetrated or were otherwise responsible for the violations, and more generally of any security sector units present at the time of, or otherwise implicated in, the violations, as well as their superiors and commanders, and information concerning the extent of their command and control.

 

(c)人権侵害を実行した、若しくは責任のある機関と個人の氏名、及びより一般的に、人権侵害の発生当時存在した又は関与した国家安全保障部門の名称、上司や司令官の氏名、そして指揮や監督の範囲に関する情報。

 

(d) Information on the causes of the violations and the failure to prevent them.

 

(d)人権侵害の原因及び防止しなかったことに関する情報。

 

 

 

B. Safeguards for the Right to Liberty and Security of Person, the Prevention of Torture and Other Ill-treatment, and the Right to Life

 

B.人間の自由と安全に関する権利の保護、拷問及び虐待の防止、生存権の保護

 

Information covered by this Principle includes:

 

この原則が取り上げる情報は以下のとおり。

 

(1) Laws and regulations that authorize the deprivation of life of a person by the state, and laws and regulations concerning deprivation of liberty, including those that address the grounds, procedures, transfers, treatment, or conditions of detention of affected persons, including interrogation methods. There is an overriding public interest in disclosure of such laws and regulations.

 

(1)国家による人命剥奪の権限を与える法律や規則、及び自由の剥奪に関する法律や規則(根拠、手続、移送、処遇、取り調べ方法を含めた拘禁状態に関するものを含む)。このような法律や規則を開示することには最優先の公益性がある。

 

Notes: Laws and regulations,as used throughout Principle 10, include all primary or delegated legislation, statutes, regulations, and ordinances, as well as decrees or executive orders issued by a president, prime minister, minister or other public authority, and judicial orders, that have the force of law.Laws and regulationsalso include any rules or interpretations of law that are regarded as authoritative by executive officials.

 


注記:原則10を 通して使用される「法律や規則」という語は議会立法又は委任立法、法令、規則及び条例、また大統領、首相、大臣又は他の公的機関による布告や行政命令、司 法命令など、法的拘束力があるすべてのものを含む。また「法律や規則」は行政官によって権限を持つとみなされる、あらゆる命令や法解釈をも含む。

 

Deprivation of liberty includes any form of arrest, detention, imprisonment, or internment.

 

自由の剥奪には、あらゆる形態の逮捕、拘禁、投獄又は抑留を含む。

 

(2) The location of all places where persons are deprived of their liberty operated by or on behalf of the state as well as the identity of, and charges against, or reasons for the detention of, all persons deprived of their liberty, including during armed conflict.

 

(2)武力紛争時を含め、国家や国家の代理によって運営され人々の自由が剥奪されたあらゆる場所の所在。及び自由を奪われた人々の身元情報、罪状、拘禁理由。

 

(3) Information regarding the death in custody of any person, and information regarding any other deprivation of life for which a state is responsible, including the identity of the person or persons killed, the circumstances of their death, and the location of their remains.

 

(3)あらゆる人の拘禁中の死亡に関する情報、国家の責任によるその他の人命剥奪に関する情報(犠牲者の身元情報、そうした人々の死亡の状況、遺体の所在を含む)

 

Note: In no circumstances may information be withheld on national security grounds that would result in the secret detention of a person, or the establishment and operation of secret places of detention, or secret executions. Nor are there any circumstances in which the fate or whereabouts of anyone deprived of liberty by, or with the authorization, support, or acquiescence of, the state may be concealed from, or otherwise denied to, the person’s family members or others with a legitimate interest in the person’s welfare.

 

注 記:いかなる状況であれ、国家安全保障を根拠に、人の秘密拘禁、秘密拘禁場所の設立と運営、秘密処刑につながる情報を秘匿してはならない。また、いかなる 状況であれ、国家によって、又は国家によって権限・援助・承認を与えられた者によって自由を剥奪された人の行方や所在が、その人の家族や、その人の幸福に 正当な関係のある他の人々に対して隠されたり、通知を拒否されたりしてはならない。

 

The names and other personal data of persons who have been deprived of liberty, who have died in custody, or whose deaths have been caused by state agents, may be withheld from disclosure to the general public to the extent necessary to protect the right to privacy if the persons concerned, or their family members in the case of deceased persons, expressly and voluntarily request withholding, and if the withholding is otherwise consistent with human rights. The identities of children who are being deprived of liberty should not be made available to the general public. These caveats, however, should not preclude publication of aggregate or otherwise anonymous data.

 

自 由を剥奪された者、拘禁中に死亡した者、又は国家機関によって死に至らしめられた者の氏名及びその他の個人情報は、当該個人又は当人が死亡している場合は その家族がとくに秘匿を希望する場合、また秘匿することがかえって人権を尊重する場合は、プライバシーの権利の保護の必要な範囲で一般に対して秘匿するこ とができる。自由を剥奪されている子どもの個人情報は一般に対して開示するべきではない。しかしこうした制限は、集計データ又は匿名データの公表を妨げる ものではない。

 

 

 

C. Structures and Powers of Government

 

C.政府の構造と権力

 

Information covered by this Principle includes, without limitation, the following:

 

この原則で取り上げる情報は以下のとおりだが、これに限定されない。

 

The existence of all military, police, security, and intelligence authorities, and sub- units.

 

軍隊、警察、安全保障組織や諜報機関及びその下部組織全部の存在。

 

(1) The laws and regulations applicable to those authorities and their oversight bodies and internal accountability mechanisms, and the names of the officials who head such authorities.

 

(1)これらの組織や機関、その監視機関、内部説明責任メカニズムに適用され得る法律及び規則。そしてこれらを統轄する当局者の氏名。

 

(2) Information needed for evaluating and controlling the expenditure of public funds, including the gross overall budgets, major line items, and basic expenditure information for such authorities.

 

(2)総予算額、主要項目、基本的支出情報を含む公的資金の支出を評価・管理するために必要な情報。

 

(3) The existence and terms of concluded bilateral and multilateral agreements, and other major international commitments by the state on national security matters.

 

(3)二国間又は多国間で締結された協定の存在と条項、及び国家安全保障事項に基づく当該国による他の主要な国際的関与

 

 

 

D. Decisions to Use Military Force or Acquire Weapons of Mass Destruction

 

D.軍事力行使又は大量破壊兵器の入手の決定

 

(1) Information covered by this Principle includes information relevant to a decision to commit combat troops or take other military action, including confirmation of the fact of taking such action, its general size and scope, and an explanation of the rationale for it, as well as any information that demonstrates that a fact stated as part of the public rationale was mistaken.

 

(1)この原則で取り上げる情報は、戦闘部隊の派遣又はその他の軍事行動の決定に関連する情報であり、その軍事行動の事実の確認、総合的な規模と範囲、論拠の説明を含む。また、公式の理由の一部として述べられた事実が誤りであったことを示すあらゆる情報。

 

Note: The reference to an action’s generalsize and scope recognizes that it should generally be possible to satisfy the high public interest in having access to information relevant to the decision to commit combat troops without revealing all of the details of the operational aspects of the military action in question (see Principle 9).

 

注記:行動の「総合的な」規模と範囲に言及した理由は、これを開示することにより、問題となっている軍事行動の作戦面のすべての詳細を公表することなく、戦闘部隊の派遣決定に関連する情報にアクセスするという高い公益性を満たすことが一般的にできるからである(原則9を参照)。

 

(2) The possession or acquisition of nuclear weapons, or other weapons of mass destruction, by a state, albeit not necessarily details about their manufacture or operational capabilities, is a matter of overriding public interest and should not be kept secret.

 

(2)国家による核兵器や他の大量破壊兵器の保有や入手は、製造過程や作戦能力について詳細である必要は無いが、重要な公共の利益の問題であるため秘匿されるべきではない。

 

Note: This sub-principle should not be read to endorse, in any way, the acquisition of such weapons.

 

注記:この副原則はいかなる意味においても、このような兵器の入手を容認するものと解釈されるべきではない。

 

 

 

E. Surveillance

 

E.監視

 

(1) The overall legal framework concerning surveillance of all kinds, as well as the procedures to be followed for authorizing surveillance, selecting targets of surveillance, and using, sharing, storing, and destroying intercepted material, should be accessible to the public.

 

(1)あらゆる種類の監視に関する全体的な法的枠組みは、監視の認可や対象の選択、得られた資料の使用、共有、保管、破棄のすべての過程と同様、公衆がその情報にアクセスできるべきである。

 

Note: This information includes: (a) the laws governing all forms of surveillance, both covert and overt, including indirect surveillance such as profiling and data-mining, and the types of surveillance measures that may be used; (b) the permissible objectives of surveillance; (c) the threshold of suspicion required to initiate or continue surveillance; (d) limitations on the duration of surveillance measures; (e) procedures for authorizing and reviewing the use of such measures; (f) the types of personal data that may be collected and/or processed for national security purposes; and (g) the criteria that apply to the use, retention, deletion, and transfer of these data.

 

注記:この情報に含まれるものは次のとおり。 (a)プロファイリングやデータ収集などの間接的な監視を含め公開・非公開のあらゆる形態の監視及び利用される監視手段の種類について定める法律 (b)許容できる監視対象 (c)監視を実施又は継続するために必要な疑惑の発端 (d) 監視手段の期間の限度 (e)このような手段の利用の承認・審査手続 (f)国家安全保障上の目的で収集及び/又は加工され得る個人データの種類 (g)こうしたデータの利用、保有、消去、移転に適用する基準

 

(2) The public should also have access to information about entities authorized to conduct surveillance, and statistics about the use of such surveillance.

 

(2)公衆は、監視を行う権限を付与された機関についての情報及びそのような監視行為の利用についての統計にアクセスできるべきである。

 

Note: This information includes the identity of each government entity granted specific authorization to conduct particular surveillance each year; the number of surveillance authorizations granted each year to each such entity; the best information available concerning the number of individuals and the number of communications subject to surveillance each year; and whether any surveillance was conducted without specific authorization and if so, by which government entity.

 

注 記:これには、毎年特定の監視行為を行う特定の権限を付与された各政府機関の情報や、各機関に毎年与えられる監視許可の数、毎年監視の対象となる個人の数 及び通信の数に関する入手できる最善の情報、明確な権限なしに監視が行われているかどうか、もし行われているとすれば、どの政府機関によるものかといった 情報が含まれている。

 

The right of the public to be informed does not necessarily extend to the fact, or operational details, of surveillance conducted pursuant to law and consistent with human rights obligations. Such information may be withheld from the public and those subject to surveillance at least until the period of surveillance has been concluded.

 

法に従って行われ人権上の義務に矛盾しない監視ならば、必ずしも事実や監視の詳細まで公衆の知る権利に含む必要はない。このような情報は少なくとも監視期間が終了するまでは公表されなくてもよい。

 

(3) In addition, the public should be fully informed of the fact of any illegal surveillance. Information about such surveillance should be disclosed to the maximum extent without violating the privacy rights of those who were subject to surveillance.

 

(3)さらに、違法な監視が行われた事実があれば、公衆はすべてを知らされるべきである。このような監視の対象となった個人のプライバシーの権利を侵害しない最大限の範囲で情報が公開されるべきである。

 

(4) These Principles address the right of the public to access information and are without prejudice to the additional substantive and procedural rights of individuals who have been, or believe that they may have been, subject to surveillance.

 

(4)本原則は情報にアクセスする公衆の権利に関するものであり、監視対象となった、あるいはなったかもしれないと信じる個人のその他の実質的且つ手続的権利を損なうものではない。

 

Note: It is good practice for public authorities to be required to notify persons who have been subjected to covert surveillance (providing, at a minimum, information on the type of measure that was used, the dates, and the body responsible for authorizing the surveillance measure) insofar as this can be done without jeopardizing on-going operations or sources and methods.注記:進行中の監視行動又は情報源や手段を危機に陥れずに可能な限りにおいて、秘密監視対象となった人に(最低限、利用した監視方法の種類、日付、監視方法の実行に責任のある機関を)通知することを公権力に義務付けるのが望ましい。

 

(5)The high presumptions in favor of disclosure recognized by this Principle do not apply in respect of information that relates solely to surveillance of the activities of foreign governments.

 

(5)この原則で開示が望ましいと強く推定される情報は、他国の活動の監視にのみ関連する情報には適用されない。

 

Note: Information obtained through covert surveillance, including of the activities of foreign governments, should be subject to disclosure in the circumstances identified in Principle 10A.

 

注記:他国の行動に対するものを含め、秘密監視行動を通じて得られた情報は原則10Aに示された状況において開示の対象とすべきである。

 

 

 

F. Financial Information

 

F.財務情報

 

Information covered by this Principle includes information sufficient to enable the public to understand security sector finances, as well as the rules that govern security sector finances. Such information should include but is not limited to:

 

この原則で取り上げられる情報には、国家安全保障部門の財政及び国家安全保障部門の財政を定めた規定を公衆が理解するために十分な情報が含まれる。このような情報は下記を含むがこれに限定されない。

 

(1) Departmental and agency budgets with headline items;

 

(1)主要項目を含めた部門別及び機関別予算

 

(2) End-of-year financial statements with headline items;

 

(2)主要項目を含めた年度末財務諸表

 

(3) Financial management rules and control mechanisms;

 

(3)財務管理規則と管理システム

 

(4) Procurement rules; and

 

(4)資金調達規則 及び

 

(5) Reports made by supreme audit institutions and other bodies responsible for reviewing financial aspects of the security sector, including summaries of any sections of such reports that are classified.

 

(5)最高会計検査機関及びその他の国家安全保障機関の財政面を審査する責任のある機関によって作成された報告書。機密扱いにされた同様の報告書のあらゆる章の概要を含む、

 

 

 

G. Accountability Concerning Constitutional and Statutory Violations and Other Abuses of Power

 

G.憲法・法令違反及びその他の権力乱用に関する説明責任

 

This Principle includes information concerning the existence, character, and scale of constitutional or statutory violations and other abuses of power by public authorities or personnel.

 

この原則は、公権力又は公務関係者による憲法・法令違反及びその他の権力乱用の存在、性質、規模に関する情報を含む。

 

 

 

H. Public Health, Public Safety, or the Environment

 

H.公衆衛生、市民の安全又は環境

 

Information covered by this Principle includes:

 

この原則に取り上げる情報は以下のとおり。

 

(1) In the event of any imminent or actual threat to public health, public safety, or the environment, all information that could enable the public to understand or take measures to prevent or mitigate harm arising from that threat, whether the threat is due to natural causes or human activities, including by actions of the state or by actions of private companies.

 

(1)公衆衛生、市民の安全又は環境に対する差し迫った実際的な脅威がある場合において、その脅威から生じる損害を理解したり、防止・軽減する手段をとったりすることを可能にするすべての情報。その脅威の原因が自然か人間活動(国家によるものか民間企業によるものか)かを問わない。

 

(2) Other information, updated regularly, on natural resource exploitation, pollution and emission inventories, environmental impacts of proposed or existing large public works or resource extractions, and risk assessment and management plans for especially hazardous facilities.

 

(2)天然資源の搾取、汚染排出物リスト、大規模公共事業又は資源採取の計画又は実施の環境への負荷、そして特に危険な施設のリスク評価と管理計画に関する定期的に更新されるその他の情報。

 

Part III. A: Rules Regarding Classification and Declassification of Information

 

第3章. A:情報の機密指定及び機密解除に関する規則

 

 

 

 

 

Principle 11: Duty to State Reasons for Classifying Information

 

原則 11:情報を機密指定する理由を述べる義務

 

(a)  Whether or not a state has a formal classification process, public authorities are obliged to state reasons for classifying information.

 

a)国家が機密指定の公式のプロセスを有しているいないに関わらず、公権力は、情報を機密指定する理由を述べる義務がある。

 

Note: Classificationis the process by which records that contain sensitive information are reviewed and given a mark to indicate who may have access and how the record is to be handled. It is good practice to institute a formal system of classification, in order to reduce arbitrariness and excessive withholding.

 

注 記:「機密指定」とは、注意を要する情報が含まれる記録が検討され、その上で誰がアクセスしてよいのか、いかにして記録が扱われるべきかを指示する印が与 えられるプロセスのことである。恣意性と過剰な情報秘匿を減らすために、情報の機密指定に関する公式のシステムを構築することは優れた実践である。

 

(b)  The reasons should indicate the narrow category of information, corresponding to one of the categories listed in Principle 9, to which the information belongs, and describe the harm that could result from disclosure, including its level of seriousness and degree of likelihood.

 

(b)機密指定の根拠として、その情報が属する、原則9でリスト化されたカテゴリーのいずれかに対応した、情報の厳密な分類を示すべきであり、また、開示することによって生じうる損害を、その深刻さの程度、それが起こりうる可能性を含めて、記述しなくてはならない。

 

(c)  Classification levels, if used, should correspond to the levels and likelihood of harm identified in the justification.

 

(c)機密のレベル設定をする場合は、レベルの決定を正当化する上で想定された損害の程度とそれが起こりうる可能性に釣りあうものであるべきである。

 

(d)  When information is classified, (i) a protective marking should be affixed to the record indicating the level, if any, and maximum duration of classification, and (ii) a statement should be included justifying the need to classify at that level and for that period.

 

(d)情報が機密扱いにされるとき、(i)機密のレベル(設定されている場合)と機密扱いの最長期間を示す保護的な印と、(ii)そのレベルと期間を定める必要性を正当化する文言を記録に添付すべきである。

 

Note: Providing a statement justifying each classification decision is encouraged because it makes officials pay attention to the specific harm that would result from disclosure, and because it facilitates the process of declassification and disclosure. Paragraph-by-paragraph marking further facilitates consistency in disclosure of unclassified portions of documents.

 

注記:各情報の機密指定の決定理由を述べる文言を添付することが推奨されるのは、開示した結果起こり得る具体的な損害に公務員の注意を向けるためである。パラグラフごとに印を付けることで、文書中の機密でない部分を開示する際により整合性を保つことができる。

 

 

 

 

 

Principle 12: Public Access to Classification Rules

 

原則 12:機密指定の規則へのパブリック・アクセス

 

(a) The public should have the opportunity to comment on the procedures and standards governing classification prior to their becoming effective.

 

(a)公衆は、機密指定を規定する手続きと基準について、それらが効力を発する前に意見を述べる機会を有するべきである。

 

(b) The public should have access to the written procedures and standards governing classification.

 

(b)公衆は、機密指定を定める手続きと基準に関する文書へのアクセスを有するべきである。

 

 

 

 

 

Principle 13: Authority to Classify

 

原則 13:機密指定の権限

 

(a) Only officials specifically authorized or designated, as defined by law, may classify information. If an undesignated official believes that information should be classified, the information may be deemed classified for a brief and expressly defined period of time until a designated official has reviewed the recommendation for classification.

 

(a)法 によって定義される、特別に権限が与えられ指名された公務員だけが、情報を機密扱いにすることができる。指名されていない公務員が、情報が機密扱いにされ るべきだと考えた場合、使命された公務員が機密指定の提案を検討するまでの短期間の明確化された期間、機密扱いとみなされ得る。

 

Note: In the absence of legal provisions controlling the authority to classify, it is good practice to at least specify such delegation authority in a regulation.

 

注記:機密指定の権限を定める法規定がない場合、少なくとも委任権限を規則で明確化することは優れた実践である。

 

(b) The identity of the person responsible for a classification decision should be traceable or indicated on the document, unless compelling reasons exist to withhold the identity, so as to ensure accountability.

 

(b)機密扱いの決定について責任のある者を特定する情報は、それを秘匿するやむをえない理由が存在しない限り、説明責任を確保するために、特定可能であり、書面で示されねばならない。

 

(c) Those officials designated by law should assign original classification authority to the smallest number of senior subordinates that is administratively efficient.

 

(c)法に基づき指名されたこれらの公務員は、一次機密指定権限を、行政上効率的な最少人数の上級職員に割りふるべきである。

 

Note: It is a good practice to publish information about the number of people who have authority to classify, and the number of people who have access to classified information.

 

注記:機密指定の権限をもつ者の数に関する情報、そして機密情報にアクセスする権限をもつ者の数に関する情報を公開することは良い取り組みである。

 

 

 

 

 

Principle 14: Facilitating Internal Challenges to Classification

 

原則 14:機密指定に対する内部での異議申立を促進する

 

Public personnel, including those affiliated with the security sector, who believe that information has been improperly classified may challenge the classification of the information.

 

安全保障部門に所属する者を含め、情報が不適切に機密指定されていると考える公務関係者は、情報の機密指定に異議を唱えることができる。

 

Note: Security sector personnel are flagged as deserving of special encouragement to challenge classification given the heightened cultures of secrecy in security agencies, the fact that most countries have not established or designated an independent body to receive complaints from security personnel, and disclosure of security information often results in higher penalties than does disclosure of other information.

 

注 記:安全保障機関には強い秘密主義の風潮があり、またほとんどの国では、治安職員からの異議申し立てを受理する独立した機関が設置又は指定されておらず、 治安関連の情報の暴露は、その他の情報の暴露に比べて厳しい処罰が科されることが多いということを考えれば、安全保障機関の職員は機密指定に異議を唱える よう特に強く奨励されることが望ましい。

 

 

 

 

 

Principle 15: Duty to Preserve, Manage, and Maintain National Security Information

 

原則 15:国家安全保障に関する情報を保管し、管理し、維持する義務

 

(a) Public authorities have a duty to preserve, manage, and maintain information according to international standards. Information may be exempted from preservation, management, and maintenance only according to law.

 

(a)公権力は、国際基準[1]に準じて、情報を保管、管理、維持する義務を有する。情報は、法に基づいてのみ、保有、管理、維持の対象から除外される。

 

(b)  Information should be maintained properly. Filing systems should be consistent, transparent (without revealing legitimately classified information), and comprehensive, so that specific requests for access will locate all relevant information even if the information is not disclosed.

 

(b)情報は適切に維持されるべきである。分類整理のシステムは整合的で、(合法的に機密扱いとなった情報が漏れることがない形で)透明且つ包括的で、アクセスへの具体的な請求があった場合に、開示されていない情報であってもすべての関連情報の所在が特定できるべきである。

 

(c) Each public body should create and make public, and periodically review and update, a detailed and accurate list of the classified records it holds, save for those exceptional documents, if any, whose very existence may legitimately be withheld in accordance with Principle 19.

 

(c)各々の公的機関は、保有する機密記録の、詳細で正確なリストを作成し、公開し、定期的に検討し、更新すべきである。ただしその存在自体が、原則19に基づき合法的に秘匿されているような例外的な文書があればそれを除く。

 

Note: It is good practice to update such lists annually.

 

注記:これらのリストは1年ごとに更新されることが望ましい。

 

 

 

 

 

Principle 16: Time Limits for Period of Classification

 

原則 16:機密扱いの期間の期限

 

(a) Information may be withheld on national security grounds for only as long as necessary to protect a legitimate national security interest. Decisions to withhold information should be reviewed periodically in order to ensure that this Principle is met.

 

(a)情報は国家安全保障上の理由によって秘匿され得るが、正当な国家安全保障上の利益を保護するために必要な限りにおいてのみである。情報を秘匿する決定は、本原則の遵守を確保するために、定期的に見直されるべきである。

 

Note: It is good practice for review to be required by statute at least every five years. Several countries require review after shorter periods.

 

注記:法令によって、少なくとも5年ごとの見直しを義務付けることが望ましい。より短い期間での見直しを義務付けている国もある。

 

(b) The classifier should specify the date, conditions, or event on which the classification shall lapse. (b)機密指定を決定する者は、機密扱いが失効する日付、条件、又は出来事について明記するべきである。

 

Note: It is good practice that this time limit, or specification of conditions or event on which classification lapses, is subjected to periodic review.

 

注記:機密扱いが失効する期限、又は条件や出来事の詳細は、定期的に見直されることが望ましい。

 

(c) No information may remain classified indefinitely. The presumptive maximum period of classification on national security grounds should be established by law.

 

(c)無期限に機密扱いにしてもよい情報はない。国家安全保障を理由にした機密扱いの想定される最大期限は、法によって定められるべきである。

 

(d) Information may be withheld beyond the presumptive deadline only in exceptional circumstances, pursuant to a new decision to withhold, made by another decision- maker, and setting an amended deadline.

 

(d)情報は、例外的な状況においてのみ想定された期限を越えて秘匿され得るが、それは異なる意思決定者によって、期限を修正されて設定され、あらためて秘匿決定がさなれることによる。

 

 

 

 

 

Principle 17: Declassification Procedures

 

原則 17:機密指定解除の手続き

 

(a) National legislation should identify government responsibility to coordinate, oversee, and implement government declassification activities, including consolidating and regularly updating declassification guidance.

 

(a) 機密指定解除の指針を確立し定期的に更新することを含め、政府が機密指定解除の作業を調整し、監視し、履行する責任を国内法に明記すべきである。

 

(b) Procedures should be put in place to identify classified information of public interest for priority declassification. If information of public interest, including information that falls into categories listed in Principle 10, is classified due to exceptional sensitivity, it should be declassified as rapidly as possible.

 

(b)公 益性をもつ機密指定された情報を優先的に機密指定解除するための手続きは、適切に定められるべきである。原則10のリストのカテゴリーに分類されるような 情報を含む、公益性のある情報が、例外的な重要性のために機密扱いにされている場合、それはできる限り迅速に機密解除されるべきである。

 

(c) National legislation should establish procedures for en bloc (bulk and/or sampling) declassification.

 

(c)国内法で、総括的な(一括、及び/又はサンプリングによる)機密解除のための手続きを制定するべきである。

 

(d) National legislation should identify fixed periods for automatic declassification for different categories of classified information. To minimize the burden of declassification, records should be automatically declassified without review wherever possible.

 

(d)それぞれのカテゴリーの機密指定情報について、自動的な機密解除期限を国内法で定めるべきである。機密解除の負担を最小限にするために、可能な場合はいつでも、記録は再検討なしに自動的に機密指定解除されるべきである。

 

(e) National legislation should set out an accessible and public procedure for requesting declassification of documents.

 

(e)文書の機密解除請求について、アクセス可能な公的手続を国内法で定めるべきである。

 

(f) Declassified documents, including those declassified by courts, tribunals or other oversight, ombuds, or appeal bodies, should be proactively disclosed or otherwise made publicly accessible (for instance, through harmonization with legislation on national archives or access to information or both).

 

(f)裁 判所、法廷、その他の監督機関、オンブズマン、申立機関によって機密指定が解除されたものも含め、機密指定が解除された文書は積極的に公開するか、さもな ければ公的にアクセス可能にするべきである(例えば、国の公文書保管所や情報へのアクセスに関する法律と整合性をとるなど)。

 

Note: This Principle is without prejudice to the proviso regarding other grounds for with- holding set forth in preambular paragraph 15.

 

注記:この原則は、前文パラグラフ15に示される、情報秘匿のための他の理由を考慮するという但し書きを損なわない。

 

Note: Additional good practices include the following:

 

注記:以下は、推奨される追加的な実践である。

 

regular consideration of the use of new technologies in the processes of declassification; and

 

・機密指定解除手続における新たな技術の利用を定期的に検討する。及び、

 

regular consultation with persons with professional expertise concerning the process for establishing declassification priorities, including both automatic and en bloc declassification.

 

・自動的且つ総括的なものを含め、機密指定解除の優先順位を確立するプロセスに関する専門知識を持つ者との定期的な協議を行う。

 

Part III.B: Rules Regarding Handling of Requests for Information

 

第3章. B: 情報請求の扱いについての規則

 

 

 

 

 

Principle 18: Duty to Consider Request Even If Information Has Been Classified

 

原則 18:情報が機密扱いになっていたとしても、請求を検討する義務

 

The fact that information has been classified is not decisive in determining how to respond to a request for that information. Rather, the public authority that holds the information should consider the request according to these Principles.

 

情報が機密扱いになっているという事実は、情報公開の請求にどう対応するかという際に、決定的なことではない。むしろ情報をもつ公的機関は、本原則に従い、請求について検討するべきである。

 

 

 

 

 

Principle 19: Duty to Confirm or Deny

 

原則19:承認又は否認する義務

 

(a) Upon receipt of a request for information, a public authority should confirm or deny whether it holds the requested information.

 

(a)情報請求を受けたときは、公的機関は、請求されている情報を保有しているかどうかについて、承認又は否認しなければならない。 

 

(b) If a jurisdiction allows for the possibility that, in extraordinary circumstances, the very existence or non-existence of particular information may be classified in accordance with Principle 3, then any refusal to confirm or deny the existence of information in response to a particular request should be based upon a showing that mere confirmation or denial of the existence of the information would pose a risk of harm to a distinct information category designated in a national law or regulation as requiring such exceptional treatment.

 

(b)特 別な状況において、特定の情報の存在・不在自体が機密扱いにされている可能性を、司法権が原則3に基づいて認めるとき、特定の請求への回答において情報の 存在を承認又は否認することを拒否する場合には、いかなる場合でも、国内法又は規定によって示される、そのような例外的な措置を必要とするような特定の情 報のカテゴリーに危害がもたらされるリスクがあることを説明しなければならない。

 

 

 

 

 

Principle 20: Duty to State Reasons for Denial in Writing

 

原則 20:拒否の理由を書面で述べる義務

 

(a) If a public authority denies a request for information, in whole or in part, it should set forth in writing specific reasons for doing so, consistent with Principles 3 and 9, within the period of time specified in law for responding to information requests.

 

(a)公的機関が、情報の全体あるいは一部に対する請求を拒否する時は、その具体的な理由を、原則3及び9に則り、情報請求への対応に関する法律に定められた期間内に、書面で明らかにしなければならない。

 

Note: See Principle 25 for the requirement that the time in which a response must be given should be set forth in law.

 

注記:回答がなされなければならない期限については法に明記されなければならないとする要件については、原則25を参照。

 

(b) The authority should also provide the requester with sufficient information concerning the official(s) who authorized non-disclosure and the process for doing so, unless to do so would itself disclose classified information, and of avenues for appeal, to allow for an examination of the authority’s adherence to the law.

 

(b)当局はまた、請求者に、そうすることそれ自体が機密情報を開示しない限り、非開示の権限を与えられている公務員及びそのプロセスに関して十分な情報を提供すべきである。また、当局の法律遵守について審査するための異議申立方法についても十分な情報を提供すべきである。

 

 

 

 

 

Principle 21: Duty to Recover or Reconstruct Missing Information

 

原則 21:遺失した情報を回復又は再構築する義務

 

(a)  When a public authority is unable to locate information responsive to a request, and records containing that information should have been maintained, collected, or produced, the authority should make reasonable efforts to recover or reconstruct the missing information for potential disclosure to the requester.

 

(a)公 的機関が 請求者に回答する情報の所在を示すことができず、且つ、その情報を含む記録が、保管され、収集され、あるいは作られているはずである場合、当該公的機関は 請求者に対する将来的開示可能性のために、遺失した情報を回復又は再構築するための合理的な努力をしなければならない。

 

Note: This Principle applies to information that cannot be located for any reason, for instance because it was never collected, was destroyed, or is untraceable.

 

注記:その情報がこれまで収集されたことがない、処分されてしまった、追跡不可能であるといったような、どんな理由であろうとも、この原則は、所在が明らかにできない情報に適応される。

 

(b) A representative of the public authority should be required to indicate under oath and within a reasonable and statutorily specified time all of the procedures undertaken to try to recover or reconstruct the information in such a way that such procedures may be subject to judicial review.

 

(b)公的機関の代表者は、その手順が司法の審理の対象となり得るような方法で、情報を回復又は再構築するために行われている手続きのすべてを、誓約の上で、合理的且つ法で定められた時間内に示すことを義務付けられるべきである。

 

Note: When information that is required by law to be maintained cannot be found, the matter should be referred to police or administrative authorities for investigation. The outcome of the investigation should be made public.

 

注記:保管されることが法によって義務付けられている情報が見つからないとき、この件は警察又は行政機関に調査を付託されるべきである。調査の結果は公開されるべきである。

 

(c) The duty to recover or reconstruct information is particularly strong (i) when the information concerns alleged gross or systematic human rights violations, and/ or (ii) during a transition to a democratic form of government from a government characterized by widespread human rights violations.

 

(c)以下の場合、遺失した情報を回復・再構築する義務の程度は特に強い。すなわち、(i)その情報がな深刻又は組織的な人権侵害の申立に関わる時、及び/又は (ii) 広範な人権侵害によって特徴づけられる政府から、民主的な形態の政府への移行の期間にある時。

 

 

 

 

 

Principle 22: Duty to Disclose Parts of Documents

 

原則 22:文書の一部を開示する義務

 

Exemptions from disclosure apply only to specific information and not to whole documents or other records. Only specific information for which the validity of a restriction has been demonstrated (exempt information) may be withheld. Where a record contains both exempt and non-exempt information, public authorities have an obligation to sever and disclose the non-exempt information.

 

公 開の免除は、特定の情報に対して適用されるのであり、文書全体その他の記録の全体に対してではない。制限の妥当性が説明されている特定の情報(「免除情 報」)のみが秘匿され得る。ある記録に免除される情報とそうでない情報がともに含まれる場合、公権力は、免除されていない情報を切り離して公開する義務が ある。

 

 

 

 

 

Principle 23: Duty to Identify Information Withheld

 

原則 23:秘匿された情報を特定する義務

 

A public authority that holds information that it refuses to release should identify such information with as much specificity as possible. At the least, the authority should disclose the amount of information it refuses to disclose, for instance by estimating the number of pages.

 

公開することを拒否した情報を保有する公的機関は、そのような情報をできるだけ詳しく特定すべきである。少なくとも当該公的機関は、例えばページ数を概算するなどして公開を拒んだ情報の量について公開すべきである。

 

 

 

 

 

Principle 24: Duty to Provide Information in Available Formats

 

原則 24:入手可能な形式によって情報を提供する義務

 

Public authorities should provide information in the format preferred by the requester to the extent possible.

 

公権力は可能な限り、請求者の求める形式で情報を提供すべきである。

 

Note: This includes, for example, the obligation of public authorities to take appropriate measures to provide information to persons with disabilities in accessible formats and technologies in a timely manner and without additional cost, in accordance with the UN Convention on People with Disabilities.

 

注記:このことは、例えば公権力が、障害をもつ人々に対して、アクセスできる形式や技術で、速やかに、費用を上乗せすることなく、国連の障害者権利条約に従って、情報を提供する適切な手段を講じる義務を含む。

 

 

 

 

 

Principle 25: Time Limits for Responding to Information Requests

 

原則 25:情報請求に対する回答の期限

 

(a)  Time limits for responding to requests, including on the merits, internal review, decision by an independent body if available, and judicial review should be established by law and should be as short as practicably possible.

 

(a) 状況、内部検討、利用可能な場合は独立機関の決定、司法の審理を含め、請求に対する回答期限は、法によって制定されなければならず、実行し得る限り短期間でなければならない。

 

Note: It is considered best practice, in keeping with the requirements set forth in most access to information laws, to prescribe twenty working days or less as the time period in which a substantive response must be given. Where time limits for responding to requests are not set forth in law, the time limit should be no more than 30 days for a standard request. Laws may provide for different time limits in order to take account of different volumes and levels of complexity and sensitivity of documents.

 

注記:ほとんどの情報アクセス方に定められている要件を踏まえて、実質的な回答が提示されなければならない期限は20営業日以内とするのが最も適切であると考えられる。請求に対する回答期限が法に定められていない場合、通常の請求に対する期限は30日を超えるべきではない。文書の量、複雑さの程度、慎重に取り扱う度合いに応じて、異なる期限を定め得る。

 

(b)  Expedited time limits should apply where there is a demonstrated need for the information on an urgent basis, such as where the information is necessary to safeguard the life or liberty of a person.

 

b)その情報が人の命や自由を守るために必要である場合など、緊急性に基づく情報の必要が立証される場合、期限の短縮が適用されるべきである。

 

 

 

 

 

Principle 26: Right to Review of Decision Withholding Information

 

原則26:情報の秘匿の決定を審査する権利

 

(a)  A requester has the right to a speedy and low-cost review by an independent authority of a refusal to disclose information, or of matters related to the request.

 

a)請求者は、情報開示の拒否若しくは請求に関する事柄について、独立機関による迅速且つ低費用の審査の権利をもつ。

 

Note: A refusal may include an implicit or silent refusal. Matters subject to a review by an independent authority include fees, timelines, and format.

 

注記:拒否には、黙殺によるものも含まれる。独立機関による審査の対象となる事柄には、費用、迅速性、形式も含まれる。

 

(b)  The independent authority should have the competence and resources necessary to ensure an effective review, including full access to all relevant information, even if classified.

 

b)独立機関は、たとえ秘匿情報であっても、すべての関連情報への十分なアクセスを含む、実効的な審査に必要な資格と資源を有するべきである。

 

(c)  A person should be entitled to obtain independent and effective review of all relevant issues by a competent court or tribunal.

 

c)人は、あらゆる関連問題について、権限のある裁判所や法廷による独立した有効な審査を実施させる資格を有するべきである。

 

(d)  Where a court makes a ruling that withholding information is warranted, it should make publicly available fact-specific reasons and its legal analysis in writing, except in extraordinary circumstances, and consistent with Principle 3.

 

d)裁判所が情報非開示を承認する判決を出す場合、裁判所は、特殊な状況を除き、原則3に則り、事実に即した根拠及び法的分析を書面で公的に入手できるようにするべきである。

 

 

 

Part IV: Judicial Aspects of National Security and Right to Information

 

第4章: 国家安全保障と情報への権利の司法的側面

 

 

 

 

 

Principle 27:  General Judicial Oversight Principle

 

原則27: 司法による監視についての一般原則

 

(a) Invocations of national security may not be relied upon to undermine the fundamental right to a fair trial by a competent, independent, and impartial tribunal established by law.

 

(a)法によって定められた、正当で、独立した、公平な法廷による公正な裁判を受ける基本的な権利は、国家安全保障が持ち出されてもこれに依拠して損なわれてはならない。

 

(b) Where a public authority seeks to withhold information on the ground of national security in any legal proceeding, a court should have the power to examine the information in determining whether the information may be withheld. A court should not ordinarily dismiss a challenge without examining the information.

 

(b)公的機関が国家安全保障を理由に、いずれかの法的手続きに則って、情報の非開示を試みた場合、裁判所にはその情報を調査し、非開示にして良いかどうかを決定する権限が与えられるべきである。裁判所は通常、情報を調べることなく、異議申立を退けるべきではない。

 

Note: In keeping with Principle 4(d), the court should not rely on summaries or affidavits that merely assert a need for secrecy without providing an evidentiary basis for the assertion.

 

注記:裁判所は原則4を踏まえて、秘匿の必要性のみを主張しながらその主張を支える根拠を述べていない要約書や宣誓供述書に依拠すべきではない。

 

(c) The court should ensure that a person seeking access can, to the maximum extent possible, know and challenge the case advanced by the government for withholding the information.

 

(c)裁判所は、情報の入手を試みる個人が、可能である最大限の範囲で、政府によって提出されたその情報の非開示申請について知り、異議を申し立てられることを保障するべきである。

 

(d) A court should adjudicate the legality and propriety of a public authority’s claim and may compel disclosure or order appropriate relief in the event of partial or full non-disclosure, including the dismissal of charges in criminal proceedings.

 

(d)裁判所は、公的機関による主張の適法性及び妥当性について裁定を下すべきであり、その上で情報を開示するよう強制し、部分的又は全体的な非開示となった場合には、刑事訴訟における訴えの棄却を含む、適切な救済を行うことができる。

 

(e) The court should independently assess whether the public authority has properly invoked any basis for non-disclosure; the fact of classification should not be conclusive as to the request for non-disclosure of information. Similarly, the court should assess the nature of any harm claimed by the public authority, its likelihood of occurrence, and the public interest in disclosure, in accordance with the standards defined in Principle 3. 

 

(e)裁 判所は、公的機関が情報非開示に対して援用する根拠が適正であるか、独立的に評価するべきである。情報開示請求に関しては、情報が機密扱いであることが決 定的な問題だとされてはならない。同様に裁判所は、公的機関が主張する損害の性質と、損害が起こる可能性、そして情報を開示した場合の公共の利益につい て、原則3に従って評価しなければならない。

 

 

 

 

 

Principle 28: Public Access to Judicial Processes

 

原則 28:訴訟手続へのパブリック・アクセス

 

(a) Invocation of national security may not be relied upon to undermine the fundamental right of the public to access judicial processes.

 

(a)公衆が訴訟手続へアクセスする基本的な権利は、国家安全保障が持ち出されてもこれに依拠して損なわれてはならない。

 

(b) Court judgments—setting forth all of a court’s orders and including the essential findings, evidence and legal reasoning—should be made public, except where the interest of children under eighteen otherwise requires. 

 

(b)判決文は、裁判所による全ての命令を明記し、重要な事実認定と証拠と法的推論を記載し、18歳未満の子どもの利害に関わる場合を除き、公開されるべきである。

 

Notes: International law permits no derogation on national security grounds from the obligation to pronounce judgments publicly.

 

注記:国際法によれば、国家安全保障を理由に判決を公に発表する義務を軽減させることは許されない。

 

Records of juvenile court proceedings should not be made public. Records of other judicial proceedings involving children should ordinarily redact the names and other identifying information of children under the age of eighteen.

 

少年裁判所の裁判手続の記録は公開されるべきではない。その他の、子どもが関わる訴訟手続の記録は通常、18歳未満の子どもの名前と、身元の特定につながるその他の情報が修正されるべきである。

 

(c) The public’s right of access to justice should include prompt public access to (i) judicial reasoning, (ii) information about the existence and progress of cases, (iii) written arguments submitted to the court, (iv) court hearings and trials, and (v) evidence in court proceedings that forms the basis of a conviction, unless a derogation of this is justified in accordance with these Principles. 

 

(c)公衆が司法にアクセスする権利は、この権利の縮小が本原則に従い正当化される場合を除き、次に述べるものへ公衆が速やかにアクセスできることを含むべきである。(i)裁判における法的推論 (ii)個々の裁判の存在と、その経過に関する情報 (iii)法廷に提出された意見書 (iv)法廷審問と対審 (v)裁判手続の中で有罪判決の根拠となった証拠。

 

Note: International law concerning fair trial requirements allows courts to exclude all or part of the public from a hearing for reasons of national security in a democratic society, as well as morals, public order, the interest of the private lives of the parties, or to avoid prejudice to the interests of justice, provided that such restrictions are in all cases necessary and proportionate.

 

注 記:公正な裁判の要件に関する国際法によれば、裁判所は次の様な場合には、部分的又は完全に公衆を審判から排除することができる。すなわち、民主主義社会 における国家安全保障・倫理・公の秩序・裁判の当事者の私生活における利害を理由とする場合、又は法的公正さが損なわれることを回避する場合である。ただ しあらゆる案件において、このような制限が行われる場合には、その必要があり、且つ必要の程度に対応していることが条件である。

 

(d) The public should have an opportunity to contest any claim asserted by the public authority that a restriction on public access to judicial processes is strictly necessary on national security grounds.

 

(d)国家安全保障を理由として、公衆の訴訟手続へのアクセスの制限が絶対に必要だとする、公的機関によって発せられるあらゆる主張に対して、公衆は異議を申し立てる機会を有するべきである。

 

(e) Where a court makes a ruling as to whether a restriction on open access to judicial processes is warranted, it should make publicly available fact-specific reasons and its legal analysis in writing, except in extraordinary circumstances, consistent with Principle 3.

 

(e)裁判所が、訴訟手続への自由なアクセスの制限を承認するかどうかについて裁定を下す場合、原則3に則り、特殊な状況下にある場合を除いて、裁判所は書面により事実(具体的な根拠と法的分析)を公的に入手できるようにすべきである。

 

Notes: This Principle is not intended to modify a state’s existing law regarding preliminary procedures to which the public does not ordinarily have access. It applies only when the court process would otherwise allow public access and the attempt to deny that access is based on a claim of national security.

 

注 記:本原則は、ある国家における、通常は公衆がアクセスできない準備手続について規定している現行法の修正を目指しているわけではない。本原則は、それ以 外の場合において、裁判所が公衆によるアクセスを許しており、なお且つそのアクセスを却下しようとする試みが国家安全保障を根拠にしている場合にのみ、当 てはまる。

 

The public’s right of access to court proceedings and materials derives from the significance of access to promoting (i) the actual and perceived fairness and impartiality of judicial proceedings; (ii) the proper and more honest conduct of the parties; and (iii) the enhanced accuracy of public comment.

 

裁判手続と資料にアクセスする公衆の権利は、以下を促進する上でのアクセスの重要性に由来する。すなわち (i)訴訟手続における実際上及び認識上の平等性と公平性 (ii)裁判の当事者による適正且つ一層誠実な行為 (iii)パブリック・コメントの精度向上。

 

 

 

 

 

Principle 29: Party Access to Information in Criminal Proceedings

 

原則 29: 刑事訴訟の当事者による情報へのアクセス

 

(a) The court may not prohibit a defendant from attending his or her trial on national security grounds. 

 

(a)裁判所は、被告人が自身の裁判に出廷することを、国家安全保障を理由にして禁止してはならない。

 

(b) In no case should a conviction or deprivation of liberty be based on evidence that the accused has not had an opportunity to review and refute.

 

(b)いかなる場合でも、被告人が証拠について精査、反論する機会を持たないまま、有罪判決を下したり、自由を剥奪したりするべきではない。

 

(c) In the interests of justice, a public authority should disclose to the defendant and the defendant’s counsel the charges against a person and any information necessary to ensure a fair trial, regardless of whether the information is classified, consistent with Principles 3-6, 10, 27 and 28, including a consideration of the public interests.

 

(c)法的公正さの点から、公的機関は被告人と被告人の弁護人に対し、その個人が問われている容疑と、公正な裁判を確実に行うために必要なその他の情報を、たとえ機密扱いの情報であっても、原則3〜6、10、27、28に従い、公共の利益を考慮した上で、開示するべきである。

 

(d) Where the public authority declines to disclose information necessary to ensure a fair trial, the court should stay or dismiss the charges.

 

(d)公正な裁判を保証するために必要な情報の開示を公的機関が拒んだ場合、裁判所は審理を停止、若しくは起訴を棄却すべきである。

 

Note: The public authorities should not rely on information to their benefit when claiming secrecy, although they may decide to keep the information secret and suffer the consequences. 

 

注記:公権力は、情報を秘匿することで起こる不利益を自ら被ると決断してもよいが、情報の秘匿を求める際にその情報を公権力の都合のために援用するべきではない。

 

Note: Principles 29 and 30 are included in these Principles concerning public access to information in light of the fact that judicial review, and related disclosures in the context of judicial oversight, are often important means for public disclosure of information.

 

注記:原則29と30が、公衆による情報へのアクセスに関する本原則の中に含まれているのは、司法による精査と、それと関連して起こる司法の監視を背景とした情報開示とが、情報公開のための重要な手段であることが多いためである。

 

 

 

 

 

Principle 30: Party Access to Information in Civil Cases

 

原則 30: 民事訴訟の当事者による情報へのアクセス

 

(a) All claims of withholding of information by a public authority in a civil case should be reviewed in a manner consistent with Principles 3-6, 10, 27 and 28, including a consideration of the public interests.

 

(a)民事訴訟における、公権力におる情報非開示の要請は全て、原則3〜6、10、27、28に従い、公共の利益を考慮した上で、精査されるべきである。

 

(b) Victims of human rights violations have a right to an effective remedy and reparation, including public disclosure of abuses suffered. Public authorities should not withhold information material to their claims in a manner inconsistent with this right.

 

(b)人権侵害の被害者は、被った侵害についての情報公開を含む、実効的な救済及び補償を受ける権利を有する。公権力は、この権利に矛盾するような方法で、被害者の主張のために不可欠な情報を秘匿してはならない。

 

(c) The public also has the right to information concerning gross human rights violations and serious violations of international humanitarian law.

 

(c)また公衆は、重大な人権侵害や、国際人道法の重大な違反に関する情報への権利も有する。

 

Part V: Bodies that Oversee the Security Sector

 

第5章: 安全保障部門を監視する機関

 

 

 

 

 

Principle 31: Establishment of Independent Oversight Bodies

 

原則 31: 独立監視機関の設置

 

States should establish, if they have not already done so, independent oversight bodies to oversee security sector entities, including their operations, regulations, policies, finances, and administration. Such oversight bodies should be institutionally, operationally, and financially independent from the institutions they are mandated to oversee.

 

国 家がまだ安全保障部門の組織を監視するための独立監視機関を設置していないならば、これを設置するべきである。監視項目には、機関の活動・規則・指針・財 務・管理運営が含まれる。このような監視機関は、監視対象機関からは、組織・運営・財政の面で独立しているべきである。

 

 

 

 

 

Principle 32: Unrestricted Access to Information Necessary for Fulfillment of Mandate

 

原則 32: 任務の遂行のために必要な、情報への無制限のアクセス

 

(a) Independent oversight bodies should have legally guaranteed access to all information necessary for the fulfillment of their mandates. There should be no restrictions on this access, regardless of the information’s level of classification or confidentiality, upon satisfaction of reasonable security access requirements.

 

(a)独立監視機関が、その責務を遂行するために必要な全ての情報にアクセスできることは、法によって保証されるべきである。情報の機密性のレベルに関わらず、合理的な安全保障上のアクセス条件を満たしていれば、アクセスに制限を設けるべきではない。

 

(b) Information to which oversight bodies should have access includes, but is not limited to:

 

(i) all records, technologies, and systems in the possession of security sector authorities, regardless of form or medium and whether or not they were created by that authority;

 

(ii) physical locations, objects, and facilities; and

 

(iii) information held by persons whom overseers deem to be relevant for their oversight functions.

 

(b)監視機関がアクセスできる情報には以下のものが含まれるべきであり、しかもこれに限定されない。

 

i)安全保障部門の機関が保有する記録、テクノロジー、システムの全て。その形式と媒体、その機関によって作成されたものであるか否かは問われない。

 

ii)所在場所、備品、施設・設備。

 

iii)監視職員が、監視職務に関わりがあると判断した個人が保有している情報。

 

(c) Any obligation of public personnel to maintain secrecy or confidentiality should not prevent them from providing information to oversight institutions. The provision of such information should not be considered a breach of any law or contract imposing such obligations.

 

(c)機密性を保持する立場にある公務員が負っているあらゆる義務は、彼らが監視機関へ情報を提供することを妨げるべきではない。このような情報の提供は、守秘義務を定めた法律又は契約の違反とみなされるべきではない。

 

 

 

 

 

Principle 33: Powers, Resources and Procedures Necessary to Ensure Access to Information

 

原則 33: 情報へのアクセスを保証するために必要な権限、資源、手続き

 

(a) Independent oversight bodies should have adequate legal powers in order to be able to access and interpret any relevant information that they deem necessary to fulfill their mandates.

 

(a)独立監視機関は、責務を遂行する上で必要とみなされるあらゆる関連情